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敵は何か

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第三章

「俺達はな」
「平和を守らないといけないからこそ活動していますね」
「敵は戦争だけじゃない」
「平和、日常を脅かすものなら」
「何でもだ」
「だから災害にもですね」
「俺達は向かうんだ」
 今回の様に被災者の救助、インフラの復旧作業にもあたったというのだ。
「平和を乱すものにな」
「それは人間とは限らないですからね」
 オプノバもこのことをファイア=エボックに入ってわかった。それまでは戦争だけが脅威だと思っていた。
 しかしだ、実際にファイア=エボックは戦場で人々と助ける場合と同じだけ災害で人々を助けている。それならだった。
「災害もそうですから」
「これからもな」
「こうしてですね」
「災害救助も多いぞ」
「そうですよね、それじゃあ」
「急な仕事もないし暫くはだ」
 今回の任務は終わった、それならというのだ。
「待機、暇だがな」
「何かあれば」
「すぐに行くぞ」
「はい、そして一人でも多く」
 オプノバは隊長に穏やかだが確かな声で答えた。
「助けていきます」
「そうしていこうな」
「私達の敵全てに向かっていきます」
 平和を脅かすもの、その全てにとだ。オプノバは隊長に答えた。
 ここでオプノバ達を乗せた輸送機が滑走路を進みだした、そうして離陸に向かった。仕事を終えたオプノバは今は多くの人を助けられた満足感と安ど感そしてもっと多くの人を救えたかも知れないと思う無念が入り混じった中でインドを後にした。そのうえで次の仕事が来るまで平和な一時を過ごすことを楽しみにしていた。戦士の一時の休息を前にして。


敵は何か   完


                   2018・9・19 
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