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許されない罪、救われる心

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15部分:第二話 部活からその七


第二話 部活からその七

「だからね。そんなこと止めよう」
「う、うん」
「ほら、長月達もわかってないだけよ」
 誰がそうしているのかもわかっていた。そのうえでの言葉だった。
「だからね」
「無視はってことね」
「そうよ。そういうことって自分に絶対返ってくるし」
 弥生はこの話もした。
「悪いことをしたら自分に絶対に返って来るのよ」
「因果応報?」
「そう、それよ」
 まさにそれだというのだった。
「絶対に返って来るのよ」
「よく言われることね」
「人は見てるから」
 どうしてそうなるかという理由もだ。弥生は如月に話すのだった。
「よくね。特に悪い行いは」
「それで悪い感情を持つから」
「返って来るのよ。悪く思われるのも嫌よね」
「ええ」
 その通りだった。弥生のその言葉にも頷いた。
「そんなのは」
「だったらね。止めておくのよ」
 また優しい声をかけたのだった。
「いいわね、それで」
「ええ、じゃあ」
「部活の時にでも仲直りして」
 弥生の言葉は切実なものになっていた。
「長月達にも言う?」
「いえ、それはいいわ」
 如月はそれはいいと返した。
「私から言うから」
「そう、言うのね」
「やっぱり。よくないよね」
 顔を俯けさせてだ。そのうえでの言葉だった。
「無視とかって」
「そうよ、絶対によくないから」
 弥生は何度もだった。こう言うのだった。
「いじめだから」
「えっ・・・・・・」
 そう言われてだった。如月の動きが止まった。顔も強張ってしまった。
「いじめって」
「そうよ。何人で一人を無視してるんでしょ?」
「ええ」
「それはもう立派ないじめよ。それはもう止めて」
「私、いじめしていたの・・・・・・」
 今の弥生の言葉には顔を強張らせてしまった。そう言われるとは思ってもいなかった。そして自分がしているということにもだ。
 しかし言われてだった。如月は愕然となってしまった。
 それでだ。青くさえなった顔で言うのだった。
「私、そんなつもりじゃ」
「わかってるわ。如月はそんな娘じゃないから」
「止める」 
 その青くなった顔で言った。
「もう絶対に。私いじめなんか絶対にしないから」
「約束よ」
「うん、約束するわ」
 何とかだった。気を取り直しての言葉だった。
「私それは絶対にしないから」
「そうよ。約束したからね」
「うん」
「仲直りしてね」
「そうするわ」
 そのことを誓った。この時は本気だった。実際に部室でだ。長月達三人に弥生から言われたことをそのまま告げたのである。
 それを聞いてだ。三人も着替えている途中で愕然となってしまった。そうしてそのうえで顔を俯けさせて言うのだった。
「いじめか」
「そんなつもりなかったけれど」
「そうしていたのね」
「うん、弥生に言われたから」
 そのまま弥生の名前も出した。
「だからね」
「あいつが言うんだったらな」
「そうよね、私達やっぱり」
「してたのね、いじめ」
 三人もそのことに気付かさせられた。そのうえで愕然となったのである。
 そしてだ。如月は三人に対してまた言った。
「だからね」
「あ、ああ」
「そうよね」
「止めよう」
「そうよ、止めよう」
 如月は部室の中で三人に真剣な顔で述べた。
 
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