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ストライクウィッチーズ 流星の白虎と暴れ馬のウサギ

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流星の白虎と暴れ馬のウサギ

人類とネウロイの戦いが始まって6年になる1944年のガリア上空から、物語は始まる……。

見渡す限りの青空を駆け抜けていく二つの人影があった。
二つの人影のうちの一人は頭からホワイトタイガーの耳を生やし、”試作モデルの耐Gスーツ(※右肩、腕部分に高度計、ストライカーを放棄しての緊急脱出(ベイルアウト)する際に使うパラシュートパック、バーティゴ (空間識失調)に陥った際に使用する水平アラーム付きの水平器等が装着されている )”に身を包み、手にトンプソンM1A1短機関銃を握りしめた少年だ。
もう一人の方は頭からウサギの耳を生やすと同時に、腰の辺りからウサギの尻尾を生やし、リベリオン軍の軍服に身を包み、手にブローニングM1918自動小銃(※以下、BAR)を握りしめた少女だ。
そんな二人の足には、鋼鉄の魔法の箒であるストライカーユニットが装着されている。
少女の方は、リベリオン合衆国が開発した傑作レシプロストライカーユニットである「ノースリベリオン P-51D」が装着され、魔力で形成されたプロペラが回転している。
そして少年の方には、少女と同じくリベリオン合衆国が開発した新型のストライカーユニットにして、”リベリオン初となる実用ジェットストライカー”である「ラッキード P-80」が装着され、排気口からガスバーナーの様な青い炎が吐き出されていた。
そんな鋼鉄の箒をつけて、空を飛ぶ二人の内、少年の方は無線機のチャンネルを回すと管制室に連絡を入れる。
「こちらデビル5より管制室へ、応答せよ。繰り返す、こちらデビル500より管制室、応答せよ」
『こちら管制室より、デビル500へ。感度良好、どうぞ』
「哨戒任務の途中報告を行う。現在、地点デルタ337を哨戒飛行中、現在までネウロイの姿は確認されず。繰り返す、現在、地点デルタ337を哨戒飛行中、現在までネウロイの姿は確認されず。オーバー」
『こちら管制室、了解。引き続き、哨戒任務を継続せよ』
「こちらデビル5。了解、通信終了」
そう管制室とのやり取りを交わす少年は、俺……ウィーラー・マッカダムスだ。
リベリオン合衆国出身のウィザードにして、”連合軍が確認する二人の飛行可能なウィザードの一人”として、リベリオン陸軍航空軍・第3技術開発チームに所属するテストパイロットの大尉にして、現在、501統合航空団に派遣されている。
でもって、さっきの管制室とのやり取りで言った”デビル5”って言うのは、ウィッチや航空機パイロットが任務飛行中における通信時の便宜上で使う非公式の愛称……いわゆる”TACネーム”って奴だ。
まぁ、あんまり501の面々は使わないな……。たまにカールスラント空軍から派遣されているウィッチにして、俺たちの隊長であるミーナ中佐(※以下、隊長)か、体調の右腕であるバルクホルン大尉(※以下、バルクホルン)が使う程度か。


そんな俺が今、コンビを組んで哨戒任務に当たっているのは、同じくリベリオン合衆国出身のウィッチである”シャーロット・E・イェーガー(※あだ名、シャーリー。なぉ、以下、シャーリー)”だ。
俺が501に配属される前より、501に所属していたウィッチであり、501で一番のナイスバディの持ち主だ。
んで、俺が配属された当初から、同郷の人間と言う事で何かと絡んできて、知らぬ間に『相棒』になっていた。ったく、知らぬ間に相棒ができるとはなぁ……全く何がどうなっているんだか……?
そんな彼女が任務で使うTACネームは、彼女自慢のナイスバディを元にしたあだ名でもある”グラマラス・シャーリー”。まぁ、殆どが「シャーリー」で読んでいる。
「ん?どうかしたのか、ウィーラー?」
「いや、何でも無いぞ」
そんな考えが知らぬ間に表情に出ていたのか、ふとそれに気づいたシャーリーが俺に対して、話しかけてきたので軽く受け流す様に俺は言葉を返す。
俺の返した言葉に対し、「あっ、そう?」と軽く返ながらシャーリーは、続け様にこう言い放つのだった。
「しっかし……暇なもんだねぇ……、哨戒任務って言うのは……」
「愚痴るなよ。ここ最近、新型ネウロイが基地の近くをウロウロしてるって話だから、哨戒してるんだろ?」
……とまぁ、この会話の示す通りに、今、俺達が飛んでいる空域をここ最近になって、今までのデータにない新型のネウロイが飛んでいるとの目撃情報が他のウィッチ部隊から寄せられていた。
で、その情報を元に俺達、501の面々も交代で空中哨戒任務に当たっており、今日は俺とシャーリーの担当な訳である。
「寝床を吹っ飛ばされたくなけりゃ、文句言わずに黙って飛んで、周囲見ろ」
「ハイ、ハイ、ハイ」
「ハイは一回」
「ハーイ」
「伸ばすな」
……とまぁ、こんな感じで哨戒任務中とは思えないどっかの高校生の会話の様なやり取りをしていた時だった。


ふと俺の視界の黒く動く物が飛び込んでくる。
「ん?」
あれは一体、何だ?
そう思いながら、その黒い物体に視線を向けて小隊を確かめると、それは中型爆撃機サイズのネウロイだ。
しかも、さっき述べた、ここ最近になって、この空域に出現しているという新型ネウロイ。
それを確認するや否や、俺は声を張り上げてシャーリーに知らせる。
「2時の方向、Tallyho target(タリホー、ターゲット)!!」
Tallyho target(タリホー、ターゲット)Roger(ラジャー)!!」
俺の報告で気づいたシャーリーも2時の方向を見て、例の新型ネウロイ発見の報告を復唱しつつ、素早くベルトからぶら下げていたポーチから、カメラを手に取って新型ネウロイの写真撮影の用意をする。
そんな彼女の側で、俺は素早く管制室に対して無線連絡を飛ばす。
「デビル500より、管制室。繰り返す、デビル500より、管制室へ。応答願う」
『管制室より、デビル5へ。感度良好、どうぞ。オーバー』
「こちらデビル5。現在、地点デルタ398地点にて新型ネウロイを確認。繰り返す、現在、地点デルタ398地点にて新型ネウロイを確認した。大至急、ミーナ隊長へ、指示を願うと伝えよ。オーバー」
『了解、ミーナ中佐と変わります』
管制官はそう言って、通信を一旦切る。


