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191部分:ラグナロクの光輝その四十五


ラグナロクの光輝その四十五

 ふと机の上のコンピューターにメールが届いた。それをクリックする。
「お久し振りですね」
「貴女は」
 そこに現われたのはブリュンヒルテの顔であった。彼女はにこやかな顔で彼に応えた。
「コンピューターから直接お話したいと思いまして」
「そうだったのですか」
「資料はもう届きましたでしょうか」
「ええ、今」
 パルジファルもそれに応えた。
「ヴァルハラの宙図とファゾルト、ファフナーに関するもの」
「はい」
「全て受け取りました。そしてそれに目を通したところです」
「ではおわかりになられましたね」
「ええ」
 パルジファルはその言葉に返事した。
「ファゾルトは。少なくとも今の我々では」
「撃破が難しいと」
「ミョッルニルだけではいささか」
 彼はそう述べた。
「辛いものがあると思います」
「そう仰ると思っていました」
 それに対するブリュンヒルテの返事はこうであった。
「では?」
「はい、既にファゾルトへの対策はあります」
「それは」
「我々の乗る戦闘機に関してですが」
 ワルキューレ達のあの戦闘機である。
「あの戦闘機ですね」
「かなりの攻撃力があるのはもう御承知ですね」
「はい、それは」
 実際に何度も戦場で見てよくわかっていた。戦闘機の攻撃とは思えない程強力なのである。
「あれを使います」
「あれを」
「そうです、ですがただ転用しただけではありません」
 ブリュンヒルテは述べた。
「それでは今のミョッルニルと同程度の威力しかありません」
「それでは」
「あの主砲を戦艦の主砲用に改造したもののデータを送らせて頂きます」
「戦艦用にですか」
「はい」
 ブリュンヒルテは答えた。
「その通りです」
「それを我々のケーニヒ級に」
「ただ、七隻全てに配備するのは難しいでしょう」
「それは無理ですか」
「あまりにも特殊な兵器ですので」
 そうパルジファルに述べると彼も言葉を返してきた。
「特殊な」
「一撃を放つのにかなりのエネルギーを消費します。その為これを使用した艦艇は戦闘能力の殆どを喪失します」
「それだけエネルギーを使うということなのです」
「成程、では一隻をファゾルトに回して」
 パルジファルは言う。
「はい」
「後の六隻はファフナーに回して、ですね」
「それが宜しいかと」
「わかりました、ではそれを配備するのは一隻で」
 その言葉にブリュンヒルテは頷いた。
「ええ」
「それでいくことにしましょう」
「七隻のケーニヒ級戦艦でそれぞれに対する。それでよいかと思います」
「ですね」
「敵はあの七匹の竜を切り札にしている」
 これは間違いなかった。かつてのヴァルターの戦いの時のように。
「それはムスッペルスヘイムから続くヴァルハラへの入り口の終点に配しております」
「つまりヴァルハラの門に」
「そうです、そこに門番として」
 いるのが竜達である。そういうことであった。
「いきなり彼等で我々を防ぐつもりでしたか」
「それは読んでおられると思いますが」
「確かに」
 その通りであった。パルジファルもそれに答えた。
「ですから貴女達にお願いしたいのです」
「ヴァルハラへの道案内を」
「貴女達はノルンにおられますね」
「ええ」
「そして。貴女達だけの道を知っている。違いますか」
 ブリュンヒルテにそう問うた。
 
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