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許されない罪、救われる心

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153部分:第十四話 戻ってきたものその五


第十四話 戻ってきたものその五

「一緒にね」
「わかったわ。それじゃあ」
「そういうことだから」
「その時はね」
「そうよ。一緒に行こう」
 如月にはこう告げたのだった。そのうえで他の三人にも声をかけた。彼女はもう後ろには引かなかった。ただ前に向かうだけであった。
 そしてだ。クラスではだ。如月達のことが話題になっていた。勿論それを話題にさせているのはあの岩清水であった。
 彼はだ。こうクラスの面々に言うのだった。
「戻って来るよ、もうすぐね」
「ちっ、よくまた学校に来る気になったな」
「そうよね、本当に」
「何処まで図太い奴等なんだよ」
「あそこまでしてやったのに」
 岩清水の言葉を聞いたクラスメイト達は忌々しげにこう言っていく。
「まだ来るなんてな」
「じゃあ今度こそは」
「完全に潰すか?」
「そうする?」
「悪は許したらいけないよ」
 岩清水はここでこう言ってだ。また自分の携帯を取り出した。そうしてそれに映し出している映像を周りにいる彼等に見せてだ。そのうえで話すのだった。
「こういうことをする人間は絶対にね」
「ああ、そうだよな」
「何時見ても最低よね」
「むかむかくるな」
「全く」
「そう、だからね」
 声は穏やかである。しかしその内容は。
「また来たらね」
「絶対にな」
「潰してやりましょうよ」
「四人共何があっても許してたまるか」
「これまで以上にやってやるよ」
「いじめは最低だよ」
 岩清水はその正義を語ってみせた。
「人間として悪だからね」
「悪は潰せ」
「それも容赦なくね」
「何があっても許すものか」
「今度こそ地獄に送ってやるわよ」
 こう言って怪気炎をあげていた。だがそれを見てだ。
 弥生と葉月はだ。クラスの端で顔を顰めさせて話をするのだった。
「やっぱりね」
「そうよね」
「おかしいね」
「ええ、落ち着いて見たら」
 こう話すのだった。
「何か宗教みたいになってるわよね」
「それもカルトだね」
 葉月はここまで言った。
「これはね」
「カルト、そうよね」
 弥生はここで岩清水を見た。彼が明らかに煽っている。そうしてそのうえでさらに言っていた。その彼を見ての言葉である。
「あれじゃね」
「このまま城崎さん達が登校したら」
「うん、大変なことになるわ」
「けれどやるんだね」
 葉月は弥生を見て問うた。
「やっぱり」
「ええ」
 弥生は彼のその言葉にこくりと頷いた。
「そのつもりだけれど」
「そうなんだ。そうするんだね」
「決めたわ」
 顔を俯けさせているがそれでも言うのだった。
「私、如月達を絶対に」
「わかったよ。それじゃあ」
「それじゃあね。そういうことでね」
「頑張ってね。俺は」
「まだなのね」
「まだね。決断がつかないから」
 顔に迷いを見せていた。
 
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