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女の水虫

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第五章

「絶対に変な病気にならないわよ」
「だといいけれどね」
「じゃあね、私これから勉強があるから」
「ああ、あんたもね」
「受験だからね、だからね」
「今から受験勉強ね」
「入試まであと少しだから」
 それでというのだ。
「勉強に専念するわ」
「今日も夜遅くまで勉強するのね」
「そうするから」
 それでというのだ。
「悪いけれどお姉ちゃんの部屋に戻ってね」
「それじゃあね、けれど身体には気をつけてね」
「大丈夫大丈夫」
 ローラは明るく笑って姉に言ってこの日も勉強に励んだ、連日連夜無理をして勉学に励み入試に挑んだが。
 入試が終わるとだ、一気に気が抜けて体力も落ちきっていてだ。
 ローラは体調を崩してインフルエンザになった、それで回復してからカレンに呆れた顔で言われた。
「あんたもなったわね」
「全く、迂闊だったわ」 
 インフルエンザから復活して姉に言うのだった。
「まさかね」
「あんたも伝染病になるなんてね」
「それで隔離されてしかもね」
「熱相当出てたのよね」
「四十度いってたわ」
 四十・五度だった。幸い四十二度にはいかなかったが。
「いや、死にかけたわ」
「全く、水虫にはならなくてもよ」
「伝染病には気をつけろってことね」
「そうなるわね」
「五日で治ったけれど」
 インフルエンザはと言うローラだった。
「私も伝染病になったからね」
「一緒ね」
「ええ、一緒よ」
 まさにと言うしかなかった、カレンも。
「あんたも伝染病にかかったから」
「そうした意味では水虫と同じね」
「そうなるでしょ」
「ええ、私はならないって言ったのに」 
 ローラはようやく回復してきた身体で姉に応えた。
「なるなんてね」
「だから言ったのよ」
「そのこと痛感したわ、それじゃあね」
「ええ、やっと回復したから」
 その間ずっと家の中にいても隔離状態だった、食べる時も別々で完全に伝染病患者扱いであったのだ。
「とりあえず美味しいもの食べるわ」
「そうしましょうね、今日はあんこう鍋よ。お母さん言ってたわ」
「それはいいわね、あったまるし」
「あと入試の方はどうだったのよ」
「その時は調子よかったけれどね」
 終わって一気に気が抜けてしまってインフルエンザになったのだ。
「どうかしらね」
「合格発表もね」
「そろそろだけれど。受かってたらいいわね」
 そちらは大丈夫だった、だがローラは。
 以後姉の水虫のことは言わなくなった、それは自分も伝染病に罹ってしまったからだ。それで姉妹は以後揃ってそうした病気には気をつける様になった。


女の水虫   完


                 2018・2・16 
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