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リング

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223部分:ラグナロクの光輝その七十七


ラグナロクの光輝その七十七

「終わったな」
「ああ、ラグナロクも何もかもな」
 七人は崩れ落ちたクリングゾルを見て言った。
「輪廻も」
「アースとニーベルングの戦いも」
「全て終わった。神々の戦いは終わった」
「神々自身も。全てな」
「これからは貴方達の時代なのです」
 パルジファルは六人に対してこう述べた。
「我々のか」
「はい、人の。貴方達はもうアースではないのですから」
「人だと」
「そうです。全ては終わったのです」
 そう言うとクリングゾルがいた最後の扉に目を向けた。
「あの先にあるのはもう古くなった玉座だけです」
「ニーベルングの玉座か」
「そこは貴方達の玉座ではありません」
「では我々の玉座は」
「まずはここを出ましょう」
 パルジファルはまた言った。
「そして。向かうのは」
「ノルンか」
「はい」
 七人はニブルヘイムを後にしようとする。エリザベートもそれに従った。
「エリザベート」
「公爵、私もまた」
「御前はヴェーヌスではないな」
 タンホイザーはエリザベートを見てまたこう言った。
「だが。同時にヴェーヌスでもある」
「私とヴェーヌスは同じ存在です。ですが」
「違う存在でもあると。そういうことだな」
「はい。ですから」
「わかった。ではエリザベートよ」
「はい」
タンホイザーの言葉に頷く。
「共に参ろう。我が主チューリンゲン王家の下へ」
「畏まりました、公爵様」
「公爵もまた伴侶を得たのだな」
 ヴァルターはローエングリンを見て少し笑った。
「私もまた。新たな伴侶を探すか」
「俺もそうしようかね」
 ジークムントも述べた。
「早く見つけるにこしたことはない」
 かっての上官であったローエングリンもそれを勧める。
「私も婚約者がいるしな。これで結ばれる」
「婚約者!?司令にもいたのか」
「ああ、エルザ。エルザ=フォン=ブラバント。もうその名になっている」
「そうだったのか。公爵もまた」
「私も妻の下へ帰ろう」
「博士、あんたは所帯持ちだったのかよ」
「言わなかったか?」
 トリスタンは驚くジークムントに対して述べた。
「私の妻は。コーンウォール王家の出身だと」
「確かイゾルデ=フォン=コーンウォールだったか」
「そうだ。元々そこのマルケ王は私の叔父上でありその縁でな」
 ジークフリートに答える。
「だからイゾルデって名前の戦艦だったのかよ」
「意外だったか」
「意外も何もよ。こんな話聞いてなかったぜ」
「何なら卿にも伴侶を紹介するが」
「そんなの自分で見つけるぜ」
 だがジークムントはそれを断った。
「俺だって撃墜王だったんだからな」
「そうなればよいのですが」
 パルジファルの言葉は何処か醒めたものであった。
「何っ、どういう意味だ」
「いえ、深い意味はないですが」
「まあいいさ。今はここを出ないとな」
「はい」
「何もはじまらねえ。まずはノルンだ」
 もうすぐ出口だった。そこでの戦闘は既に終わっていた。
 戦いは連合軍の勝利に終わっていた。残った僅かな帝国軍の将兵達はまるで抜け殻にようになって辺りに座り込んでしまっていた。
「帰られたのですか」
「ええ、今」
 パルジファルが彼等に応えた。
 
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