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戦国異伝供書

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第四話 治世の功その十二

「それがしはですか」
「それはないわ。だからお主があの御仁と付き合ってもな」
「よいですか」
「猿もじゃ。あ奴も邪気はないからのう」
 それが彼の魅力でもある、その妙な人懐っこさが猿顔である彼を人に親しまれ愛される様にしているのだ。
「それでじゃ」
「あの御仁もですか」
「松永殿と付き合ってもな」
「いいのですな」
「若し悪い者が付き合えばな」
 松永、彼とだ。
「類は友を呼ぶでな」
「徒党を組んで」
「それで悪い一派となるが」
「それでもですか」
「お主と猿は違う。むしろあの御仁をな」
「よくすることもですか」
「有り得るやもな」
 前田は言いつつもその可能性はまずないと思っていた、しかし若しもやとも思いそれで言うのだった。
「だからな」
「それがしと羽柴殿は松永殿と」
「付き合っていくべきか。わし等は最初から無理じゃな」
 若しやと思っていてもというのだ。
「その様にな」
「はい、それでは」
「それでじゃが」
 さらに言う前田だった。
「わしは今度は伊勢の法の田畑のことでな」
「政の役をですか」
「することになった」
「今度はそちらですか」
「それでじゃ」
「そちらでお忙しいですか」
「うむ、とかく今はな」
 二十国以上を手に入れて天下第一の勢力となった織田家はというのだ。
「内の政にじゃ」
「忙しい限りですな」
「田畑に街に城に道に堤にな」
「やることが多いですな」
「人も増えた、だからな」
「その分ですな」
「やることが多い、お主も賊の征伐位は出来よう」
 政には興味がなくてもというのだ。
「そうであろう」
「賊共と戦をするなら」
 それならとだ、慶次も応えた。
「ならば」
「ならそちらをせよ。賊もおる」
 織田家の領内にもだ、街や村にもいれば川や山にもいる。とかく賊という者供は何処にでもいるものだ。
「その者達をな」
「成敗していくことも」
「政じゃ。賊がいなくなればな」
 それでというのだ。
「民もそれだけ安んじる」
「そうなるからこそ」
「賊を成敗することもよいであろう」
「左様ですな。では」
「うむ、殿のそうお考えの筈じゃ」
 信長もというのだ。
「ならばな」
「殿からお話があるので」
「それでじゃ」
 その時にというのだ。
「動くかお主からな」
「賊退治にですな」
「出てもらいたい」
「それもまた戦」
 慶次は叔父の言葉に笑って応えた。 
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