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空に星が輝く様に

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126部分:第十話 夏に入ってその八


第十話 夏に入ってその八

「そんなのはよ」
「何よ、その言い方は」
「だってよ。どうせ寸胴の幼児体形なんだよ」
「全然違うわよ」
「いいや、絶対にそうだ」
 わかっていて言う狭山だった。あえて喧嘩腰の様にだ。
「御前はよ」
「はったおすわよ」
 いい加減頭にきての言葉だった。
「それ以上言ったらね」
「けれど実際にそうだろうが」
 しかしだった。狭山はまた言うのだった。
「だってよ、そのスタイル見たらよ」
「着やせ」
 ここでまた椎名が言ってきた。
「それがある」
「着やせかよ」
「女の子は油断できない」
 ぽつりと正論を言う。
「それは言っておくから」
「そうなのかね。じゃあ期待しないでおくな」
「期待してていい」
 ここでまたこう言う椎名だった。
「津島には」
「じゃあ御前はどうなるんだ?」
 陽太郎はここで椎名に問うた。
「御前のこと言ってないけれどよ」
「ある意味において期待していい」
 自分についてはこの表現だった。
「ある意味において」
「ある意味かよ」
「じゃあつきぴーには私から連絡しておくから」
「ああ、頼むな」
 そのことも話されるのだった。
「そっちはな」
「水着はもうあるから」
「私もあるから」
 椎名に続いて津島も言ってきた。
「もう何時でも行けるからね」
「安心していい」
「俺なんか普通に水泳の授業のって考えてたけれどな」
「それ俺もだ」
「僕も。実は」
 陽太郎だけでなく狭山と赤瀬も言った。
「他のじゃないと駄目かな」
「流石にまずいか」
「そうだよね。何か買おうかな」
「多分その必要はないから」
 椎名は男三人にも話した。
「男の場合は」
「それはいいのかよ」
「男の水着は注目されないから」
 だからだというのだ。
「だから別に水泳の授業でもいい」
「そうか、じゃあな」
「そのままで行くぜ、本当にな」
「それなら」
「うちの学校は水着も何種類もあるから」
 椎名は今度はこのことを指摘した。
「だからいい」
「そうか。それなら」
「今は」
「そうだね」
 男三人はそれぞれ顔を見合わせて頷き合った。そうしてだった。
 話は決まった。彼等は六人でプールに行くことになった。陽太郎はその日の部活の帰りにいつもと同じく一緒に帰っている月美にこのことを話した。
 既に夕刻になっていて夜が近付き暗くなろうとしている。その中で言うのだった。
「プール、話聞いてるよな」
「はい、聞いてます」
 こう答える月美だった。その夜が近付く薄い帳の中でだ。
「それはもう」
「そうか、やっぱり椎名は仕事早いな」
「愛ちゃんは行動速いですから」
「迅速なのはあいつの専売特許だからな」 
 陽太郎はここでも彼女のその動きの速さを話すのだった。
「それはな」
「愛ちゃんは昔からですから」
「しっかりしてるのかな、あれは」
「はい、しっかりしてるんですよ」
 彼女をこう評価していた。
 
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