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ドリトル先生と和歌山の海と山

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第五幕その十四

「お百姓さんかなり儲かるわけ」
「幕府の取り分かなり少ないわね」
「肝心のお米まで低いんじゃ」
「それじゃあね」
「藩によって違いはあるけれど中心の幕府はそうだったんだ」
 吉宗さんが将軍になったそちらはというのです。
「伝統的にね」
「年貢は低くて」
「もう他の作物の利益は全部お百姓さんのもの」
「そんなにいい政治してたの」
「僕びっくりしたよ」
「私もよ」
「実際に幕府はそうした大判振る舞いが過ぎてね」
 その結果というのです。
「いつも善政をして諸藩の手本になっているという幕府の面子もあってね」
「幕府はお金がなかったのね」
「そうだったのね」
「吉宗さんも苦労していたっていうけれど」
「そのせいでお金がなかったんだ」
「年貢を上げたらましになってもね」 
 今で言る税率を上げることです。
「それをしたらね」
「面子だね」
「幕府の面子に関わるから」
「だからそれはしない」
「そうだったの」
「そうだよ、幕府の面子にかけてね」
 それはというのです。
「しなかったんだ」
「そうだったの」
「幕府の意地があるから」
「それで財政は危ないままだったんだ」
「そうだったのね」
「そうなんだ、幕府は面白い政権でね」
 徳川幕府はというのです。
「面子が本当に大事でね」
「その為には財政赤字もよかったんだ」
「いつもそれで苦しんでいても」
「年貢を上げなかった」
「他の藩の手本にもなっていたから」
「そうだったんだ、その面子と財政再建がね」
 この二つがというのです。
「幕府がいつも直面している問題だったんだ」
「吉宗さんもだね」
「他の人達もだね」
「そうなんだね」
「難しいことだね」
「そうしたことを学んでいるとよくわかったよ」
 江戸時代の日本のことをです。
「平和で安定していて面白い時代だよ」
「ううん、不思議なお話ですね」
 トミーはビールを飲んでいて徐々に赤くなってきているお顔で言いました、見れば先生も王子も徐々に赤くなってきています。
「江戸幕府は」
「そうだね、とてもね」
「面白い時代で面白い政権なんですね」
「そうなんだ」
 実際にというのです。
「それがとても面白くてね」
「学んでいてもですね」
「飽きないよ」
「時代劇だけの時代じゃないんですね」
「うん、時代劇も面白いけれどね」
 こちらはこちらで、です。
「それでもね」
「実際の江戸幕府も江戸時代もですね」
「面白いんだよね、そしてその江戸時代の中にね」
「吉宗さんもいたんだ」
「そうなんだ、二百六十四年もあって」 
 それはとても長い時代です、一体どれだけの人がこの二百六十四年の中で生まれて生きてきたでしょうか。
「平和で繁栄していた時代なんだ」
「政治も落ち着いていて」
「そうなんだ、幕末は物騒な時もあったけれど」
 それでもというのです。
「その殆どは平和だったんだ」
「そんな時代も珍しいですね」
「そうだね」
「僕もそう思います」
 お話を聞いていてです。
「江戸時代の日本人に生まれていたら」
「のどかで平和に生きていたかも知れないね」
「そう思いました、そしてそうしたことも思いながら」
「うん、この和歌山もね」
「回っていくといいですね」
「江戸時代もね、しかも和歌山は江戸時代だけじゃないからね」
 和歌山城、吉宗さんや家茂さんだけでないというのです。 
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