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エティン

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第二章

「そうなのか」
「いや、俺は実は人間が嫌いじゃない」
「それでか」
「ああ、だからちょっと好奇心が湧いてな」
 それでというのです。
「人間達がどうするのか見てみたくなったのさ」
「それでか」
「今回はな」
「あえて見守るか」
「人間達が本当にどうしようもなくなったらな」
 完全にお手上げになったその時にというのです。
「あんたが動けばいいだろ」
「そうか、ではな」
「ああ、ちょっと見ていような」
 こう言ってでした、ロキはトールを止めて今は人間達がどうするのかを見守ることにしました。そしてでした。
 人間の戦士達はさらにお話しました、そしてでした。
 ある戦士がこんなことを言いました。
「頭が二つでも他の身体や心の仕組みは同じだろ」
「同じ?」
「同じっていうとどうしたんだ」
「ああ、目が回るしあちこち気が向くだろ」
 それでというのです。
「だからここはもっと知恵と数を使うか」
「知恵と数をか」
「俺達のそれをか」
「巨人は頭が二つでも一人なんだ」
 このことは変わらないというのです。
「だったらな」
「それならか」
「頭が二つでも一人だからか」
「それに対してか」
「もっと頭を身体を使うか」
「そうしていこうな、ここはな」
 その戦士は仲間達に言いました。
「もっと集めて何人ずつかに分かれてな」
「何人かにか」
「そうしてか」
「ああ、分かれてな」
 そしてというのです。
「巨人の周りを動き回るんだよ」
「動き回るのか」
「そうするのか」
「ああ、そして巨人の二つの頭それぞれの気をそっちに向けてな」
 戦士はさらにお話しました。
「その間に別の何人かが巨人に近寄ってな」
「そしてか」
「そのうえでか」
「足の腱を切るんだ」
 巨人のそこをというのです。
「大きな刀か斧でな」
「ああ、腱か」
「あそこを切ったらな」
「幾ら巨人でも倒れるな」
「どんな生きものもあそこは弱点だ」
「あそこを切ったら倒れる」
「立っていられなくなる」
 そうなるというのです。 
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