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ドリトル先生と和歌山の海と山

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第二幕その十

「薔薇の香りもしてね」
「それでよく飲むんだね」
「日笠さんも好きなんだ」
「それで日笠さんともだね」
「よく誘われているよ」
「それもいいことだね」
 これまで以上に笑顔になって応える王子でした。
「じゃあ日笠さんとも一緒に飲むといいよ」
「そうしていくといいよ、僕も紅茶は好きだしね」
 王子はミルクティーをお代わりしつつ言いました。
「二杯三杯と飲んでね」
「気分をすっきりさせてね」
「この紅茶を飲んだら別荘に帰るけれど」
「別荘でもだね」
「今日は家庭教師が来るからね」
「その人からだね」
「また学問を教わって」
 そしてというのです。
「夜は剣道だよ」
「ああ、王子剣道をやってるんだ」
「王族の嗜みでね」
 それでというのです。
「フェシングだと思ったよね」
「いや、日本だとね」
「父上と母上もそう言われてね」
「剣道をしているんだ」
「そうなんだ、毎日しているよ」
「それはまた凄いね」
「面白いよ、剣道も」
 こちらの武道についてのお話もする王子でした。
「防具を着けて竹刀を振ってね」
「剣道着もだね」
「そうそう、最初に着てね」
 王子は先生に陽気にその剣道のお話をしていきます。
「それからなんだ」
「素振りもするんだ」
「しているよ」
 実際にというのです。
「毎日千本ね」
「多いね、それはまた」
「朝起きてね、ランニングもしてね」
「素振りもだね」
「しているんだ、何か神戸に凄い達人の人がいて」
 剣道のというのです。
「その人は九十位らしいけれどそのお歳でもね」
「素振り千回をなんだ」
「二千回とかね、毎朝十一キオの木刀でね」
「十一キロ、凄いね」
 このことにはびっくりして応えた先生でした。
「そんな木刀を千回二千回となんだ」
「毎朝振っているんだ」
「九十歳でなんて」
「凄いよね」
「恐ろしい人だね、本当に」
「何かある流派の免許皆伝らしいよ」
「その流派はまさか」
 ここで気付いた先生でした、それで言います。
「直新陰流かな」
「あっ、知ってるんだ」
「日本の剣道の流派の一つでね」
「そんな稽古をしているんだね」
「勝海舟さんの流派だよ」
 幕末に活躍したこの人のというのです。
「勝海舟さんはこの流派の免許皆伝だったんだ」
「じゃあ勝海舟さんは凄く強かったんだ」
「実はね」
「その人も免許皆伝らしいけれどね」
 その直新陰流のです。
「それで九十歳でもね」
「そんな人もいるんだね」
「それで僕もね」
「剣道をだね」
「やっていくよ」
「免許皆伝もかな」
「取りたいね」
 実際にというのです。
「段位だと八段かな」
「そこまでだね」
「なりたいね」
「じゃあ頑張らないとね」
「この前やっと初段になったんだ」
 そうなったというのです。 
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