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上官の勧め

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第一章

               上官の勧め
 乱原るうが基地で士官特有のデスクワークをしていた時に彼女の直接の上官である中佐が声をかけてきた。
「大尉、いいだろうか」
「何でしょうか」
 るうはすぐに顔を上げて中佐に応えた。
「一体」
「二人で話をしたいが」
「二人で、ですか」
「少し私の部屋に来てくれるか」
「わかりました」
 上官の言うことなのでるうも従った、そうして中佐の隊長室に入りそこで二人でソファーに向かい合って座った。
 中佐はすぐにだ、るうに言った。
「君は幼年学校を卒業してすぐに入隊したな」
「はい」
 その通りだとだ、るうは答えた。
「そうしています」
「そうだな、それで今は大尉だが」
 中佐は今度は階級の話もした。
「これからも昇進する、そうすればな」
「昇進と共にですか」
「要職に就いていく」
 一パイロットに終わらずにというのだ。
「そうなっていく」
「だからですか」
「そうだ、それでだ」
 中佐はるうに一息置いてから話した。
「士官学校に行ってみるか」
「士官学校ですか」
「大尉までならいい」
 つまりるうの今の階級までならというのだ。
「君は幼年学校を出てから瞬く間に大尉になった」
「戦うことなら自信がありますから」
 ロボットに乗ってとだ、るうは中佐に自信を見せた。
「ですから」
「忽ちのうちに二十機撃墜してエースになった」
 そしてその功績で少尉から瞬く間に大尉になったのだ。
「十五でな、しかしだ」
「士官学校を卒業しないと」
「そこまでだ」
 階級は大尉で終わりだというのだ。
「大学も出ていないしな」
「それで、ですか」
「そうだ、君の様な人材は大尉止まりでは駄目だ」
「だから士官学校にですか」
「入学を勧める」
 今の階級で終わらずにというのだ。
「そうしてもらいたい」
「そうですか、私が士官学校に」
「行ってくれるか」
 中佐はるうのその目を見つつ彼女に問うた。
「ここは」
「正直想像もしていませんでした」
 るうは中佐にまずはこう答えた。
「士官学校への入学は」
「幼年学校で終わりと思っていたか」
「はい、ですが士官学校に入り」
「そこで確かな教育を受けてだ」
 士官それも上級士官になるそれをというのだ。 
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