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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第七章 C.D.の計略
  謎の答えは歩いてこない



報告


仮面ライダーブレイドの前に姿を現したデミライダー・仮面ライダークイーン。
その変身者・久遠レイカは戦闘の末に撃破。

しかしながら、戦闘のショックは若しくは他の要因によって意識及び記憶に混濁が見られる。
よって、外傷治療ののち「EARTH」にて保護、その記憶の回復を待つこととする。


なお、彼女の持っていた「クイーンバックル」というべきものは破壊するも、その欠片は発見されていない。


彼女の変貌、記憶の混濁にかかわる重要参考人として、「EARTH」は現在、各地で目撃された「フードの男」を捜索中である――――


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久遠レイカの治癒には当然「EARTH」は全力を注いでいた。

オーズの前に現れたトーチを始めとするデミライダーはすでに10人を数えている。


トーチ、絶鬼、マンティス、スクエア、スパイズ
オルタ、闘牙、マキシ、ディライン、クイーン

その内の一人は対象ライダーを完膚なきまでに撃破し、もう一人―――というより一体は、撃破されるも目下逃走中だ。


強さはまさしく十人十色。
その思想もばらばらで、戦う動機も各々別。


仮面ライダーであること以外、その力の出どころも何もかもが異なる。
そんな奴らが、すでに十人。

これが完全に脈絡のないのならともかく、一貫して「仮面ライダー」として現れているのがこの一連の事件の不気味なところだ。




「というか、そもそもこれは「事件」なのか・・・?」

「なにいってんだ。こんだけライダーがでそろってきてんだぞ。何かあるに決まってんだろ」

「ま、センパイにしては正論だね。バラバラならともかく、みんなライダーっていうのがね」

「あいつらを焚き付けた黒幕がいるっちゅうことか?」

「ふーん、どーでもいーけど。僕は敵が来たらやっつけるだけだし」

「でも、ボクもおかしいと思う。「EARTH」は何かつかんでるの?」



最初のつぶやきに、四色の怪人が続く。
そして最後に、疑問符を浮かべて青年・野上良太郎が最初につぶやいた蒔風へと問いかけた。



「EARTH」局長室

蒔風の部屋に、仮面ライダー電王である彼と、彼と契約した四人のイマジンが揃っていた。
議題は聞いてもらった通り、出現し続けるデミライダーのことだ。


「「EARTH」は、ねぇ?」

「ねぇ?って・・・・」

「いや、だって確かにライダーばっかだけど、各々が協力して攻めてきてるわけじゃない。同時とは言うが、最初のトーチからすでに三か月以上経ってる。だとすれば」

「偶々ライダーだったってだけで、別々の事件ってことかい?」

「おいおい、そんなのがまぐれで十人も集まるかよ」

「まあ普通じゃ考えられんのぉ。一緒に攻めてきた奴もおるんやろ?」

「一緒に、って言っても偶然現場が被った程度だろ。それもマンティスとスクエアしかないし」

「うーん・・・でも、なんかある気がするんだよなぁ」

「「EARTH」調べじゃライダーであること以外関連性はないんだけどな」

「むぅ」


と、唸って止まってしまう良太郎。


事実、「EARTH」のデータベースや調査能力は一国の諜報機関や捜査組織を凌駕している。

なんせ、世界結合時からすでにそれらを確立させて完成された組織だ。
それに加えて翼人、管理者、果ては元世界の捕食者といった人間がいるのだ。

各世界からの加盟者も相まって、およそ世界の謎で「EARTH」がわからない、ということはないはずだ。

その「EARTH」がわからない、と言っている以上、相手の出方を待つほかにもはや解明の兆しはない。
それがたいていの人間の考えだ。


とはいえ、ここは「EARTH」。
そこに名を連ねる者たちは「大抵の人間」に含まれるかと言えばそうではなく、特に「仮面ライダー」と呼ばれる人間、さらにはその最主要ともなれば



「よし」

「ん?納得?」

「うん、やっぱり自分でも調べてみるよ。いこ、みんな」

「あら」



野上良太郎は常識人で、その感性は一般人。

なのだが、如何せん彼は頑固だ。
こと精神力や人間性で比べた場合、彼ほどの人間がいるかどうか。

伊達や酔狂で、一人でも個性濃すぎるイマジンと4人も契約していない、ということだ。


そうして、野上良太郎は独自に調査を進めると告げ外に出た。


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なるほど、動き出したか野上良太郎。


こっち敵にはまだ後にしたいが・・・・


――――ついに俺の出番が来るかな?



