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第三章

 ふとだ、二人と犬達はだった。
 自分達の前に小さな鳥居を見付けた、権作はその鳥居を見て言った。
「まさか」
「ああ、ここから先はな」
「神様の領域だっていうんだな」
「そうだ、この山の神様のな」
 これまで話しているその神のとだ、悟作は深い木々に覆われた山の中にあるその鳥居を見つつ悟作に話した。
「領域だ」
「それを示す鳥居だっていうんだな」
「そうだ、ここから先はだ」
 まさにというのだ。
「それなんだ、だからな」
「行くなっていうんだな」
「言ったら御前さん本当に殺されるぞ」
 その山の神にというのだ。
「確実にな」
「神様に食い殺されてか」
「そうだ」 
 そうなるというのだ。
「本当にそうなるぞ」
「だからそれはな」
 権作は止める悟作に否定する声で返した。
「ただ言われているだけだろ」
「本当じゃないっていうんだな」
「そうだ、そんな神様いるか」
 鳥居を前にしても言うのだった。
「絶対にな」
「そうか、ならな」
「なら?」
「犬達を見てみろ」
 悟作は権作の目を見据えて彼に言った。
「わし等の連れているな」
「犬?」
「そうだ、犬達をだ」
 猟犬である彼等をというのだ、見れば六頭いる。
 その犬達をとだ、悟作は言うのだ。
「どうしている」
「犬なら・・・・・・!?」
 権作は犬は普通に動いていると思っていた、だが。
 彼等は今は二人の周りにいるだけだ、普段は二頭位二人の前にいたりもするが一頭もだった。二人の前に出ない。鳥居の前にいる二人の。
 そしてどの犬も悟作が言う神の領域には入ろうとしない、それどころかそれぞれの場に立ち止まる怯えた顔で領域を見ている。
 その犬達を見てだ、権作はようやく思った。
「犬達はおら達が気付かないことに気付いてくれる」
「そうしていつも助けてくれるな」
「ああ、熊も狼も気付いてくれるしな」
 彼等が気付く前にだ。
「他の獣も見付けてくれてな」
「いつも助けてくれるな」
「猟師は犬がいないと駄目だ」
 鉄砲、そして弓矢も必要だがだ。尚二人も弓矢を使えるが鉄砲の方が確実なので今もそちらを持っているのだ。
「その犬が動かないな」
「領域の方を見て怯えているな」
「あっちにいるんだな」
「そうだ、山の神様がな」
 言われているその神がというのだ。
「いるんだ」
「その話は本当だったんだな」
「ああ、いるぞ」
 こうも言ってきた悟作だった。
「上にな」
「!?」
「聞け」
 悟作の声も怯えたものになっていた、普段はいつも泰然としている彼がだ。その彼が言ったのである。 
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