再び通信が繋がった時に無線機のスピーカーから聞こえてきたのは、俺とシャーリーの隊長であるミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐の声であった。
『ミーナ中佐より、デビル5へ。ウィーラー大尉、応答願います』
「こちらデビル5、どうぞ」
そうミーナ中佐の通信に対して、俺が返事を返すと、ミーナ中佐は無線機越しにこう問い掛けてくる。
『ウィーラー大尉、ネウロイの様子はどうなってるの?』
「現在、自分とシャーリーはネウロイの後方上空約7500メートルに居ます。ネウロイは、自分達にまだ気づいていない様です」
『了解、直ちに待機中のエイラさん達を応援に向かわせます。ウィーラー大尉達は引き続き、最大限に警戒しつつ、写真撮影及びネウロイの動向を追って、エイラさん達と合流して頂戴』
「デビル5、了解。通信終了」
俺はミーナ中佐の指示に対し、そう言って通信を切ると、今度はカメラを構えるシャーリーに話しかける。
「シャーリー、写真撮影しつつ、動向を追えとの指示だ」
「OK、デビル5。じゃあ、早速写真撮るぜ」
シャーリーは、そう言うと言葉通りに、さっき用意したカメラをネウロイに向けて構えるなり、シャッターを押してフィルムにネウロイを収めていく。
そんなシャーリーが写真に収めているネウロイの姿と言うのは、カールスラント空軍で試作された左右非対称の変t……じゃなくて、とんでもないフォルムの偵察機の”ブローム・ウント・フォス Bv141(※以下、 Bv141)”によく似ている。
このBv141の特徴でもある左側にある巨大なプロペラすら、きっちりコピーされている。ネウロイはプロペラやジェットの様な動力装置が無くても飛べるのにだ。
現にそのコピーされたプロペラ部分は回転していないし、形こそ同じだが、機能としては別物……と思った方が良いだろう。何の機能かは予想もつかないが……。
因みに俺はテストパイロット&技術士官と言う立場な為、リベリオン軍とカールスラント軍の技術部の交流会で一度だけ実機&飛んでいる姿を見たことがあるが、とにかくシュールな光景だったな……。
って言うか、何を思ってネウロイの連中はあんな変t……じゃなくて、ぶっ飛んだ設計のBv141をコピーしてるんだ?
「よーくあんな姿で飛べるもんだなぁ~……。って言うか、何を考えてネウロイはあんな姿にしたんだ?」
ふとそう思う俺の側で、俺と同じ様なことを考えたシャーリーがポツリとつぶやく。
ホント、シャーリーの言う様に全く異形の存在の考えることは本当に訳が分かんねぇよ……。


そんな考えを胸に抱くと同時に、また別の考えが脳内に浮かんだ。
その疑問とは「どうして、あのネウロイは俺達に気付かない?」と言う事だ。
俺が501に着任してから、もう既に何度かネウロイとの接触&戦闘を行ったが、それらのネウロイは全て俺らの姿が見えなくても、ネウロイ独自のレーダーか何かで俺達を発見し、先制攻撃を仕掛けてくる事が多かった。
勿論、今、対峙しているネウロイの様に俺達に気付かないで飛行していて、俺達の待ち伏せ攻撃を食らうネウロイも居たが、ほんの僅かだ。
それに正直、今、俺とシャーリーが居る場所はネウロイの後方ではあるが、その気になれば直ぐにでも見つけられる場所だ。
だから、俺とシャーリーも戦闘に突入する事を前提で接近していたのだが、ここまでスルーされると逆に落ち着かないな……。
って言うか、逆にネウロイの方も敵対する勢力である俺たちが後方から接近されているのによく落ち着いて飛んでいられるな……。
まるですぐ近くに味方のネウロイでもいるかのように……。


……って、まさか!?
「っ!!」
ここまで考えて、ある考えが脳内を駆け巡ると同時に俺の第六感が何かを感じ取ったのか、背中に凄まじい悪寒が走る。
「どうした、デビル5?」
「……後方から来るぞ!!」
「っ!?」
俺の様子を見て怪しいと思ったシャーリーに対し、俺がそう叫んだ瞬間、シャーリーは豆鉄砲を食らった鳩の様な表情を浮かべると同時に、俺の第六感が察した通りに俺とシャーリーの後方から、新手のネウロイが出現し、俺達に向けて攻撃を加えて来たのだ!!
「上昇、回避行動!!」
「くっそ!!」
叫び、悪態をつきながら上昇した俺とシャーリー達に向け、次々と撃ち込まれるネウロイのビームを回避すると同時に俺とシャーリーに攻撃を加えて来た5機の小型ネウロイが高速で、俺とシャーリーの足元を飛行していく。
それを見ながら、俺とシャーリーはともに手持ちの銃の安全装置を外しながら、戦闘態勢を取りつつ、無線機に向かって叫ぶ。
「緊急、緊急!!こちらデビル5、ネウロイとの交戦に突入した!!」
「敵は小型ネウロイ、5機!!大至急、応援を願う!!場所は地点アルファ337、高度8800メートル!!繰り返す、地点アルファ337、高度8800メートルだ!!」
無線機に叫び、応援を要請しながら、新たに飛んでくる小型ネウロイのビームを回避する俺とシャーリー。
すると、俺とシャーリーの叫び声を聞き、ミーナ隊長が緊張感あふれる口調でこう伝えてくる。
『こちらミーナ隊長、了解!!直ちに救援に向かうわ!!』
「了解、時間は!?」
『おおよそ20分って所ね……私達も先行するエイラさん達と合流しつつ、出来る限り早く向かうから、それまで何とか持ちこたえて!!』
「了解!!」
ミーナ隊長の無線通信に対し、俺がそう復唱を返しつつ、通信を終了する側でBARの安全装置を外しつつ、シャーリーが悪態をつく。
「20分って、早いんだか、遅いんだか良く分からない時間だな!!」
「来ないより、マシだ!!やるぞ、シャーリー!!」
「分かってるよ、やってやろうぜ!!」
俺とシャーリーは言葉をそう交わしながら、ネウロイとの戦闘を開始するのだった……。





