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妖精の尻尾所属の戦闘民族(旧)

作者:貝殻
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第24話 アカネリゾートにて

 
前書き
予定より遅れての投稿…遅れちまったなぁ…。

この8月中に楽園の塔編を終わらせたい…できるかな…
 

 
手紙がオレの元に届いてから数日、オレは手紙の主に返事を返してないまま今、アカネリゾートに来ていた。それも前回できた最強チームのメンバーたちと。

「…なぁ…本当にオレも一緒でいいのか?」

「いいからこそ誘っただろう?ほら、レッドさんも行こう」

アカネはフィオーレ王国で人気のある観光地であり、ピーチやリゾートホテルも高級だ。
そのリゾートホテルの地下にはカジノが存在していることから客に対して退屈させないように造られており、そのリゾートホテルで遊びが絶えない。

透明なほど綺麗な海、日差しの中でもその太陽の光を反射して人の心を癒やすような光景。
蒼い空の下に碧い海。この中で水着を着ていても圧倒的な解放感を覚えてしまう。

「見ろよこの水!!!めっちゃ透明だぞ!!!」

「うおおっ!!!スゲェ!!!」

「グレイ海バン履こーよ」

今の自分より解放感になっている裸族が居るが気にしない。

「ってか、なんでオレも…?」

「……遊ぶ人数は多い方がいいと言うだろう?」

隣にいる緋く長い髪をポニーテールに縛ったスタイル抜群とも言えるプロポーションを持つ女、エルザは顔を少しだけ赤らめながらオレの疑問に応える。
それなら分かるが、別にオレじゃなくていいんじゃ…等考えてしまうが別に深い意味はないと言っているし、気にしないでおくのがいいのだろう。



今朝作業していたら何故かロキとエルザにこのアカネリゾートに来ることにされいてた。
いや、普通に誘われて特に何もなかったから一緒に来たけど…オレって関係なくねえか?

ただ、ロキがエルザに耳打ちしながら誘ってきたことから何か企んでのことだろうけど…まぁ悪いモンじゃないはずだ。…そのロキのことも今朝リゾートホテルのチケットと共に重要なことを明かされたけども。

確か、あいつは指輪魔法を使う所持(ホルダー)系の魔道士だった、と思い出す。あいつ中に秘める魔力は確かに能力(アビリティ)系の魔道士になれたが…成る程。

魔法は気。 気は魔法。

それが尽きればその生物の生命が無くなる。
故に自身の中の魔力をできるだけ消費を避けるために所持(ホルダー)系の魔法を使えれば魔力消費を避けていたってことか。
ある意味オレの超サイヤ人と同じように消耗していたってことか。

「しかしロキが星霊かぁ…」

…もう少し早く気づいたら、なんて劣等感を持たない。
ただ今、ロキの今朝で見た元気な姿を見てよかった、と思う。
また共に、仲間(家族)として過ごせることに感謝しよう。

スイカ割りで間違えてスイカではなく人の頭を棒で叩いたルーシィを見て心の中で感謝を紡ぐ。

―――ロキを救けてくれてありがとう


…そういえば…あまりルーシィと会話したことがないな、と気づいたオレは機会を見つけて今度雑談してみよう、と思うのだった。


…ん?

「どうしたんだエルザ?なんか不機嫌そうだけど…」

「いや何も。ただレッドさんは私よりも胸が大きいルーシィをずっと見ているからってことに対して何も気にしてないからな」

「…お、おう…?」


隣でエルザの気が段々と上昇していくから聞いてみたものの、どうやらオレがルーシィの果実を見ていたと勘違いされているようだ。
そんなつもりじゃない、いや大きいなって思ったはいたけど別にガン見するほど見ていたわけじゃない、じゃないぞ?
てか今日も真面目委員長としての顔があったのか…これは参った。羽根を伸ばしているから見ることはないと思っていたのだが…。

