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戦国異伝供書

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第十六話 天下の大戦その一

               第十六話  天下の大戦
 東で武田、上杉、北条が動き西では毛利もだった。そして都では義昭が兵を挙げ本願寺も再び叛旗を翻した。
 この状況にだ、信長は家臣達に落ち着いた声で言った。
「ではな」
「はい、これより」
「内外の者達との戦ですな」
「いよいよ」
「その時が来ましたな」
「うむ」
 その通りと言うのだ。
「既に準備はしておる、ではな」
「これよりですな」
「出陣ですな」
「そして公方様も本願寺も平定し」
「そのうえで」
「西じゃ」
 こちらに向かうというのだ。
「大名は最初は毛利家を降すぞ」
「それでは殿」
 九鬼が応えた。
「これより」
「そうじゃ、お主はな」
「水軍を率いてですな」
「瀬戸内の東に向かってもらうが」
「あの船をですか」
「使うのじゃ」
 こう言うのだった。
「よいな」
「わかり申した」
「毛利は本願寺と懇意にしておる」
 石山に籠る彼等と、というのだ。
「その毛利の水軍を降せばじゃ」
「それで、ですな」
「本願寺もな」
「降るしかなくなりますな」
「そしてじゃ」
 本願寺を降してというのだ。
「後はじゃ」
「陸からも攻めまするな」
 羽柴が問うた。
「主に山陽から」
「うむ、そして山陰はじゃ」
 こちらはというと。
「猿夜叉に行ってもらう」
「あの方にですか」
「猿夜叉に鳥取の城を抑えてもらう」
 この城をというのだ。
「そしてじゃ」
「山陰の抑えとしてですか」
「働いてもらう」 
 こう言うのだった。
「あ奴にはな」
「そして我等はですな」
「そうじゃ、山陽からじゃ」
 まさにそこからだというのだ。
「攻めてな」
「そうしていき」
「そしてじゃ」
 そのうえでというのだ。
「毛利を降すぞ」
「わかりました、さすれば」
「都と本願寺じゃ」
 この二つをというのだ。
「まず抑えるぞ」
「殿、公方様にはです」
 平手が言ってきた。
「どうも今もです」
「あの坊主共がおるか」
「はい、そして吹き込んでおる様です」
 崇伝や空海といった者達がというのだ。
「そしてです」
「今回の挙兵にもじゃな」
「向かわせたかと」
「まさかじゃ」
 信長はここで深刻な顔で述べた。 
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