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空に星が輝く様に

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40部分:第四話 桜の木の下でその三


第四話 桜の木の下でその三

「そうしただけだよ」
「本当にね」
「凄いな」
 陽太郎は腕を組んでそんな彼等を褒めるのだった。
 そしてだ。こうも声をかけた。
「それじゃあな」
「どうしたの、今度は」
「頑張ってくれよ」
 微笑んでの言葉だった。
「これからな。クラス委員な」
「斉宮も」
 椎名がその彼に応えて言ってきた。
「図書委員頑張ってね」
「ああ、これは俺の天職だからな」
 彼は笑ってこう答えた。
「それはな」
「図書委員が天職なの」
「将来図書館に勤めようと思ってるんだ」
 何気に将来の夢も話すのだった。
「あと博物館もいいよな」
「じゃあその資格を取ればいいわ」
 まさにそうすればいいという椎名だった。
「その二つをね」
「ああ、大学に入ったら勉強するからな」
「そうするといいわ」
 そんな話を三人でしているとここに狭山と津島も来た。そうして彼等の話の輪の中に入って来たのである。
「よお、委員さん達と図書委員かよ」
「元気みたいね」
「来たのね」
 椎名はその彼等を見ても言ってきた。
「美化委員ね」
「ああ、それになったからな」
「宜しくね」
「美化委員か」
 陽太郎はその彼等を見て言うのだった。
「何か津島はともかくとしてな」
「俺かよ」
「狭山、御前ちゃんとできるのか?美化委員なんて」
「おい、俺はな」
 その狭山が怒った声を出してみせて応える。
「これでも掃除はちゃんとするんだぞ」
「そうなのか」
「そうだよ。奇麗好きなんだぞ」 
 少しムキになっての言葉だった。
「俺だってな」
「じゃあいいけれどな」
「これは本当のことよ」
 津島もそうだと言ってきた。
「こいつお掃除とかは真面目にするから」
「そうなのか」
「私は職業柄そうだけれど」
 ここで津島はこう言ってきたのだった。
「職業っていうかお家の仕事の関係でね」
「お家の仕事?」
「うちケーキ屋なの」
 それだというのだ。
「喫茶店と一緒になったね」
「へえ、ケーキ屋だったのか」
 話を聞いた陽太郎は意外といった顔になった。
「それで掃除とか念入りにやるんだな」
「お店の中でゴキブリなんか出たら」
 津島は食べ物を扱う商売で最悪のケースを例えに出してきた。
「終わりじゃない。お話にならないでしょ」
「だからか」
「そうよ。お掃除は念入りにするの」
 まさにそうだというのである。
「だからなのよ」
「それでなのか」
「そういうこと。お掃除は真面目に」
 津島は真面目な顔で話す。
 
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