| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

リング

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

162部分:ラグナロクの光輝その十六


ラグナロクの光輝その十六

 ムスッペルヘイムの前方のケルン星系。帝国領の入り口にあたるこの星系において連合軍は帝国軍の迎撃を受けた。帝国軍の司令官の一人フルングニルが艦隊を率いて連合軍に向かって来たのである。
「その数は」
「およそ三十個艦隊」
「少ないですね」
 パルジファルは部下からの報告を受けてまずはこう呟いた。それからまた問うた。
「本当にそれだけですか?」
「はい」
 だがその部下はまたしてもそう答えた。
「それだけです」
「左様ですか」
 彼はそれを聞いた後で同志達を集めた。そして彼等に対して問うた。
「ケルンにおいて敵三十個艦隊がこちらを迎撃に来ております」
「やけに少ねえな」
 それを聞いて最初に口を開いたのはジークムントであった。彼は直感からこう述べていた。
「何かあるんじゃねえか」
「そう思われますか」
「俺の勘だけどな」
「わかりました。それでは他には」
「よくあることだが別の星系から分進合撃を仕掛けて来るのではないのか」
 次にヴァルターが言った。
「分進合撃ですか」
「そうだ。それだと数に納得がいく」
「では別の星系からも敵軍が来ていると」
「ケルンだと」
 ローエングリンが述べた。腕を組みながら考えている。
「ジュッセルドルフ辺りからかな」
「ジュッセルドルフから」
「数は。こちらに来ているその三十個艦隊と同等か若しくはそれ以上」
「成程」
「若しくは戦力的にこかなりの攻撃力を持つ高速の軍か」
「今来ているフルングニル提督の艦隊が床ならば」
「その艦隊が鎚だ」
「ではまずはどちらかを叩くとしますか」
 パルジファルはそこまで聞いてからこう述べた。
「これで。如何でしょうか」
「言うのは容易いがそれは決して容易ではないぞ」
 トリスタンがそれに忠告する。
「それにその敵軍がまだいるかどうかもわからん」
「ここは。まずはケルンに入るのを止めた方がいい」
 タンホイザーも言った。
「まずは様子見ですか」
「私はその方がいいと思う」
「左様ですか」
「まだ十二月には間がある」
「それでは」
「それよりも今は敵のことを調べるのが先だ。そうだな」
 ここで三次元星図をモニターに映し出した。ケルン星系及びその周辺星系の星図が映し出されている。タンホイザーはそれを眺めながら言う。
「左のジュッセルドルフに右のアイフェル。この辺りを探るべきだ」
「ケルンよりも前に」
「そうだ。まずはこのヘッセンに腰を据えてな」
「だがヘッセンにはそれ程よい基地はない」
 ジークフリートがそれに対して言う。
「あまり長時間は大軍を待機させられはしないぞ」
「それはわかっている」
 タンホイザーはそれに答えた。
「あくまで一時的だ」
「そうか」
「ではモンサルヴァート総帥」
 トリスタンが彼を見据える。モンサルヴァートは彼等を統率する立場として総帥に就任していたのである。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