……

………



その頃、501統合航空団の基地では、俺たちの応援に向かうべくミーナ隊長達が出撃体制を整えていた。
愛用のA6M3a零式艦上戦闘脚二二型甲に足を通し、エンジンを起動させながら第501統合航空団の副隊長である坂本美緒少佐がミーナに問い掛ける。
「ミーナ、二人の状況はどうなってる!?」
「地点アルファ337、高度8800メートルで小型ネウロイ6機との交戦に突入したわ!!」
「6機か……、更に例の新型ネウロイも居る訳か」
「えぇ、不味い状況よ!!」
口調を強めながら、美緒に言葉を返しつつ、ミーナが愛用のメッサーシャルフ Bf109G-2に装着するのを横目に見ながら、美緒は愛用の扶桑刀を背中に掛け、整備兵から渡された九九式二号二型改13mm機関銃のコッキングハンドルを引く。
「先に応援に向かったエイラ達には伝えてあるな?」
「えぇ、直ぐに応援に向かう様に伝えているわ!!」
「分かった、ミーナ。私とペリーヌは先に言ってエイラ達と合流しつつ、二人の応援に向かう!!」
「えぇ、お願い、美緒!!私も直ぐに続くわ!!」
ミーナと交わした後、美緒は側で出撃体制を整え終わったペリーヌ・クロステルマン中尉に顔を向け、こう言い放つ。
「ペリーヌ、行くぞ!!」
「はい、少佐!!」
二人はそう言葉を交わすと「坂本美緒、出る!!」、「ペリーヌ・クロステルマン、発進しますわ!!」と叫びつつ、二人揃って発進して行く。
その様子を後ろで見ていたミーナも、整備兵から手渡されたMG42にドラムマガンを装填しつつ、出撃体制を整えていく。
「すまんミーナ、少し遅れた!!」
「ふぁぁぁ~……」
「シャキッとしないか、ハルトマン!!スクランブル発進だぞ、分かってるのか!?」
「は~い」
「緊張感を持たんか、このネボスケがぁ!!」
同時に少し遅れて共にやってきたゲルトルート・バルクホルン大尉とエーリカ・ハルトマン中尉も、漫才の様なやり取りを交わしながら、互いに愛機であるフラックウルフ Fw190D-6プロトタイプとメッサーシャルフ Bf109G-6に足を通し、出撃体制を整える。
「二人とも、いけるわね?」
「準備OKだ、ミーナ!!」
「こっちもOKだよ」
「じゃあ行くわよ……ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ、発進します!!」
「ゲルトルート・バルクホルン、出撃する!!」
「エーリカ・ハルトマン、行くよ!!」
出撃体制を整えた三人は、そう言葉を交わすと、一斉に発進して行くのであった……。





……

………



その頃、当の俺とシャーリーは襲撃してきたネウロイ達とのドッグファイトを繰り広げていた。
「デビル5、後ろに2機ついたぞ!!」
「っ!!」
シャーリーの報告に対し、俺は前に向けて飛びながら、後ろを確認するとシャーリーの言葉通り、2機のネウロイが俺の後ろにピッタリついて来ていた。
「クソッタレが!!」
俺は罵倒しながら、背面飛行の体制をとり、後ろの方を向くなり、トンプソンのトリガーを引くと.45APC弾の銃声と共に勢い良く銃口から、銃弾が飛び出し、ネウロイに向けて飛んで行くと同時に排莢口から金色の薬莢が吐き出されていく。
その銃撃を俺の後ろについていた2機のネウロイが回避しつつ、1機は下降し、もう1機はそのままで俺に対して攻撃を加えてくる。
飛んできたネウロイの真っ赤なビームを右ロール(横転)で回避しつつ、水平飛行に戻った俺は下降したネウロイの様子を確かめる。
下降したネウロイは、ある程度の高度に加工すると一気に頭を上げて猛スピードで俺目がけて上昇していくる。
どうやら、”ロウ・ヨー・ヨー(※ドッグファイトで敵機を追う際に自機の速度が劣速である場合に足りない速度を降下することで補い、そこから上昇することで再び高度を得ながら追随する空中機動戦術)”を仕掛けて、距離を詰めるつもりらしい。そう上手く行くと思うなよ!!
「うおおおっー!!」
ネウロイの目的に気付いた俺は魔力をP-80の魔力エンジンに思いっきり流し込み、エンジンをフル回転させる。
瞬間、P-80のジェットエンジンが凄まじい唸り声をあげて、一気に加速していく。その速度はP-80の最高速度である965キロに迫る程だ。
『GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAYAEEEEEEEEEEEEEEEE!!』
この加速にロウ・ヨー・ヨーを仕掛けようとしたネウロイが、まるで悔しがるかの様なうめき声をあげた瞬間だった。
「貰ったっ!!」
ネウロイよりも先に上昇して、その進路に先回りしたシャーリーがネウロイに向けて、BARを発砲し、ネウロイに.30-06スプリングフィールド弾を浴びせていく。
この銃撃を食らったネウロイは、コアを打ち抜かれ、悲鳴のような団切間を上げて粉々に砕け散っていく。
「今だっ!!」
その様子を後ろ目が確認した俺は、上昇すると同時に体をくの字にして、両足のストライカーを前に向けるなり、さっきと同じ様に思いっきりジェットを吹かす。
瞬間、ジェットの轟音と共に減速したかと思ったや否や、俺の体は凄まじいスピードで後方に飛んで行く。
「ぐうっ!!」
この半場無理やりな、空中機動に体の内臓がGに持っていかれそうな感覚に堪えながら、俺は今までケツを取っていたネウロイのケツを逆に奪ってやった。
『UBEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!?』
「堕ちろ、この野郎!!」
俺の予想だにしない空中機動を前に、ネウロイが驚くような声を上げるのにも耳を貸さず、俺はトンプソンをネウロイに向け、トリガーを引き、マガジンに残る銃弾を全て浴びせる。
この銃撃を食らったネウロイも、シャーリーが仕留めたネウロイと同様に断絶魔の様な叫び声と共に砕け散っていく。
「っしゃ、2機撃墜だぞ。デビル5!!」
「あぁ!!」
その様子を見て、喜ぶシャーリーの声を聴きつつ、俺はトンプソンの空になったマガジンを交換しつつ、シャーリーの方向を見た。
すると、そこには先ほど、俺たちが発見した新型ネウロイを含めた、5機のネウロイ達が編隊を組んでシャーリーに襲い掛かろうとしている光景があった。
「シャーリー、逃げろ!!」
「うおっ!?」
ネウロイの放ったビームを回避しつつ、距離を詰め様とするネウロイから逃げるシャーリー。


