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ドリトル先生と奇麗な薔薇園

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第十幕その二

「どうしてかな」
「日本の皇室って天皇陛下だったね」
「そうそう、英語じゃエンペラーさね」
「皇帝だよ」
「王様と皇帝って違うの」
「それもかなり」
「これが全然違うんだよ」
 王子は皆にはっきりと言いました。
「同じ君主でもね」
「へえ、そうなんだ」
「そこまで違うんだ」
「王子が敬って執事さんが恐れ多いと言う位に」
「そこまでの方々なんだね」
「そうだよ、だから日本で侍従さんと間違えられると」
 日本の宮内庁に勤めているこの人達と、です。
「大変だしね」
「だからです」
 それでとです、執事さんも言ってきます。
「私は今はです」
「執事さんとだね」
「呼ばれる方がいいんだ」
「そうなんだね」
「そうだよ」
「そう、王と皇帝は全く違うんだ」
 先生もこのことをお話します。
「皇帝は一つの文明の統治者、複数の民族と宗教の上にあってね」
「あれっ、それじゃあね」
「イギリスの王様はね」
「複数の民族と宗教に上にあっても」
「文明の上にはないからね」
 それでと気付いたのでした、動物の皆も。
「王様であっても皇帝じゃないんだ」
「昔は七つの海を支配する大国の王様だったのに」
「そう、そして皇帝は他の人を王に任命出来るだ」
 そうしたことも出来るというのです。
「ローマ皇帝も中国の皇帝もね」
「そして日本の天皇も」
「それが出来るんだ」
「日本の中ではね」
 それが出来るというのです。
「出来て実際にかつて皇室の方で王に任じられた人もいるよ」
「長屋王でしたね」
 トミ―が奈良時代の人の名前を出しました。
「あの人とか」
「国を治めてはいないけれどね」
「それでもですね」
「そう、日本の天皇陛下もね」
「王を任じることが出来るんですね」
「だから僕なんてね」
 王子がまた言いました。
「日本の皇太子殿下とは立場が違うんだ」
「全くなんだ」
「そうなんだ」
「皇帝は王の上におられる方なんだ」
 動物の皆にも答えます。
「そのこともあってね」
「執事さんは侍従さんとは呼ばれずに」
「執事さんと呼ばれて」
「それでいいんだ」
「はい」
 今度は執事さんが答えました。
「そうなのです」
「成程ねえ」
「その辺りの事情もわかったよ」
「色々難しい理由もあるんだね」
「そうなんだ、あとベルサイユの薔薇で出て来るのはね」
 今からはじまるこの舞台ではといいますと。
「王様だよ」
「ルイ十六世だね」
 ガブガブが言ってきました。
「あの人だったね」
「何か可哀想な人だね」
 ホワイティはしみじみとした口調で言いました。
「悪い人じゃないのに」
「そう、時代に流されてね」
 ポリネシアはホワイティに応えて言いました。
「最後はギロチン台送りなんて」
「あの人も王妃様も悪い人じゃないよ」
 ジップもこう言います。 
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