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調べてみる、と言って部屋を出た良太郎だが、如何せん彼は普通の人間だ。



ほんのわずかな痕跡から真実を見抜く明晰な頭脳もなければ、謎を見抜く特殊能力があるわけでもない。

かといって、手がかりが転がり込んでくる幸運など――――こういっては何だが、彼に限ってはあり得ない。


「で?どーすんだよ、良太郎」

「うん。取り合えず、話を聞こうかなって」


待ってダメなら動くしかない。

幸せは歩いてこない。
だから歩いていくんだよ。




話を聞く、というのはデミライダーについてだ。
だが、実際に見た彼らの話を聞いたところで報告書以上のことはないだろう。

というわけで、現状で会いにいける相手は少ない。

デミライダーのほとんどは撃破と同時にその身を崩壊させている。



トーチ、絶鬼、マンティス、オルタ、闘牙の五人は撃破と同時にその死亡若しくは消滅が確認されている、

マキシ、ディラインは今もなお健在。

スパイズはおそらく死亡したと思われるも、その確認はされていない。

と、なれば生き残っているうち、今会えるのは二人。


まず一人目に会うため、良太郎は「EARTH」の留置施設へと足を運んだ。


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「んだぁ?このトッポいヒョロヒョロのオニイチャンはよぉ?」

「ひぇ」

「EARTH」留置施設の檻の中。
彼はオルフェノクであるため通常の施設には入れられず、懲役なりなんなりの処分が決定されるまでここに留置されている。


彼の名は、呉木田浩司。
つい2か月前、仮面ライダースクエアとして暴れまわった男だ。

東京タワーを武器化し半壊させ、都民を始めとする人間を強制的にオルフェノクへと覚醒させようとした犯人である。


そんな彼だが、さらに言うとガラが悪い。
端的にいえば、この呉木田浩司はいわゆる不良のレッテルを張られている。

ケンカの相手を必要以上にブチのめし、いまだに病院から出てこれない奴もいる。
威張るだけで能無しなんで気合を入れたてやった先輩はもう二度と面を見せず、買い物にしても料金がいくらだろうと決して自分は金を払わない。

自分自身のために、弱者を利用し踏みつける。
ましてや女だろうと容赦はしない。事実、ベルトを届けたスマートレディは初変身の「試し打ち」で殺しているほどだ(まだ未発覚だが)


「うん良太郎。こいつクズだよ」

「わーい、クズー」

「ウっせぇぞチャラガメに茄子ガキ!!」

「なあ良太郎。こいつ、ほんとに話する価値あるんか?」

「うーん、でも何か知ってるかもだし・・・ねえ君」

「あぁ?おめぇなんぞに君なんて言われる筋合いねぇぞおい」

「うぁ・・・わかった、わかったよ・・・君にベルトくれた人って、どんな人?」


オドオドとしながらも、聞くところはしっかりと聞く良太郎。
よく見ると、さっきからのどう喝にも足は一歩も下がっていない。

しかし呉木田にしてみれば急に現れたナヨっちい野郎である。
と、来れば当然


「はぁ!?テメェなんぞに話せることなんか何もねーよバーッカ!!」

である。
この男、以前よりひどくなってないだろうか?