すぐさま俺はシャーリーを援護するべく、P-80のジェットエンジンをフルターボで吹かしていく。
しかし、さっきのネウロイ2機を相手している内にシャーリーを追う5機のネウロイ達はロー・ヨー・ヨーでスピードを稼いだらしく、加速に優れるP-80でさえ追いつけない。
無論、レシプロストライカーの最高傑作と評されるP-51では、当然と言わんばかりにだんだんと距離が詰められていく。
「クソっ、振り切れない!!」
そんなシャーリーの苦痛な無線通信を聞きながら、距離こそあるが、ネウロイ達のケツについた俺はシャーリーと無線連絡を取り合う。
「シャーリー、聞こえるか!?”派手にぶち込んで、援護する”から、俺が合図したら太陽の方にブレイク(敵機を振り切る為の急旋回)しろ!!」
「分かった、派手に撃ち込んでくれ!!」
シャーリーとの無線連絡を終えた俺は、すぐさま、右手に持っていたトンプソンを左手に移し、空いた右手でP-80の右ユニットの上部に設けられた小さなハッチを開ける。
そこには、まるで戦闘機の操縦桿にも似た装置が収納されており、俺はそれを握りしめ、横に引っ張り出す。
これが何かと言うと”P-80の左右両方のユニットに装着可能なロケット弾ポッド”の発射装置だ。
現に今、俺が使っているP-80の両翼の腹に当たる部分には、”2つの5連発ロケット弾ポッド(※合計10発)”が取り付けられており、今から、これを盛大にネウロイに対してぶち込むのだ!!
その発射装置のトリガーに指をかけた俺は、再びシャーリーに無線連絡を飛ばす。
「3秒後に行くぞ!!」
「OK!!」
「よし……。3……、2……、1……今だ!!」
「~~~~!!」
俺の叫びに合わせて、シャーリーは一気にP-51のエンジンをフルスロットルで回転させながら、太陽の方に猛スピードで進路を取る。
それをネウロイ達が追うよりも先に、俺はロケット弾発射装置のトリガーを思いっきり引く。
瞬間、轟音と共にP-80の両側に取り付けられたロケット弾ポッドから、轟音と共にロケット弾が発射され、トンプソンやBARと言った銃器による銃撃とは比べ物にならない速度でネウロイに向けて飛んで行く。
『『『『『GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!』』』』』
後方から飛んでくる10発のロケット弾にネウロイが驚く様な唸り声を上げながら、蜘蛛の子を散らす様に散開していく。
だがしかし、一機のネウロイが逃げ遅れ、俺の放ったロケット弾を次々と浴び、粉々に砕け散る。
その様子を見ながら、俺は発射装置を前に倒す。
瞬間、「ガチャン!!」と言う金属音と共に空になったロケット弾ポッドが固定装置から離れ、落下していく。
この機能で撃ち尽くしたロケット弾ポッドを捨てて、軽量化するのだ。


こうして軽量化した俺が左手に持っていたトンプソンを右手に移しつつ、俺は直ぐに散開したネウロイが再び体制を整える前に距離を稼ぐ為に今いる場所から離脱する。
それと同時に先に離脱したシャーリーが、俺に対して無線通信を飛ばしてくる。
「ウィーラー!!3機、追ってきてるぞ!!逃げろ、右ターンしろ!!」
「OK、右ターン!!シャーリー、今どこに居る!?」
「お前から見て、6時の方向!!援護するから、右方向から離脱して、合流するんだ!!」
「分かった、援護してくれ!!」
無線機越しにそう言ってシャーリーの居る6時の方向に、俺はP-80のエンジンを吹かすなり、全速力で飛ばしながら、右ターンしてネウロイとの距離を稼ぎつつ、シャーリーと合流するべく飛んで行く。
シャーリーも、俺を援護するべく空中でホバリングしながら、BARをフルオートで撃ちまくり、ネウロイに銃撃を浴びせていく。
そんなシャーリーの援護を受けながら、俺も彼女のと合流すると同じ様に空中でホバリングしつつ、素早くトンプソンをネウロイに向け、銃撃を喰らわせていく。
この俺達の銃撃を編隊を組みなおしたネウロイ達は回避すると、前についていた小型ネウロイが横にどいて、小型に居た新型ネウロイが前に出てくる。
そして、その特徴的なプロペラの様な部分が回転し始める。
「なっ……何だ、何だ!?」
「嫌な予感がする……シールド張る準備しておいた方が良さそうだぞ、ウィーラー」
「あぁ……」
俺とシャーリーが共にトンプソンとBARのマガジンを交換しながら、今まで見せることが無かった新型ネウロイの新手の動きに警戒を強めたその時だった。
その回転し始めたネウロイのプロペラの様な部分から、まるでガトリング砲の様に次々とビームが発射され、俺とシャーリーに向けて飛んでくる!!
「うおっ!?」
「マジか!!」
この予想だにしなかった攻撃を前に、俺とシャーリーはそろってシールドを張りつつ、回避しようとするが、横についた小型ネウロイが逃げ様とする俺達の動きを封じてくる。
どうやら、俺たちの動きを封じた上で、まるで楽しむかの様に殺そうとしていやがる!!クソッタレが!!
「まるで騎兵隊に包囲されたインディアンにでもなった気分だぜ!!」
「あぁっ、そうかい!!俺は東側の人間だから、分かんねぇよ!!」
「じゃあ、帰ったら、私、おすすめの西部劇でも見るか!?」
「生きて帰れたらな!!」
飛んでくる無数のビームを交わし、シールドで弾きながら、何とか中型ネウロイの射線から抜け出そうと必死になる俺達だが、虚しくも全く抜け出す事は出来そうに無い。