エルザの機嫌をどうやって取ろうと悩みながらでいると、ふと近くで会話している男女に気づいた。
どうやら男の方が女性を怒らせてしまったことで謝罪している様子。

ふと、彼らの会話を耳に挟んだ。

「ごめんって…あ、そうだ!今日の水着綺麗だよな!いつもより魅力を表しているって感じで!!」

「えっ…そ、そう…!?よかったぁ…!水着を選ぶのに結構時間がかかってね…!!」


…そういえば前世でも「女の人を怒らせたらひたすら褒めろ」って言っていたな…アレは確かに効果が良かったと噂もあるし…現に目の前の彼らが仲直りになっている。…この手を使うか。

「そういや今エルザが着ている水着でより一層綺麗だよな。 魅力的だったけど、今日はまた別の魅力が出てるんじゃねえか?」

「――へっ?あっ…そ、そうか?…私って、魅力的か…?」

よし、いい感じだ…後少しだけ褒めて危機から脱出だ。行ける…なにせエルザは誰から見ても美人。オレから見ても美人!なら褒めれる要素はまだ沢山ある…!!

「おう、そりゃもう…なんていうか、可愛かった少女時代から美人な女性になったなって実感するな」

「――――――――」

昔から見たエルザのことを思い出し、そして子供だった頃と今を比べて見ると本当に大人になったと実感を持つ。まるで妹が成長したって気分だ。…いや、いないけど。

目の前に居るエルザは本当に綺麗だと思う。
誰から見ても美人と思われる容姿だし、何より彼女は情が厚く人のことを考えられる人だ。
もう子供扱いはできないが、これからも仲間(家族)であることに変わりはない…


――そう、ないはずだ。



「おーい!!エルザーー!!レッドーー!!ビーチバレーすんぞ!!」

1年前から聞き慣れた声の持ち主、ナツに呼ばれオレは「今行く!」とだけ伝える。
さっきから顔を赤らめて立ったまま固まるエルザ。
あまり褒め慣れていなかったか…?おかしいな、ギルドの奴らから何か言われて…ああ、怖い方から印象深いからあまりないのか?

「おーい、エルザー?…もしもーし?」

「―――ハッ!?な、なんだ…!?」

「あ、気づいたか。ビーチバレーするから来いって」

「そ、そうか…ビーチバレーだな?よし…やるぞ…!」

「お、おう…じゃあオレとエルザだけ別れてやろうぜ、どれだけ強くなったか見せてくれや」

「も…勿論だ…!この1年間、私がどれだけ腕を上げたかその目で得と見て――やっぱりなしで」

「…??じゃあ行こうか」

顔が赤いままだが、どうやら元に戻った…?みたいだ。
久しぶりの勝負なのでできるだけ楽しんでおこう…あ、そういや”アイツ”も呼んでおけばよかったかな。

最近鍛えていた魔道士のことを呼べばよかったな、なんて思いながらナツ達の下にエルザと向かう。
できるだけ楽しく、今の一時を味わおう。

―――できるだけ忘れないように




◆◆◆◆◆◆


ビーチで沢山遊び終わった後、オレたちはホテルに戻ってきていた。
部屋は二人割の用だったんでナツとハッピー(人…??)ペアとオレとグレイペア。
女性陣は二人しか居ないんでルーシィはエルザペアで決定。
ナツとハッピー、グレイは地下でカジノに行って先に遊んでいるとのこと。
んでオレはホテル内で散歩なわけだが…。

「――妖精の尻尾(フェアリーテイル)のサイヤ人ってレッドさんのことだったんだ…」

「おう、てかオレしかいないなサイヤ人って」

「フィオーレ一って言われているから他に居ても可笑しくないですね」

「そう言われてみれば」

「…レッドさんってS級魔道士ですよね?」

「そうだぞー、あとさん付けしなくていいからな?」

「あ、うん」

ルーシィと鉢合わせになり、とりあえず雑談をした。
やったね、新しい仲間と普通に話せたよ!

