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リング

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157部分:ラグナロクの光輝その十一


ラグナロクの光輝その十一

「ですからまずは大丈夫です」
「そうか」
「しかし」
 だがパルジファルはここであえて言った。
「これからはわかりません」
「新型のファゾルトには効果が期待出来ない可能性もあるのだな」
「そうです。とりあえずは新型のミョッルニルの開発も急がせていますが」
「それをまた装填するか」
「ですね。それで対抗出来ると思いますが」
「問題はファフナーがヴァルハラドライブを無視することが出来るという点だ」
 それが一番の問題であった。ニュルンベルクはそれで失われているのである。パルジファルもそれは危惧していた。
「まず今ライプチヒにはローエングリン司令のアジナーがあります」
「それでライプチヒは大丈夫か」
「はい。そして前線にはジークムント提督のジークリンデとジークフリート首領のノートゥングが」
「前線の備えは二つ」
「そして中には我々とヴァルター執政官のザックス、オフターディンゲン公爵のローマ、四つがあります」
「七つか」
「ミョッルニルは高価ですのでそうそう配備は出来ませんが」
「主要な星系に一門ずつ置けるだろうか」
「ブラバント司令にお話してみます」
 彼は言った。
「防衛に関して非常に重要でありますから」
「そうだな」
「あとヴァルハラのことですが」
「何かわかったのか?」
「まだその場所ははっきりしていませんが」
「そうか」
 トリスタンはそれを聞いて少し落胆した。
「しかし一つ重要なことがわかりました」
「重要なこと?」
「あの星系に双子の惑星があることは以前お話しましたが」
「うむ」
 またパルジファルの言葉に頷く。
「ニーベルング族はどうやらラインにしかいないようなのです」
「ラインだけか」
「もう一方のノルンにはいないということなのです」
「おかしな話だな」
 それはトリスタンが首を傾げるには充分過ぎる内容であった。
「両方共人が生活可能なのだな」
「はい」
 パルジファルは答える。
「どちらも緑豊かな惑星であるとのことです」
「それでか」
「ラインは赤い大地が多く、ノルンは青い海が多いとのことですが」
「赤と青か」
 それがどうしても引っ掛かった。
「ニーベルング族はどうやら赤を好むが」
「ええ」
 クリングゾルの服や紋章等からそれを推測した。
「しかし。星まで赤か」
「そこに何かあるとでも」
「いや、これは偶然だろうが」
 彼は述べた。
「どうにもな」
「しかしノルンにニーベルング族がいないのも事実です」
「彼等とそこで戦う時は。ノルンを足掛かりにすることになるだろうな」
「そうですね。ですがそれは」
「まだ先か」
「そういうことです。それでは」
 パルジファルは言った。
「私はマグデブルグに向かいます」
「では私はミュンスターだ」
 彼等はそれぞれまだ旗色を明らかにしていない中立星系に向かうことにした。
「マグデブルグを引き入れたならば大きいな」
「はい」
「あの星系だけで二個艦隊を軽く用意出来る」
「それに通商、交通の要地です。そこから他の中立星系に向かうことも可能です」
「ではそちらは頼んだ」
「博士はミュンスターを」
「あそこを引き入れれば南の星系の大部分に影響が及ぶな」
 ミュンスターもまた要地であるのだ。マグデブルグと共に南方にあり、そこから多くの星系に続いているのである。そこから先はパルジファル達に友好的な星系と中立的な星系がモザイクに入り組んでいた。それ等の星系を全てこちらに引き込むことも夢ではなくなるのだ。そうなれば連合軍の勢力は大きく伸張するのだ。
 
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