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戦国異伝供書

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第六話 都への道その十二

「そうですな」
「わしは人に好かれたくてしておらぬが」
「それでもですか」
「お主もな」
「少しは落ち着いてですか」
「そうせぬと人が来ぬぞ」
 周りにというのだ。
「だからじゃ」
「よりですか」
「血の気を少なくしてな」
「みだりに刀を抜かぬことですか」
「そうせよ、よいな」
「それはま難しいですな」
 長可は父の言葉を聞いてこう返した。
「それがしにとっては」
「そこを何とかせよ、よいな」
「それがいいと思います」
 蘭丸も長兄に言ってきた。
「兄上はこのままではです」
「鬼だ何だと言われてばかりでか」
「よくありませぬ、ですから」
「ここはか」
「はい、ご自重を備えられるべきかと」
「そういうものかのう」
「是非共」
 蘭丸もこう言うのだった。
「そうされるべきかと、久助様もです」
「うむ、あの御仁もな」
「普段は落ち着いておられますな」
「戦の場でもな」
「冷静沈着、落ち着いてことを果たされる方なので」
 このことは戦でも政でもだ、だから信長も重用している。
「ですから」
「あの方の様にか」
「なられてみては」
「うむ、では一度久助とお話をしてみよう」
「それでは」
 蘭丸も笑顔で応えた、こうして長可はそのあり余る血の気をどうにかする為にまずは滝川と話をすることにしたのだった。


第六話   完


                    2018・6・15 
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