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許されない罪、救われる心

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136部分:第十二話 家族その九


第十二話 家族その九

「貴女が決めることよ」
「じゃあ・・・・・・」
「学校、行きたい?」
 このことを実際に彼女に問うた。
「学校に」
「うん・・・・・・」
 如月はその問いに答えて頷いたのだった。
「やっぱり。それでも」
「わかったわ」
 如月の言葉にこくりと頷いた。
 そのうえでだ。彼女に話した。
「あのね」
「学校に行けば余計に」
「ええ、皆もう」
 ここから先はだ。言うまでもなかった。だから弥生も多くは言わなかった。
 言葉と言葉の間にあるものを読んでだ。如月はまた言った。
「けれど」
「けれどなのね」
「ええ。私学校に行きたい」
 こう言うのだった。
「それで」
「それで?」
「・・・・・・いえ、その前に」
 あることに気付いたのだった。
「やっておかないといけないことがあるし」
「やってって?」
「長月達今どうしてるの?」
 三人のことを尋ねたのだった。
「あの娘達は」
「・・・・・・・・・」
 弥生は今の問いにまずは首を横に振った。それからだった。
「学校に来てないわ」
「そうなの」
「家に閉じこもりきりで。多分」
「三人のお家にも来てるのよね」
「そうよ。それで外も中もね」
「私と同じことになってるのね」
「どうするの?あの娘達」
 弥生は如月を見て尋ねた。
「何かするつもりなの?」
「三人のお家に行っていい?」
 如月は俯き加減ながらも弥生にこう言った。
「三人の」
「あの娘達の」
「多分、いえ絶対に酷いことになってるから」
「だからなのね」
「行っていいかしら、それで」
「そうね」
 弥生はここで暫く考えた。そうしてそれからだった。
 こう如月に対して言った。
「私も一緒に行っていいかしら」
「来てくれるの?」
「あの娘達ともずっと一緒にいたじゃない」
 そしてだ。如月の部屋に置いてある写真を見た。何枚かあった。小学校の時のものもあれば中学校の時のものもある。そこには笑顔の彼女達がいた。
 自分や如月だけでなくその三人もいる。まるで悩みがないかの様に晴れやかな顔で集まっている彼女達がだ。その写真達の中にあった。
 その写真を見て。それで言うのだった。
「そうでしょ。友達よね」
「うん・・・・・・」
「あの娘達も。友達だから」
「来てくれるの」
「あのままにしておけない」
 この言葉が今の彼女の本音だった。
「絶対に」
「有り難う・・・・・・」
「あの娘達も傷ついてるし」
 言うまでもなかった。これまでの糾弾と孤立によってだ。果たして何処まで傷ついているのかわからないまでにだ。そうなっていることがわかるからだ。
 それでだ。弥生は言ったのだった。
 
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