「あまりルーシィと話せたことないから今回話せてよかったよ。それと、ロキのことありがとうな」

「いいのよ、仲間を助けるの当然でしょ?」

そう言ってニッと爽やかに笑う少女に感謝の念しか抱けない。
オレたちが知ることもできなかったロキを、唯一救い出せた仲間だから。

………さて、


「オレもそろそろカジノに行くかね…ルーシィはエルザを呼びに行くんだろ?」

「うん、そうよ。でも私が呼ぶよりレッドが迎えに行ったほうがいいんじゃないかしら?」

ニヤニヤとそう尋ねてくるルーシィに疑問符と共に顔に浮かべる。
男が女の部屋に入るのはオレ的によろしくないし、何よりも相手が着替え中…いやエルザは換装で早着替えできるんだっけ。

だけど…()は遠慮すべきだな。

「なんでオレのほうがいいんだよ?オレよりチームでこれからも仲が深めることになるルーシィが適任だろうが…それじゃ行ってくるよ」

ルーシィに背を向け、そのまま地下へと向かっていく。
後ろから呆れたような溜息と共に「あの人…鈍いのかしら?」なんて言葉は聞こえていない。
ないったらないのだ。

…行くか。





地下へと足を運び、ホテルに着いてから気になっていた()を持つ一人の男に声を掛ける。

「誰か知らねーが…今やめてくれねえか?せっかくみんなで楽しんでんだ」

「―――そいつは、相談できないことだ」

そう返した男――エルフマン程だろうか、かなりの巨漢の持ち主。
左目はファッションなのか、それとも傷でできたのか、黒い眼帯を付けている。
(魔力)をオレの所まで器用に送っていた(・・・・・)男はオレの前に立ち、そのでかい図体でオレを忌々しげに、そして悔しそうに顔を歪めながら言い放つ。

「――交渉をしよう、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の戦闘民族サイヤ人、レッド・パッペ」

「……聞こう」

オレたちに荒事に巻き込もうとしているのを間違いなしの目の前に男に対してどんなにも忌々しげにこちらを睨んでもその目の奥にある信念に、強さを感じたからだろうか…悪人とも思えなくて、オレは最後までその交渉を聞くことにした。何よりも、”アイツ”の面影と気が少し似ている――なら悪いやつじゃないって思えた。



「――エルザのために、力を貸せ」









◆◆◆◆◆◆


―――夢を見る、夢を見る。

悪夢のような日々を、また夢に見る。
8年前からよく見ていた悪夢、過去からの後悔。

その悪夢の中で自分は頭を抱え、今とは違い只々両目から涙を流していた。
恐怖で涙を流した、痛みで涙を流した、悲しみで涙を流した。

――そして、ついに半分までの涙を流しきってしまう。

誰か、私を―――私たちを救う者は…いないか…なんて甘えてはならない…甘えられない。

だが…この悪夢の中でも唯一の光が輝いた。

――――オレが絶対に助けてみせる…!だから…


その言葉は、自分が前から聞きたかった言葉、聞きたかった誓いの言葉。

――――だから、オレを…仲間(家族)たちを頼ってくれ。

安心する、心の拠り所ができた。

――――その信頼は絶対に裏切らねえから―――――





そこで目が覚めた。

悪夢を見ていたからか、体から大量の汗が流れていた。
酷く怠い、風邪を引いたような感じではない。
だが…悪夢を見た後の嫌な感じがない。

「…夢……」

自分が寝てしまったのが夕刻で、今起きたのは夜。時間はいつなのか…。

確かめるために部屋に戻り、ベランダのドアを閉める。
前に向きながら閉めたので、当然ガラス製のドアから自分の顔が反射する。
改めて自分の顔を見て、ルーシィの部屋にあった雑誌でグラビアに出ていた女性と同じようなポーズをしてみる。自身の手に形を置くような仕草で微笑みをガラスへと向けて。

…何をやっているんだ私は。

自身に呆れる。
私がこんなことをするような女だったか?と。
それにこんな格好より、やはり鎧の方が落ち着くな。
水着からいつもの鎧へと換装しようとしたその時――少しだけ、今日彼に言われた言葉を思い出す。

――――美人な女性になったなって実感するな

少しだけ、自分の顔が熱くなるのを感じる。
それは部屋の温度のせいか――或いは…いや、分かっている。

「フフ…私という女は…こんなにわかり易い女だったか?」

自然と笑みをこぼしてまた自分に呆れる。
これだから私は…だけど、彼に関することならそうかもしれないな。

この後、私はルーシィに呼ばれ、カジノに合うドレスを着込み、彼らのいるカジノへと向かうのだった。

―――悪夢の再来となることを知らずに。








 
 

 
後書き


 
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