クッソ……これじゃ二人揃って、このネウロイ共に撃ち殺されるか、魔力切れで墜落するかのどっちかだ!!
俺は”一度、死んだ”身分だから、問題ないが、せめてアイツ(シャーリー)だけは生還させねぇと……。
そして、あいつだけもだけでも生還させたら、俺はあのネウロイと刺し違えてでも倒す!!
それが”俺に出来る唯一の断罪”だ……、その為にやる事は1つしかない……。
こうなったら、イチかバチかだ!!やってやるぜ、このバーローが!!

隙間無く飛んでくるネウロイによる攻撃の雨の中、そう決意した俺は一瞬のスキをついて、シャーリーの方に全速力で飛んで行く。
「うおぉおおっ!!」
「うおっ!?」
叫びながら飛んでくる俺を見て、シールドを張りつつ、ギョッとするシャーリーの表情に目もくれず、彼女の元に全速力で飛んで行く。
そして、まるでアメリカンフットボールのタッチダウンの様に彼女に勢い良く抱き着くと、勢いそのままに彼女を抱いたまま、ビームの雨の中を駆け抜ける。
「ちょっ、ウィーラー!?お前何を……」
「黙ってろ!!」
突然の出来事に顔を赤くしながら、困惑するシャーリーの言葉に耳を傾ける事無く、俺はシャーリーを抱きかかえた状態で意識を集中させ、魔力を最大限に体内で濃縮させ、その濃縮させた魔力を意識と共に一気に爆発させる!!
瞬間、装着しているストライカーを含めた体全体は勿論、手持ちのトンプソンや、抱きかかえているシャーリーをも黄緑のオーラーが包み込んだかと思った瞬間には、「ビュンッ!!」と言う音と共に俺とシャーリーは、今いた場所から姿を消す。
『『『『『GYAAAAAAAAAAAAAAEEEEEEEEEEEEAAAAAA!?』』』』』
突如として、目の前から俺とシャーリーが消えた事にネウロイが驚くようなうめき声を上げる中、俺とシャーリーはネウロイの後方7キロ程、離れた場所に再び「ビュンッ!!」と言う音と共に姿を現す。
「はぁ……、はぁ……、はぁ……」
「た、たまげた物だなぁ……瞬間移動って奴か?」
「あぁ……」
荒くなった呼吸を整えながら、呆然とするシャーリーの問い掛けに俺は答える。
そして、今やってのけたのが、俺の固有魔法である『瞬間移動』だ。
どういう理論でやっているのかは、主である俺ですら説明できないが、これが、俺がウィザードとして覚醒した時からの固有魔法だ。
移動範囲は、俺を基点に約5~7キロの範囲内。今やったように、身に着けている物、手に持っている物等もすべて一瞬で移動させる事が可能で、今の様な緊急回避やドッグファイトの際に一瞬で相手のケツを取ったりと、上手く使えば形勢を一発逆転させる事の出来る大技だ。
しかし、その分、消費する魔法力も他の固有魔法とは比べ物にならない程、膨大であり、俺自身の感覚では最低でも10分は魔力を回復させないと使用できない。
現に今も、心臓が激しく鼓動を打ち、体が酸素を求める様に粗い呼吸をしている。
だから、本当に”イチかバチかの賭けに出る際にしか使えない”大技だ。
だから、訓練の際には使わないし、そもそも使ったら反則扱いされる。


そんな大技をやってのけた俺は荒ぶる呼吸を何とか整えながら、シャーリーに顔を向けて、こう言い放つ。
「お前はココに居ろ……、俺が奴を仕留める……」
「ばっ、馬鹿言うなよ!!死んじまうぞ!!」
「そんな事ぐらい、分かってる!!」
「っ!?」
声を荒げながら、言葉を返す俺を見て、驚いたような表情を浮かべるシャーリー。
彼女は俺の過去……、俺が”犯した大罪”……、そして”俺が人間では無くなった”事を知らない……だからこそ、俺を止めようとするんだろう……。
だが、俺は大罪人として、裁きを受けなければならない……。それだけを考え、俺は今日まで生きて生きたのだ……。
だから、俺は今、ここで行かねばならない!!
「うおおおっ!!」
「あぁっ、この馬鹿ッ!!アタシを置いてくな!!」
覚悟を決めた俺が叫びながら、トンプソンを構え、ネウロイに向かって突撃し、それを見たシャーリーも叫びながら、俺に続こうとした瞬間だった。


