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流星の歴史介入

作者:正博
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流星 一瞬の輝き

 
前書き
 えーとまずごめんなさい。
 2万字近くになっていますので、読むのに疲れると思います。
 前半は細かく書いていましたが、後半は手抜きです。
 75話をまともに書くと、とんでもなくなるので政治は控えて書いています。 

 
 砂漠に朽ち果てた、鉄の巨人が眠っていた。
 ニ度と目覚める事の無い永遠の眠り。
 鉄の腕、鉄の足は最早動く事は無い。
 勇ましく火を噴いた砲ももう吠える事は無い。
 一緒に戦った若い戦士達も皆去って行った。
 
 巨人はみんなの独立への象徴だった。
 若者達はみんなの独立への希望だった。
 巨人の名は『ダグラム』。
 若者達は『太陽の牙』。

 彼らはデロイヤ星独立を最後まで信じ、最後まで戦い駆け抜けて行った。
 純粋な彼らだけなら成し遂げたかも知れなかった。
 だが戦いが大きくなるにつれ、不純物が混じり始めた。
 大人の欲望と言う不純物が、純粋な彼らの道を塞ぎ始めた。
 道を絶たれた純粋な若者達は決断した。
 欲望に塗れた奴らにみんなの象徴を渡してはいけないと。
 彼らは自分達の手でダグラムを炎の中へと沈めた。
 彼らは自分達の牙も投げ込んだ。
 自分達が信じた道と象徴が綺麗なまま天に昇れる様に願いながら。
 そして彼らはそれぞれの新しい道へと別れて行った。


 リュウジ「やはり歴史に、介入するべきだった」
 リアナ「じゃ歴史を戻るかい?」
 ロイド「さっさと戻ろう、そして今度は彼らの力となろう」
 リュウジ「このまま彼らの仲間になっても、歴史は変えられない」
 リアナ「呼ぶの、彼らも?」
 ロイド「彼らだって、この結末は嫌っていた」
 リュウジ「もう自重はしない。彼らにも協力して貰う」
 ガル「呼んだか?」
 エレナ「歴史を変える、面白いね」
 ライン「いいぜ。協力しても」
 リュウジ「ああ頼む」
 ガル「自重はしない、それで構わないんだな」
 リュウジ「それでいい。彼らが本来見られた、未来を見せてやる」
 リアナ「何処から介入するの?」
 ロイド「クリンが信頼される、ダグラム奪回からだろう」
 リュウジ「サマリン博士には気の毒だが、それしかないだろ」
 ガル「そう言えば奴は、姿が見えないが」
 リュウジ「ダグラムの所だ。レイは一番ダグラムが好きだったからな」

 突然一人の青年が現れた。

 レイ「行くのか?」
 ロイド「戻ったか。では行くか」
 ガル「待て。リーダーと名前を決めよう」
 リュウジ「リーダーはガルでもいいぞ」
 ガル「お前がやれ。俺にリーダーは似合わん」
 リアナ「チーム名は?」
 レイ「流星。太陽が彼らなら、俺達は一瞬の流れ星で良い」
 リュウジ「それでいい。では歴史に介入を開始する」

 彼らの姿が、突然に消えてしまった。


 地球では人口増加による食料不足、資源の枯渇が問題になっていた。

 そんな時惑星デロイヤと言う環境、資源埋蔵量共に申し分のない惑星を見つけた。
 地球から224光年と遠く離れた星であった。

 だがSC17年ワーム・ホール航法が完成し、約52時間と言う短時間で行ける様になった。

 SC22年からデロイヤ星の開拓が開始された。
 惑星規模は地球と同じであったが太陽が二重太陽で、電離層の乱れが酷くレーダーや通信電波がほぼ有視界と同じであった。
 それとXネブラと言われるガス星雲に包まれている為に、全域に渡りコンピューターの性能が極度に低下するという特質を持っていた。

 SC152年現在人口12億、既にデロイヤ生まれが90%を占めるまでになった。
 地球で消費される食糧の40%鉱物資源80%を、供給する地球にとってデロイヤ星は生命線であった。
 その結果地球の大企業が進出し、デロイヤ経済を牛耳っていた。
 またデロイヤ星は地球の植民地としか認められておらず、自治権も地球評議会への参政権も無く地球から管理の行政官が派遣されていた。
 当然資源の搾取・圧政を受けるデロイヤの人々に、地球への不満や怒りは溜まる一方であった。
 デロイヤの地球からの独立運動は激しさを増し、ついには地球連邦政府・軍への抵抗運動が過激になっていった。
 地球連邦軍は抵抗運動を弾圧していき、デロイヤ人の怒りは限界を越えゲリラ活動が活発になって行った。
 

