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大阪のキジムナー

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第四章

 浩二はその彼等を多くから見つつ秋奈に話した。
「食べてるのがお魚の目でね」
「それであの妖怪にしか思えないのが」
「キジムナーだよ」
「そうなのね」
「だからあのお魚の目はね」
 秋奈が見付けて拾ったそれはというのだ。
「これでわかったね」
「ええ、あれね」
 まさにとだ、秋奈も答えた。
「キジムナーが食べた」
「残りだったんだよ」
「そうだったのね」
「これで納得したね」
「ええ、けれど確かに大正区って沖縄の人が多いけれど」
「妖怪も来てるんだね」
「そうなのね」
 秋奈はしみじみとした口調で述べた。
「人が来てお料理もお酒も来て」
「木も来てね」
「妖怪もなのね」
「八条大学と一緒だね」
「いや、大阪もなのね」
 しみじみとした口調でだ、秋奈は楽しく宴を行っているキジムナー達を見て述べた。
「他の地域から妖怪来るのね」
「そうだね、じゃあお魚の目のことは確かめたし」
 それでとだ、浩二はあらためて妻に話した。
「もうこれでね」
「ええ、お家に帰って」
「お風呂に入って寝ようか」
「泡盛あるから」
 それでとだ、秋奈は夫に笑顔で話した。
「豆腐ようとミミガーもあるし」
「その二つを肴にして」
「二人で飲まない?」
 こう提案するのだった。
「そうしない?」
「そうだね、じゃあね」
「ええ、お家に帰ったら」
「二人で泡盛飲もうか」
「お風呂に入った後で」
 飲んだ後はお風呂に入ると身体に悪い、秋奈はこのことも踏まえて話した。
「それでね」
「そうだね、お風呂に入ってすっきりして」
「それで飲んでね」
「それからね」
「寝ましょう、二人でね」
 笑顔で話してだ、そのうえでだった。
 二人は公演を後にした、秋奈は公園の出口のところでガジュマルの方を振り返った。するとキジムナー達は今も宴を楽しんでいた。それぞれ魚の目を食べながら。


大阪のキジムナー   完


                   2018・10・28 
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