俺たちが、再びネウロイと交戦に入る前に、突如、横から飛んできたロケット弾が新型ネウロイに炸裂した。
同時に多数の銃撃がネウロイ達に浴びせられ、5機の内、2機がコアを打ち抜かれ、砕け散っていく。
「「!?」」
『二人共、大丈夫か!?』
『全くリベリオン人は西部劇みたいな事が好きなんですから!!』
この光景に俺とシャーリーが揃って、驚き、思わず空中で急停止すると同時に、無線機から、俺とシャーリー以外の声が聞こえてくる。
その声は、俺達の副隊長である少佐……もとい、坂本美緒少佐と、その相方であるペリーヌ・クロステルマン中尉(※以下、ペリーヌ)の声であった。
この少佐の声に驚きながら、俺とシャーリーが後ろを振り返ると、そこには少佐を始め、俺達の応援に来たサーニャ・V・リトヴャク中尉、エイラ・イルマタル・ユーティライネン少尉、フランチェスカ・ルッキーニ少尉、リネット・ビショップ軍曹、宮藤芳佳軍曹、そして俺と共に”連合軍が存在を認める二人の飛行可能なウィザードの二人目”である月影流斬(つきかげりゅうき)少尉の姿があった(※以下、サーニャ、エイラ、ルッキーニ、リーネ、芳佳、流斬)。
「少佐……」
「……ったく、遅いよ~!!」
「二人共、無事の様だな」
「俺とシャーリーの元にサーニャ達と共にやってきた少佐は、俺とシャーリーの無事を確認すると続け様に問い掛けてくる。
(新型)はどんなのだ?」
「あのプロペラの様な部分はガトリング式のビーム砲になっています。まともに撃ち合ったら、勝ち目はありません」
「横に回り込もうにも、小型ネウロイがピッタリついてきて隙が無いんだ」
「なるほど……良く出来た作りと、基本ながら手堅い戦法だ。ネウロイながら感心だな……ミーナ聞いたな?」
俺とシャーリーの報告を聞いた少佐が呟く様に、無線機越しにミーナ隊長に問い掛けると、無線機越しに少佐同様に俺とシャーリーの報告を聞いていたミーナ隊長が『えぇ』と短く返すと、続け様に素早く作戦を立てる。
『今から、私とトゥルーデ、エーリカはネウロイの後方に回り込むから、回り込み次第、攻撃を開始するわ。サーニャさんはネウロイの右斜め7キロから、支援砲撃。エイラさんは、周囲経過しつつ、サーニャさんをカバーして』
「了解です」
「分かったゾ、隊長」
ミーナ隊長の指示に対して、サーニャとエイラが復唱を返しつつ、配置につく中、隊長は次に指示を飛ばす。
『リーネさんは、ネウロイの左斜め7キロから観測支援及び狙撃支援を。随時、ネウロイの動きを報告して、必要に応じて狙撃して頂戴。ペリーヌさんは、スポッター(観測主)をお願いします』
「はいっ!!」
「了解ですわ!!」
そう答えて、リーネとペリーヌの二人も素早く配置についていくのを見ながら、俺達は次の指示を受ける。
『残るメンバーは、全員、美緒の指揮下に入って、正面からの攻撃を!!』
「了解だ、ミーナ……。全員、今の聞いたな!?」
「「「「はいっ!!」」」」
「なら、さっそく行動に移れ、急げ!!」
「「「「了解っ!!」」」」
この少佐の檄を聞きつつ、俺達はネウロイへの反撃体制を整えていく。

……どうやら、俺は……。まだ断罪できそうにはないらしいな……。

配置についていく501の仲間達を見ながら、胸の内でそう思いながら、ホバリングしているとシャーリーが俺の肩をポンと叩きながら、こう言い放つ。
「全くお前って奴は無茶しようとするぜ……、少佐達が来なかったら、今頃突っ込んでいる所だったぜ。何だ”悪魔の旅団”って言うのは、無茶苦茶が好きなのかよ?」
「………」
さっきの俺の言動と行動に対して、呆れ交じりに問い掛けてくるシャーリーに対して返す言葉が浮かばない中、俺が言葉を返すよりも先にシャーリーが動いた。
「まっ、お前のそう言う所、嫌いじゃないぜ……」
そう言って、ニヤリとシャーリーは微笑みながら、再び俺の肩をポンと叩きながら、こう言い放つのだった。
「次からは、その無茶苦茶、私も喜んで付き合わせてくれよな」
「………」
シャーリーは、そこまで言うと先の微笑みを浮かべたまま、配置に付いて行く。
アイツ……、普段は軽い感じだけど、あんな事を考えるんだな……。
俺はそんな事を思いながら、配置に付いて行く。


そして、配置に付いた俺に話しかけてくるのは、先に述べた様に、俺と共に”連合軍が存在を認める二人の飛行可能なウィザードの二人目”の月影流斬だ。
「派手なドッグファイトしたみたいだな、ウィーラー」
「あぁ、ここに来てから今の所、一番のドッグファイトだったぜ」
軽く会話と交わす俺と流斬だが……ハッキリ言って、”俺以上にイレギュラーな存在”と言っても過言じゃない気がする。
まぁ、”人ならざる者”である俺が言えた身じゃ無いけどな……。
そんな考えがふと胸の内をよぎるが、本当に流斬は”ウィッチはおろか、ウィザードの定義……どれにも当てはまらない”のだ。
それ以前に航空歩兵には必須の”ストライカーユニットを使用せずに飛べる”のだ。信じられないと思うだろうが、現に本当なのだ。
これが彼の固有魔法にして、最大の特徴である『浮遊魔法』なのだが、流石にストライカーユニット程のスピードは、なかなか出ないそうだ。
だから、現在はストライカーユニットと同じ速度で飛ぶ為にも、少なからず多くの魔法力を消費するが、ストライカーユニット(※零式艦上戦闘脚二一型)を装着している。
これに魔法力を込めれば込めるほど速度を上げる事が出来るそうだ。
でもって、更に、この『浮遊魔法』以外にも、サーニャが使う全方位広域探査や、エーリカのシュトゥルムとほぼ同じ固有魔法も使えるって言う殆どチート級レベルの存在なのだ……。
そんな彼だが、俺の様に最初から”正規の軍属”として501に来たのではなく、”自らの固有魔法である浮遊魔法で501の基地に飛んできて、そこで偶然、対面したミーナ隊長に加入を直談判して加わった”と言う……いやはや、もはや何が何だか……。
まぁ、それ以前に”正式な軍属だった俺の501への加入がほぼ決まっていた”ので、それも踏まえた上での「加入を認める」と言うミーナ隊長の判断だったらしい。
しっかし、貴重な存在であるウィザードの中に、こんなウィザードが居たなんて……世界は全くどうなってるんだ?
そんな考えがドッと頭の中を駆け巡る中、俺と流斬はシャーリー達と同様に配置に付いて行く。
「全員、配置に付いたな!?」
「「「「「はいっ!!」」」」」
配置に付いた俺達が少佐の問い掛けに勢い良く、復唱を返すと、それを聞いた少佐が「よし……」と呟きながら、三度、ミーナ隊長に連絡を取る。
「ミーナ、準備完了だ。いつでも始めてくれ」
『分かったわ、美緒。行くわよ……』
少佐の報告に対し、そう答えたミーナ隊長が一回息を吸うのが、無線機越しに伝わってくる中、遂にミーナ隊長が沈黙を破る様に叫んだ。
『全員、攻撃開始!!』
「「「「「了解っ!!」」」」
これ合図に、俺達は一気にネウロイに対しての逆襲を開始する。


