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賢い王女

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第一章

               賢い王女
 カンボジアのお話です、かつてこの国にアマラデヴィという王女がいました。アマラデヴイはまだ幼いですがとても可愛らしくてしかも賢い王女でした。
 とにかく頭の回転が早くものごとを広く先の先まで見てものごとを考えしかも学問も好きで色々なことを知っていました。
 それで王女のお父さんである王様もお母さんである王妃様も王女のお兄さんである次に王様となる太子もいつも王女の言葉を頼りにしていました。
 そんな中です、王妃様は外国から来た商人から献上されたとても奇麗で大きな宝石を王女に見せて言いました。
「これをそなたにあげるわ」
「こんな素晴らしい宝石をですか」
 その宝石はとても大きな、人の頭位の大きさのダイアモンドでした。王女もその宝石を見てびっくりして言いました。
「私にですか」
「そなたはいつもその賢い頭で国も民も助けてくれているから」
 国を治めている王様達をその助言で、です。
「その褒美としてよ」
「私にですか」
「あげよう」
「有り難く受け取らせて頂きます」 
 アマラデヴィはその宝石を慎んで受け取りました、そして大事に大事に保管しました。そんな中王女は王様と太子に言いました。
「今我が国に四人の大臣達がいますが」
「あの者達がどうしたのだ?」
「はい、欲が深く自分のことしか考えていません」
 だからだというのです。
「ですから別の者達を大臣にすべきです」
「そして政治をか」
「よくすべきです」
 こう言うのでした、そしてすぐに四人の大臣を調べて欲しいとも言いました。
 王様も太子もそう聞いて調べましたが証拠は出ません、悪賢い大臣達は自分達の悪事を全て隠していたのです。
 そしてです、四人はさらにです。
 こともあろうか王女であるアマラデヴィが王妃様から貰ったダイアモンドを狙っていました、それでしょっちゅう王女の部屋を覗いてはそのダイアモンドをもの欲しそうに見ていました。
 賢いアマラデヴィは勿論このことに気付いています、それでです。
 少し考えてです、そうしてでした。
 ある日です、こう王様に言いました。
「四人の大臣達の証拠をです」
「それをか」
「はい、お見せしましょう」
「一体どうしてじゃ」
「それはこれからです」
「見せるものか」
「お楽しみを」
 畏まって言うのでした。
「是非」
「わかった、ではな」
「はい、その様に」
 アマラデヴィはこう王様に返しました、そしてです。
 王様はアマラデヴィが言う証拠を待ちました、するとでした。
 アマラデヴィはお付きの侍女達にこう言いました。
「いいですね、ダイアモンドを私の部屋に置きますが」
「しかしですか」
「そこで、ですか」
「台の上に置いて」
 そしてというのです。
「その台の周りに穴を用意するのです」
「穴ですか」
「それをですか」
「夜の闇に隠れる様に」
 その様に細工をしてというのです。
「黒い覆いを被せてです」
「穴を隠しておきますか」
「ダイアモンドの周りに置いたそれを」
「そうしておくのです。いいですね」
 こう言ってでした、アマラデヴィは実際にダイアモンドを台の上に目立つ様に置かせました。そうしてです。 
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