 カーディナルの連邦軍基地ではゲリラが秘密裏に開発していた、コンバット・アーマー「ダグラム」の調査が行われようとしていた。
 先日ゲリラの隠れ家を急襲した際に、独立運動最高指導者デビッド・サマリン博士の逮捕と共に押収した物であった。
 しかしその格納庫内に地球連邦評議会議長ドナン・カシムの息子、クリん・カシムが潜んでいた。
 彼は地球人ではあったがある事からサマリン博士と、知り合い頻繁に会いに行く様になった。
 その事が身内に知られているのに気づかずに連邦軍を、ゲリラの隠れ家に招き寄せる結果になった。
 その為仲間となったゲリラの元に、ダグラムを単身奪い返そうとしていた。

 クリン「僕が必ず奪い返して見せる。待って居てくれみんな」

 その時クリンの背後に7人の人影が現れた。

 リュウジ「クリン・カシム。俺達も手伝っていいか?」
 
 クリンは驚いて声を上げそうになったが、手で口を塞がれた。

 ガル「慌てなさんな。俺達は「流星」と言うゲリラだ」
 クリン「そうでしたか。すみません、僕の責任でご迷惑をかけてしまって」
 リアナ「反省会は後でしな。今はあれを取り返す」
 リュウジ「俺達が暴れてやる。その隙にダグラムを奪い返せ。いいな」
 クリン「はい」

 流星が行動を開始した。
 格納庫の至る所に、プラスチック爆弾が仕掛けられていた。
 
 ロイド「行くぞ!」

 ロイドが爆弾の点火ボタンを押したと同時に、格納庫のあちらこちらで爆発が起こった。

 レイ「行け。クリン」

 流星は格納庫内の連邦軍兵士に、銃撃を開始しクリンを援護した。
 クリンはダグラムへのタラップを駆けあがると、調査をしていた連邦軍兵士を押しのけコックピットに入った。

 ガル「第1次作戦終了、クリン達に合流するぞ」

 ダグラムのキャノピーを閉じるとクリンは、ダグラムを起動させ格納庫から出した。
 外には通報を受けた装甲戦車が待機していた。
 だがその装甲戦車がいきなり爆発をして行った。

 クリン「これは一体?」
 ライン『ボケっとするな! 爆弾を仕掛けていただけだ』
 エレナ『あんたの仲間がトレーラーを運んでくる。それで急いで逃げろ』

 言われた通りコンバット・アーマー運搬用トレーラーが近づいてきた。

 ロッキー「クリン! 早く乗れ」
 クリン「ロッキー!」

 クリンはダグラムを、トレーラーに乗せた。

 ロッキー「出せ! チコ」
 チコ「あいよ」

 そのトレーラーをデューイ戦闘ヘリが銃撃してきた。
 クリンはダグラムの20mmチェーンガンで、戦闘ヘリを撃墜した。
 だが基地のゲートは装甲戦車で、既に封鎖されていた。
 トレーラーの横に2台の軍用ジープが並んだ。

 リュウジ「止まるな。突っ込んで行け。俺達が排除する」
 ロッキー「あんた達は?」
 リアナ「自己紹介は後だ。撃つよ」

 リアナ達がバズーカ砲を構え、装甲戦車を撃った。
 装甲戦車は大破した。
 そこにトレーラーは、突っ込み押し除けて通った。

 エレナ「おまけだ。受け取りな」

 エレナがバズーカ砲で、上空の戦闘ヘリを撃ち落とした。
 その後コンビナート地帯でトレーラーは、エネルギー貯蔵タンクに激突し業火に焼かれてしまった。
 その横の河川を1隻の、中型船が通っていった。