まず最初に、先に回り込んだミーナ隊長達が、4機で編隊を組み飛行するネウロイの後方から、猛スピードで銃撃しつつ、接近。
それに対して、4機の内、2機の小型ネウロイがミーナ隊長達を迎撃する為に向かう。
「行くわよ、トゥールデー!!」
「分かった、ミーナ!!」
直ぐにミーナ隊長とバルクホルンが共にMG42で銃撃を浴びせるが、ネウロイも手慣れた様子で回避する。
「かかったな!!」
だが、そんなネウロイ1機を横に回り込んだスイーパーエースであるハルトマンに銃撃され、コアが露出する。
「今だ、シュトルム!!」
それを逃すことなく一気に距離を詰めた、ハルトマンのシュトルムを喰らい、砕け散る。
『GYIIIIIIIIIIIIIIII!!』
まるで「クソッタレ!!」でも言わんばかりに、砕け散ったネウロイの破片の雨を潜り抜けながら、ミーナ隊長達から逃れようとするネウロイ。
「逃がさないわよ、追撃!!」
「「了解っ!!」」
そんなネウロイに対して、ミーナ隊長達も手慣れた手つきで追撃していく。
もはや、撃墜も時間の問題だろう。


歴戦のエースとして、一切無駄のない回避、攻撃を繰り出し、ネウロイを追い詰めていくミーナ隊長達を横目で見ながら、俺達は少佐達と共に新型ネウロイを含めたネウロイ2機の撃破に向かう。
「「GUEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEL!!」」
正面から、向かってくる俺達に威嚇するかの様なうめき声を上げるネウロイに対し、俺達は怒涛の攻撃を加えていく。
「行くよ!!」
まず手始めに、ルッキーニがM1919A6をネウロイに向けて、銃撃を加え、ネウロイの編隊を崩す。
「今だ、突撃!!目標、小型ネウロイ!!」
「「「了解!!」」」
その瞬間を狙って、一気に俺とシャーリー、流斬、少佐が小型ネウロイに向け、突撃する。
突っ込んでくる俺達に向け、小型ネウロイも負けじとビームを連射し、応戦してくる。
俺達は、その攻撃を左右にバンクして、回避したり、シールドで防御しつつ、その小型ネウロイとの距離を詰めると一気に攻撃を繰り出す。
「さんざんやってくれたな、こん畜生が!!」
「私とウィーラーからのお返しだ、ありがたく受け取れ、馬鹿野郎!!」
まず俺とシャーリー、流斬がトンプソンとBARで銃撃し、ネウロイの装甲を削る。
削れた走行を、すぐさま修復しようとするネウロイだが、それよりも先に続く流斬の攻撃が炸裂する。
「舐めんなよ!!」
叫びながら、流斬はMG42で銃撃し、修復していた部分を更に削り取ると続け様に腰のホルスターから、愛用のS&W M10リボルバーを引き抜く。
同時にネウロイに向け、ハンマーをガチャリと起こし、トリガーを絞ると同時に流斬は魔力を手を通じて、M10の銃弾に流し込み、準備を整える。
それが終わった流斬がトリガーを引くと、ハンマーが勢い良く弾け、.38スペシャル弾の銃声と共に魔力をまとった銃弾が銃口から放たれる。
銃弾はネウロイ目がけて一直線に飛んでき、ネウロイの装甲に命中すると同時に、まるで対戦車砲かバズーカによる攻撃かの様に炸裂し、今までの銃撃とは比べ物にならない威力でネウロイの装甲を削り取る。
これも流斬の固有魔法の1つであり、爆発弾丸(エクスプロージョン・バレット)と言われる固有魔法だ。
見ての通り、拳銃弾ですら対装甲兵器並みの火力になる強力な魔法だが、フルオート射撃では出来ない事に加え、弾丸が露出していないと魔力の装填に倍の時間が掛かってしまうのだ。
だから、彼はサイドアームにリボルバーを使用しているのだ(※以前、射撃訓練の際に「何故、オートマチック拳銃を使わないんだ?」と聞いた際に教えてもらった)。
そんな固有魔法で強化された弾丸は、他のメンバーの放つ銃弾の何倍の威力をもって、ネウロイの装甲を削り、コアを露出させる。
「貰ったぁ!!」
「GYUGEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!」
露出したコアをめがけ、突貫する少佐。それを撃ち落とそうとネウロイも必死になって応戦するが、もう遅い。
少佐は片手で九九式二号二型改13mm機関銃を撃ち、ネウロイを牽制しつつ、一気に距離を詰めると背中に背負った扶桑刀を引き抜く。
「でやぁああああああっ!!」
そして、突撃する勢いそのままに叫びながら、ネウロイ本体ごとコアを切り捨て、ネウロイを爆散させるのだった。
「GUOOOOOOOOOOOOOOO!!」
残る新型ネウロイは、それを見て、仲間を殺された怒りを爆発させるかのように叫びながら、敵討ちと言わんばかりに、俺達にご自慢のガトリング式ビームを浴びせようとする。
「やらせませんっ!!」
だが、新型ネウロイがビームを放つよりも先に芳佳が俺とシャーリー、少佐、ルッキーニ、流斬の前に仁王立ちして、シールドを張る。