それに対し、良太郎はというと

「・・・・そう、わかった」

とだけ言うのみ。
そして一歩下がり、ぺこりと頭を下げた。

「ごめんなさい、失礼しました」

そう言うと、踵を返して帰ろうとする。
その肩に肘を乗せ、ついていくモモタロスが聞いた。

「おい良太郎。なーんでそこでゴメンナサイなんだよ!?」

確かにそうである。
あれだけ罵倒されているのだから「そっか」だけでもいいものである。

まあ言い返さない・・・というか、言い返せないのが彼らしいが。
しかし、この場合の彼は言い返すよりもたちが悪かった。


「いや、だって・・・あの人もらっただけで何もわからない人だし、あんな感じの人だと、僕の経験上何か覚えていられるような人とも思えないし。何もわからない人に聞いちゃって困らせたかなって」


これである。
しかも、本人はいたって本気である。

普段ならここからケンカに巻き込まれ(と良太郎は思っている)、そこそこの怪我をして家に帰るのだが


「おいお前今なんつったゴラァ!!」


檻の中の呉木田には何もできない。
挙句、うっかり檻に掴みかかり電流に痺れる結果となった。



「じゃあ、次の人だね」

「ねーカメちゃん。ボク時々良太郎がすごく怖いよ」

「奇遇だねリュウタ。僕も同じこと考えてた」

「あ?良太郎はキレるとまじおっかねーぞ。こう・・・じっと近くで見てくる感じが」

「無言の圧・・・っちゅー奴やな、うむ」


ともあれ、そんなこんなで最初の一人は空振りだった。
では、次の人はどうだろうか?



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というわけで、次に来たのは「EARTH」で保護されている久遠レイカの病室だ。
「保護」とは言いながらも「拘束」と紙一重なところではあるが。

病室を訪れた彼が目にしたのは、ベッドを起こして、ボーっと座っている彼女の姿だった。

まだ記憶が混乱しているらしく、はっきりとした言葉が出てこないのだそうだ。


「あの・・・」

「・・・はい」

「大丈夫、ですか?」

おずおずと聞く良太郎。
それに対し、久遠レイカはフウ、と溜息をついた。


「まあ、ね。記憶は何が本当だったのか、ちょっと曖昧だけど。なんとか、なんとなく、ね」


自分で確認するかのように、少し自信無さげに話すレイカ。


自分の中の何が本当なのか、まだ整理がついていないようだ。
だが、一つ言えることがある。


「あの時、私の中に何かが入ってきた」

というよりも、納得していた自分の中を、無理やり上書きされたかのような感覚だったらしい。


見たはずのない光景――――息絶える祖父、それを抱える自分、血の滴る武器を構える仮面ライダー
見たはずのない、というのは、後から確認で聞いた話でこっちが偽造されたものだと「思わざるを得ない」からだ。

今だに彼女の中では、剣崎達に説得され納得した記憶と、祖父を殺した仮面ライダーたちへの憎悪の記憶が半々ほどのあるのだそうだ。


「じゃあ、あの変身する道具・・・どこからもらったの?」

「え?ああ、それについてははっきりと言えるわ」

「そうなの?」

「ええ。私が言えるのは「わからない」だけよ」

「えぇ~・・・・」

そんなことを胸を張って言われても・・・と若干引き気味になる良太郎。
それに対し、ハンと自虐的に笑って手を振るレイカ。

「あれを手に入れた経緯は確かにあるわ。私はあれを「受け取った」。それは確かよ」


しかし、その過程や場所、相手などが一切不明なのだそうだ。
風景を忘れたとか、人相を忘れたとか、そんな次元の話ではない。

「受け取った」という記憶がありながらも、それ以外の一切の情報が全くの「白紙」なのだ。

覚えていないのではない。
記憶からすっぽりと、その部分だけ消しゴムのように消されているのだという。


「でも、そこに違和感がないのが凄いわね。誰が何をしたのか知らないけど、私にとってあの「記憶」は確かな「過去」になってるのよ」

自分の記憶と、偽りの記憶。
それらが同時に存在する以上、彼女にとっての「過去」は二つ存在する。

事実、真実は一つだが、人がそう認識した以上、それが現実の記憶、記録として残る。
まるで量子力学の話になるが、そう言われて良太郎はハタと気づいた。


「「記憶」が・・・「過去」に・・・?」


その言葉は、時の列車に関するライダーである彼らにはなじみの深い言葉だ。


彼らが闘ってきた敵勢力―――その尖兵である怪人・イマジン。

未来から姿を持たずやってきて、砂で構成されるうつろな彼らは人間と契約し、それを(強引に)叶えることで実体化する。
そして、それを叶えると契約した人間の「時間」を乗っ取り、過去へと飛んで破壊活動を行う。

では、そうなったとき仮に電王が彼らを倒しても過去に破壊されたものはそのままなのか?


