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本当の顔

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第二章

「おい、待て」
「ちょっと以上に待て」
「いきなりどうするつもりだ」
「特攻隊かよ」
「最初からはないだろ」
「いや、こうしたことは本人に聞かないと」
 それこそと言う自由だった、彼等に止められている中で。
「わからないから」
「そういうものじゃないからな」
「とにかく今は落ち着け」
「落ち着いてまずは座れ」
「そうして注文しろ」
 そうしろというのだ。
「いいな」
「それでコーヒーでも飲め」
「それから話すぞ」
「いいな」
「そうしないと駄目かな」
 人の話は聞くタイプの自由はここで止まった、とはいっても自分のスタイルについては別であるのだが。
「まずは」
「ああ、まずは話すぞ」
「俺達でな」
「それからだ」
「それでいいな」
「わかったよ、じゃあね」
 こう話してそしてだった。
 自由はとりあえず店の端の席に座った、そして皆と一緒にコーヒーを注文したがその時に来たウェイトレスは他の娘だったので自由は挙動不審にならなかった。
 その彼にだ、友人達はこぞって言った。
「いいか、まずはコーヒーを飲め」
「いつもの御前に戻れ」
「それで今日は飲んで帰れ」
「それからあの娘について聞いていけ」
「本人さん以外からな」
 そこは守れというのだ。
「いいな」
「絶対に本人さんに聞くな」
「それは守れよ」
「何があってもな」
「けれどこうしたことは」
 とにかくと言う自由だった。
「やっぱり」
「だからそれは止めろ」
「少なくとも初対面では聞くな」
「いいな」
「そうしろ」
「わかったよ、じゃあね」
 ここでやっと落ち着いて言う自由だった。
「今日はコーヒー飲んで帰って」
「明日でもまた来ればいいだろ」
「丁度駅前だしな」
 彼等が通っている学校の最寄の駅のだ。
「だといいだろ」
「今は落ち着け」
「それで飲んだら帰るぞ」
「また明日だ」
「そうするね」
 自由も頷いてそしてだった。
 この日は友人達の監視の下コーヒーを飲んで帰った。そして次の日また喫茶店に行って彼女を見ようとしたが。
 翌日学校でだ、そのウェイトレスの娘を見てだった。それで思わずその娘の方に飛んで行こうとしたが。
 またしてもだ、一緒にいる友人達に慌てて止められて言われた。
「だから止めろ」
「本人さんのところに言ってどうするつもりだ」
「まさかと思うがまたか?」
「聞くつもりか?」
「昨日散々言っただろ」
「だからそれは止めろ」
「いや、無意識のうちになんだ」
 自分でも意識せずにというのだ。 
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