そのシールドは、ここに居る全員の中でも最も大きく、頑丈なシールドで、暴風雨の様な新型ネウロイのビームを全てはじき返し、俺達をカバーする。
「GUOOOOOOOOOOO!!」
「させません!!」
芳佳にご自慢の攻撃を無力化され、苦痛なうめき声をあげるネウロイに対して、サーニャがフリーガーハマーを発射。
轟音と共にフリーガーハマーから放たれたロケット弾は、新型ネウロイに命中するなり次々と炸裂。
これに新型ネウロイはバランスを崩しながらも、サーニャに向けてビームを放つが……。
「させないヨ」
相方のエイラが固有魔法の予知能力で飛んでくる方向を見極め、サーニャと共に回避しつつ、MG42で銃撃を加える。
「GAAAAAAAAAAAAAA!!」
「リーネさん、今ですわ!!」
「はいっ!!」
この思わぬカウンターに対し、悔しがるような声を上げながら、後退しようとするネウロイだが、それを阻止せんとばかりにペリーヌの合図で狙撃したリーネの放った銃弾を浴び、更に装甲を削られていく。
なおかつ、間髪入れずに逃走した小型ネウロイを撃墜したミーナ隊長、バルクホルン、エーリカの3人も俺達と合流しつつ、ネウロイに容赦なき銃撃を浴びせる。
「GYAAAAAAAAAAAA!!」
まるで悲鳴のような声を上げながら、遂に新型ネウロイはコアを露出させる。
「坂本さん、コアです!!」
「ウィーラー、シャーリー、流斬!!」
「「「了解ッ!!」」」
露出したコアを見て叫ぶ芳佳の報告を聞き、間髪入れずに少佐が飛ばした指示で俺とシャーリー、流斬の3人は猛スピードで飛び出し、コア目がけ突撃していく。
「AAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」
まるで「来るなぁ!!」とでも、叫ぶかな様に今まで一番のうめき声をあげる新型ネウロイ。
最後の悪あがきと言わんばかりに突撃してくる俺達に向け、無茶苦茶に撃ってくる中、俺達はビームの機銃掃射の中を駆け抜けるかのように潜り抜け、一気にコアに接近する。そして……。
「「「うおおおおおおおおおおおっ!!」」」
3人で一斉に叫びながら、トンプソン、BAR、M10で、ありったけの銃弾をコアに叩き込む!!
この叩き込まれた多数の銃弾によって新型ネウロイのコアは砕け散り、それと同時に新型ネウロイの本体も、まるで爆破したかの様に砕け散る。


俺達の銃撃によって、砕け散ったネウロイの破片が周囲に雨あられの様に降り注ぐ。
「ちょっ、ちょっ!?」
「ひゃっほーっ!!」
「うっひゃー!?」
その中を俺とシャーリー、流斬の3人が潜り抜ける中、その様子を見ていた少佐が合流したミーナ隊長とこう言葉を交わす。
「どうやら、終わりみたいだな」
「えぇ、サーニャさん。周囲に他の敵影は?」
「一通り確認しましたが、確認できません。今、撃墜したので、全部でしょう」
ミーナの問い掛けに、固有魔法の全方位広域探査を使用した際に出る魔道針を頭に浮かべながら、周囲の安全確認を取ったサーニャの報告を聞き、ミーナは「そう……」と微笑みながら、返すと続けてこう言い放つ。
「それじゃあ、全員帰投しましょう」
「「「「「了解!!」」」」」
ミーナ隊長の出したこの帰投命令(?)に対して、501のメンバー全員が復唱を返し、編隊を組んでいく。


その様子を見ながら、俺はふと自分のGスーツの左肩に付けられたショルダーパッチを見る。
ショルダーパッチは、真っ赤な鏃の形をし、交わる様にリベリオン(Liberion)ファラウェイランド(Faraway land)と白い糸で書かれた刺繍が施されている。
これは、”リベリオン陸軍とファラウェイランド陸軍が合同で設立したコマンド部隊”の第1特殊任務部隊(1st Special Service Force)……通称、悪魔の旅団(Devil's brigade)のショルダーパッチだ。
そう……、あの時、シャーリーが言った”悪魔の旅団”だ……。
ほんの少し前まで、コマンド部隊の隊員……それも小隊長だった俺が、今じゃ航空歩兵としてウィッチ達と共に空を飛ぶなんて……想像もしなかった。

こんな想像を超える出来事が起こったのも、全て”あの時”から、俺が全ての仲間を失い、人ならざる者へと変り果てる事となった戦い……『303高地の戦い』からだ。

いまだにその時の事は、手に取るように思い出す。
俺は、その時に突きつけられた問いの答えを求め、この501へとやってきたのだ……。
だが、答えはまだ見つからない……。だけど、人ならざる者へと変り果てた時から、やるべき事はハッキリと分かっている。
そのやるべき事が、答えなのかは分からない……。ハッキリ言って、自己満足だ。
だが、これをやらないとあいつ等に合わせる顔が無い……。これをやるべき時は、何時のなのか……明日か、明後日か……。
日々、その時を待つと同時に、俺は答えを求め、今日も飛ぶのだろう……。


そんな考えが脳内を駆け巡る中、先に向かっていたシャーリーが立ち止まっていた俺に気づく。
「ウィーラー、どうかしたのか?」
「いや……、何でもない……?」
「そう?なら良いけど」
俺の言葉に対し、素っ気なく言葉を返したシャーリーは、こう続ける。
「ともかく、早く帰投して飯にしようぜ。今日は、扶桑の料理だってさ」
「あぁ、そうか……」
俺の返す言葉を聞きつつ、先の戦闘で見せた真剣な表情とは打って変わって、年相応の笑顔で微笑むシャーリー。

どうやら、まだしばらく俺はコイツと共に空を飛ぶんだろうな……。まぁ、それも暫くは良いかもな……。

彼女の微笑みを見て、そんな事を思いながら、俺はシャーリーと共に帰投の為に編隊を組んで、俺達を待つ501の面々の元へと向かうのだった……。 
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