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レーヴァティン

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第八十五話 護民官その十一

「欧州や中国だと実際にね」
「銀の食器は贅沢だよな」
「この島でもそうだよね」
「ああ、お金持ちとか貴族はな」
 そうした資産を持っている者の家ではだ。
「銀の食器使ってるな」
「高級なお店でもね」
「陶器のいいのじゃなくてな」
「日本じゃ銀の食器は使わないけれど」
 和食では高級な食器というと間違いなく漆塗りや高級な陶器になる、このことは決まっていると言っていい。
「けれどね」
「欧州や中国だと違っていてな」
「銀の食器を使うけれど」
「ただ高級なだけじゃないんだな」
「そう、毒にもね」
 今の話の本題にも関わるとだ、淳二は久志に話した。
「反応するから」
「そうなんだな」
「若し毒が食器の中のお料理にあったら」
 その時はというのだ。
「曇るから」
「それでわかるんだな」
「そう、特にこの世界にあるミスリル銀だと」
 銀の中でも特別の銀であるこの銀で造った食器はというと。
「もうどんな毒にもね」
「反応してか」
「曇るから」
「じゃああれか。俺もこれからはか」
「そう、最初から仕掛けられない為に」
 例え毒殺されても生き返ることが出来るしそれ以前に解毒剤や解毒の術で助かっても毒にかかる様な間抜けと思われ評価が下がるからだ。
「だからね」
「銀、それもか」
「ミスリル銀の食器をね」
「使うべきか」
「うん、ここはね」
「わかったぜ、じゃあな」
 久志は淳二のその言葉に頷いて述べた。
「今すぐにな」
「ミスリル銀の食器買うね」
「御前等の分もな」
 淳二達の分もとだ、久志は笑って答えた。
「十二人全員、合わせて十三人分買おうな」
「おいら達も気をつけろってことだね」
「政治は選挙が終わってからが本番だろ」
「そうだよ、この島を統一する為のそれはね」
「だったらな」
「これからも用心が必要だから」
「俺だけじゃなくて全員な」
 今ここにいる十三人全員がというのだ。
「だからな」
「おいら達全員が用心する為に」
「食器買おうな」
 ミスリル銀のそれをというのだ。
「そうしような」
「じゃあ早速買っておこうね」
 淳二も答えてだ、実際に久志達はそれぞれが使うミスリル銀の食器を買った。それはどれも高価なものであったが彼等にとっては何でもなくしかもその値段よりも遥かに高価な見返りのあるものだった。


第八十五話   完


                  2018・10・8 
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