答えは違う。
イマジンを倒せば、その破壊はなかったことになる。

厳密にいうと、契約した人間の持つ「破壊活動が行われた記憶」も消え、日常の記憶に戻される。
すると、その記憶を元に現実が修復されるのだ。

これが彼の知る「記憶は現実」「記憶は過去」という言葉のもとである。


今、彼女が陥っている状況はこれに近い。
しかし、イマジンの気配に敏感なモモタロスは反応していないし、彼女が契約して過去にイマジンが行ったのであればすでに「現在の彼女」はイマジンに存在を乗っ取られ消えているだろう。


「違うんじゃないの?」

「うーん、でも」

「まあええやないか。やるのはタダや!!」

キンタロスにそう言われ、物は試しとデンライナーパスをレイカにかざす良太郎。
こうすることで、その人物の過去に飛んだイマジンの姿と、その行き先の時間を知ることが出来、デンライナーで追うことが出来るようになるのだ。

なによ、といぶかしむ彼女だが良太郎の視線は彼女ではなくカードに向いていた。


当然だ。
こんな反応初めてだ。


「何も映らんのう」

「でも、時間だけ出てきた―――――」


20XX年12月26日


「僕の誕生日?」

「でも年ちゃうやんけ」

「うーん、なんで?」


レイカにお礼を言って、カードを手に病室を出る良太郎。


うんうんと頭を捻って考えるが、この年の彼はまだ仮面ライダーになってもいない。
と、悩む彼の背中をモモタロスがドン、と押した。


「なぁに、悩んでもしょうがねぇ。とりあえず行ってみりゃぁわかんだろ!!」


その一言に、そうだね、と答える良太郎。
時計を見る。ちょうどいい時間だ。


デンライナーに乗るために、彼は扉を開け、時の空間へと踏み出した。



時間の波は捕まえた。
ならば、今すぐに行くだけだ。

迷いそうなときは、想いの強さが導くものだから。


「まあノリがいいほうが勝つってことだけどな」

「センパイ。それぶっちゃけすぎ」



to be continued


 
 

 
後書き





というわけで始まりました電王編!!
まったく謎なところからですがそこはそれ。


野上良太郎は不幸、つまりは巻き込まれ体質。
ぶっちゃけ何かアクションを起こせば戦いの渦に巻き込まれるだけなのさ!!


蒔風
「うわぁ、難儀な星のもとに・・・」

しかしそのおかげで苦しんでる人を助けられる。
戦わなくていい人の代わりに戦える。

そう思い、そう思うことが出来、そしてそれが強さにできるから彼はすごいのです。

あーあ!!
全然更新してないからもうビルドも終わっちゃうんじゃないかこれ!?


ショウ
「この世界にいるのはウィザードまで・・・・」

アリス
「あと鎧武、ドライブ、ゴースト、エグゼイド、ビルド・・・・五人もどうするんですか?」


鎧武はすでに構想がある!!ゴーストもある!!
ドライブは警察関係だからまあ大丈夫だろ!!

困ってんのはエグゼイドだよ!!
どうやって絡ませようかな!?

蒔風
「放送終わって結構たつのに・・・・」

バカそんなホイホイアイデア出るかよ・・・
というかアナザーエンディング見れてねぇよ・・・


アリス
「放置した自業自得ですね。では次回」

良太郎
「え、僕の誕生日関係ないの?偶々あの日?どういうこと~?」

ではまた次回 
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