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真ソードアート・オンライン もう一つの英雄譚

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インテグラル・ファクター編
  第二層攻略 その後

「こちらの商品、店売りで最大強化の+6!デバフ耐性の高さはさっきのボス戦でご覧の通り!オレッちの見立てでは第四層ボスまで通用するネ!」
「ほならまずは五万スタートやな!五万でいるか?」

キバオウとアルゴはレジェンドブレイブスから受け取った装備を使ってオークションをしている。特にキバオウは現実では商売人だったのかやけに様になっている。
第二層攻略後、ネズハは武器のエンド品すり替えについて攻略組の面々に謝罪した。当然攻略組のプレイヤー達は動揺と怒りを表していたが、レジェンドブレイブスのメンツも共犯者だと名乗り出たことである程度沈静化した。しかし、

「そんな事で許されるわけないだろ!!そいつらの言う通り強化した武器を売れば金は戻ってくるだろうが、死んだ人間は戻ってこねぇんだよ!!」

突然フードのプレイヤーが叫んだ。そしてその言葉にプレイヤー達に動揺が走る。プレイヤーが死んだという情報。それは最悪の事態だ。

「俺は知ってるんだ!そいつに騙し取られて安物の武器で狩りに出たら雑魚Mobに殺されたってな!!それを金だけで償えるわけないだろ!!」
「な!?」
「わかってんだろ?殺しちまったんだ。命で償えよ詐欺師共」

フードはそう言い放つと反響するように周りの人達も償いを求めさせるが如き雰囲気が流れ始めた。これは危険だ。

「みんな落ち着いて!」
「そうよ!そんな話聞いたことないわよ!?」

コハルとアスナは反論するが誰も聞いてはくれてないようだ。

「静かに!!」

突然リンドが声を上げた。皆んなはリンドの方を見つめる。

「オルランドさん。貴方は彼らのリーダーだ。ならわかるな?」

リンドは自分のメニュー欄から一本の剣を出すとオルランドの前に突き刺した。

「まさか……!?」

俺はこれからオルランドがすることを止めようと前に行こうしたが思ったより他のプレイヤー達が邪魔で前に行けなかった。

「オルランドさんそれだけは……それだけはやめてください!!」

ネズハは泣きながらオルランドの所に行こうとしたが、フードのプレイヤーを含む数人に取り押さえられた。

「ナーザ。最後にお前も揃って真の《レジェンドブレイブス》として戦えたことは誇りに思う。そして、お前にだけ辛い思いをさせて悪かった。ナーザそしてレジェンドブレイブスの勇者達よ!……ではな」

オルランドは地面に突き刺さっていた剣を抜くと、今度は自分の体に突き刺した。ここは圏内とは違い、剣で突き刺さればHPは減っていく。そして0になれば……

「オルランドさん!!」
「オルランド!!」
「そんなのいやだ!オルランドさん!」

ブレイブスのメンバーも叫ぶ。オルランドのHPは赤ゾーンを切り、もうすぐ0となる。
そして0になる瞬間リンドが動いた。

「貴方の覚悟はよくわかった。もういい」

オルランドに刺さっていた剣を引き抜く。オルランドのHPは1だけ残っていた。

「な、何やってるんですかリンドさん!そいつは人殺しのリーダーですよ!?何で止めたんですか!」

フードのプレイヤーは叫ぶ。リンドはくくっと笑い出すと、

「いや、死んだとも!強化詐欺の首魁オルランドはさっき死んだ!そしてここにいるのは《伝説の勇者達レジェンドブレイブス》のリーダーのオルランドだ!武器も防具も自身が手に入れたわけではない偽物だが、その心は本物の勇者だった!オルランドさん。俺たちはアンタたちを置いて行く。生まれ変わって一からやり直すなら……死ぬ気で追いついてこい!待ってはやらないが、その時は喜んで攻略組は《真伝説の勇者達レジェンドブレイブス》の加入を認めるだろう。だが、俺たちももっともっと強くなるがな!」

リンドの一言でプレイヤー達は拍手をし始めた。

「な、何だよお前らそんなんでいいのかよ!?人が死んだんだぞ!?」
「まあまあジョー。落ち着いて聞いてみぃよ。なんやねんリンドはん!オモロすぎやろ!……所でジョー。その死んだプレイヤーって当然ワイも知ってるプレイヤーやろな?強化詐欺の対象になるぐらいや。ワイが知ってるぐらいのプレイヤーなんやろな?」
「え、あの、その……俺も人から聞いた程度なので……」
「貴様そんな適当な理由使いおって!」

キバオウはジョーと呼んでいたフードの男の頭をぐりぐりしていた。
キバオウの仲間なのだろう。それにしてもアイツは怪しい。
これから気をつけておかないとな。

「よ!そこのお二人さん」
「キリトにアスナか」
「コハル!」
「アスナ!」
「二人を見つけて走って来たんだ。……ところでアヤト。お前もしかしてラストアタックの時、俺より一拍早くなかったか?今回のLAの表示が無かったんだけど……」
「さぁどうだろうな?そんなことよりあれは出口じゃないか?早く行こうぜ」
「ちょっ!?やっぱり取ってんじゃねーか!何が出たか教えてくれよ!」
「あ!ずるい!アヤトばっかり強くなって!」
「そうそう、何が出たか怒らないから教えなさい!」
「いや、もう俺の手元にはないんだ。なにせ、第二層の真のMVPは俺じゃあないからな。……俺達は止まらないからさ。ネズハ、お前達が止まらないかぎり、その先に俺達はいる。だからさ、止まるんじゃねぇぞ」
「なんだよそれ」

キリトが笑いながらツッコミを入れてくれた。

「とはいえ、俺もアヤトの行動には賛成だな。……帰ってこいよレジェンドブレイブス。それに、第三層からがSAOの本番なんだ」
「そうなの?なんで?」

アスナがキリトに顔を近づけて質問する。
キリトはたじろいでいたが、質問に答えることなく第三層への扉を開けた。
 
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