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悲劇で終わりの物語ではない

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悲劇で終わりの物語ではない

 時は神代
 世界の法が物理法則へと移行する遥か以前の太古の時代、現代から6000年以上前の時代

 地上には幻想上の存在である幻想種や神々が闊歩する。
 周囲には壮大な大自然が広がり、近代の煌びやかな都市の輝きや文明の利器など存在していない。

 大気に満ち溢れるは膨大なまでの魔力
 世界には魔術を上回る神秘が満ち溢れ、権能が世界の法として敷かれている。

 人類の生命も芽吹き、人々は神々と共存する。
 人類は神々を称え、崇め、信仰する。

 頂上の存在にして絶対の超越者である神々
 自然現象が具現化し、猛威を振るう絶対者

 神々は自分達の永続を絶対とすべく画策する。
 神々の衰退を阻止し、神々を廃する可能性を秘めた人間を諌め、地上に繋ぎ止めるための楔として、とある一人の半神半人を創り出していた。

 神と人間の双方の血を有し、圧倒的な神性を有した最古にして、後に世界の全てを手中に収めることになる英雄王を



 その名を『ギルガメッシュ』



 シュメール初期王朝時代のウルク第1王朝の王である。

 彼は人類の観測者にして裁定者
 後に抑止力と神々の意思を無視し、人を憎み、人と星の未来を守護し、見定めることを決意した存在

 近い将来、楔として生み出された彼は旧時代の遺物として神々を廃し、神々との訣別を決行することになる。

 神々がその事実に気付くことはない。
 何故なら今、神々は天空からとある一人の存在を見据えていたのだから

 奴を『ギルガメッシュ』と遭遇させてはならない、それが神々の総意であった。
 奴は近い将来、必ず神々にとって脅威になり得る存在だと確信する。

 今なお大気を、地上を、この惑星そのものを震撼させ、力を振るい、惑星の地上全土に膨大なまでの力を波及させている。
 光の極光が迸り、大地が更地と化し、天空にまでその余波が及ぶ。

 その拳は山河を砕き、地割れを引き起こす。
 惑星外への移動手段も有し、その身には天井知らずのエネルギーを宿している。

 残像が残るまでの速度、否、神速が如き速度で地上を疾走し、大気を飛翔し、宙へとその姿を現していた。 

 ダークカラーのローブを着込み、右手には奇抜な装飾が施された杖を有している。
 首回りにはスカイブルーのリングを浮き上がらせる。
 髪の色は黒、紅玉の如き深紅の瞳が一際目を引いていた。
 


 その名を『ウィス』



 後世にて"名の無き英雄"と称えられる存在である。







──『ウィス(中立者・付き人)』と『ギルガメッシュ(人類の裁定者)』が交錯する時、物語は始まり、加速する──







 ギルガメッシュ(慢心王)との出会い





 美と豊穣、戦を象徴する女神との遭遇





 英雄王の唯一無二の親友との邂逅





 残念女神の姉である冥界の女主人との巡り会い





 スカサハ(おっぱいタイツ師匠)との出逢い

 決して彼女との出逢いは穏やかなものではなかったが

 次元を歪め、青と紅の軌跡を大気に残し両者は刃を交え、絶大な力を波及させた。
 両者の激突は世界が滅亡する瀬戸際まで及び、影の国は瞬く間に焦土と化すことになった。





 権能という超越した力を有し、人類を玩具の様に扱っていた傲慢な神々の裁定


 


 怪物に至ることが定められたとある一人の女神との遭遇





 卑劣な手段にて純潔を脅かされていた森の狩人である女性の救出

 その後、とある女神の手により彼女は獣に変えられてしまったが
 彼女の純潔を脅かした下手人は壁の染みとなった。





 全てに裏切られ、途方に暮れていた魔女との邂逅





 「王」としてあらゆる自由を奪われた孤独なる王との語らい

 彼はイスラエルの絶対者にて唯一無二の王、神々の意志のもと王として創られた存在であった。





 "施しの英雄"と名高い英雄との交戦





 とある国の妃である王女とその娘達の救出

 彼女は誰よりも祖国と民を愛していたが故に、祖国を蹂躙した敵国を許すことはなかった。
 彼女の最後は敵国の多くの兵士達を蹂躙した後の戦死であったと聞き及んでいる。

 不思議なことに蹂躙した敵国の都市の市民の死傷者はゼロであったが。





 理想の王として心を殺し、誰よりも国に尽くした王への献身





 自己承認欲に飢え、国を滅ぼした少女との遭遇





 全て遠き理想郷(アヴァロン)にてビーストに至る可能性を秘めた獣との語らい





 後世にて聖女と称される少女への献身

 彼女には勉学と戦闘のノウハウを教唆した。
 彼女の未来に幸あれ、と望んで





 戦場という血塗られた地獄で己の身を犠牲に死傷兵達へと奉仕し続けた女性との出会い










 死という概念が存在しないウィスは数多の英雄達との出会いと訣別を繰り返した。

 今や地上は人類が支配する時代

 神代は終わりを迎え、西暦を経て人類は地上で最も栄えた種となった。
 かつて世界を支配していた超常の存在である神々は世界の裏側へと姿を消した。

 時は2000年代
 人類の最盛期とも言うべき時代が到来し、人が自らの足で道を切り開く時代である。














 標高6000メートルの雪山に存在している各国共同で作られた特務機関

 名を『カルデア』

 人類の繁栄と存続を確実なものとすべく創設された人理継続保障機関フィニス・カルデア

 時計塔の天体科を牛耳る魔術師の貴族であるアニムスフィア家が管理し、日々職員達がカルデアス表面の文明の光を観測し続けている。
 全ては未来の人類社会の存続を保障するために
 
 カルデアにはウィスの姿もあった。
 現当主であるオルガマリー・アニムスフィアからのスカウトを受け、足を踏み入れた所存である。
 何でもレイシフト適正とマスター適正を有しているとのこと

 ウィスは逆立った白髪を揺らしながら、紅き瞳で周囲を見渡す。
 影の国からの久しぶりの遠出だ。

「君が波風晃人君だね。僕の名前はロマ二・アーキマン。医療部門のトップだ。皆からはDr.ロマンと呼ばれているよ」
「フォウ、ンキュ(あ、ウィス)」

 だがカルデアには全て遠き理想郷(アヴァロン)に隔離されているはずのキャスパリーグの姿があった。
 旧友であるソロモン王の姿も

 次の瞬間、キャスパリーグの名を口にしようとしたウィスの頬にキャスパリーグの強烈な一撃が直撃した。
 
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