 バックス「お前達も無茶をするな。船を用意してくれって、連絡があった時には何かと思ったぞ」
 ロッキー「すみません」
 クリン「ロッキー!」

 ロッキーとクリンは固い握手を交わした。

 バックス「ロッキー、ところであの7人は誰だ?」
 ロッキー「俺達を援護してくれたんです。でもまだ名前も知りません」
 リュウジ「俺達は「流星」と言う。最近作ったばかりだ」
 バックス「だろうな。この辺りのゲリラの情報は、ほとんど知っているつもりだからな」
 レイ「俺達はダグラムの情報を聞いて、奪い返しに行って調度クリンに出合った」
 エレナ「私らもあんたらに同行して構わないかい」
 バックス「ロッキーお前が決めろ」
 ロッキー「俺達こそ頼む」
 リュウジ「流星リーダー。リュウジだ」
 ロッキー「まだ名はないが、リーダーのロッキーだ」
 バックス「ロッキー、お前達に良いものをやろう」

 バックスは船底から長い箱を持ち出して来た。

 バックス「これはEガンと言う」

 バックパックを一つ取るとコードを、Eガンのグリップに取り付けた。
 そして川に浮いていたビンを、軽々と撃ち抜いて見せた。

 バックス「ロッキーお前達の人数分はある。リュウジ達には悪いが我慢してくれ」
 リュウジ「構わない。俺達用の武器も、もうじき届く手配をしてある」
 バックス「チコ。お前はこっちのビックEガンを使え。ダグラムの装甲も撃ち抜く」

 そう言ってバズーカ砲位の、大きさの物をチコに渡した。
 そしてもう一つバックパックは4km程度の、通信機能を備えている事を伝えた。

 キャナリー「あたい達は何処に行くのさ?」
 ロッキー「ボナールだ」
 フェスタ「ボナールって、あのデロイヤグランプリの?」
 ロッキー「そうだ」
 バックス「元々ダグラムもEガンも、ボナールで量産する手筈だからな」
 
 船は目的地に着き待っていた、デスタン率いるゲリラ達と合流した。
 しかしダグラムを降ろそうとした時、連邦軍の偵察ヘリに見つかってしまった。
 通報を受けた軍用武装ホバークラフト2隻が襲撃を掛けて来た。
 流石のダグラムも水上を高速で動く相手に苦戦していた。

 リュウジ「そろそろ出すか、レイお前がやれ」
 レイ「ああ、来い」

 森の中に1機のコンバット・アーマーが横たわっていた。
 レイはコックピットに入ると、起動させ立ち上がらせた。

 ビリー「ロッキー! 後ろにコンバット・アーマーだ」
 リアナ「心配するな。うちらの武器がようやく届いたんだ」
 バックス「お前達は一体?」
 エレナ「レイ。どうだいダグラムⅡの乗り心地は」
 レイ『今はクリンの救助が先だ。撃つ』
 
 ダグラムに似ているコンバット・アーマーが、2連装アームリニアガンを撃った。
 それは軍用武装ホバークラフトを1隻撃破した。

 連邦兵「隊長! もう1機ダグラムが居ます」
 隊長「何! あり得ん、撤退だ」
 クリン「逃すものか!」

 ダグラムが逃げて行く軍用武装ホバークラフトを、アームリニアガンで撃破した。
 
 クリン「ダグラムがもう1機。一体誰が操縦しているんだ?」
 レイ「俺だ。クリン、レイだ」
 クリン「その機体は?」
 レイ「ダグラムⅡと取り敢えず呼んでいる」
 クリン「ダグラムⅡ」

 戦闘が終わり、それからが大変だった。

 デスタン「そんな馬鹿な事があるか。自分達だけで製造しただと」
 リュウジ「あんたに信用して貰わなくて別に構わんよ」
 デスタン「それがリーダーに向って言う言葉か」
 ライン「俺達はロッキーと行動を共にすると言ったが、手前をリーダーと認めてねぇよ」
 エレナ「何、自分が1番偉く無ければ嫌なの。小さい男だね」
 リュウジ「馬鹿は放っておけ。クリン、ダグラムの搬送トレーラーも仲間が持って来た」
 デスタン「貴様! 俺に向って」

 その時素早く動きガルが、デスタンの首にナイフを突きつけた。

 ガル「戦闘で名誉の戦死って事にしてやろうか。もう黙れ!」

 デスタンは青ざめた顔でへたり込んだ。
 
 ロッキー「クリン。折角用意してくれたんだ、使おうぜ」
 クリン「分かった」
 バックス「リュウジ。お前達の組織は、かなりの力を持っているんじゃないか?」
 リュウジ「悪いがサマリン博士一人守れないのに、組織の事を喋る訳が無いだろう」
 バックス「・・・・・・・」
 
 バックスは返す言葉が無いまま、カーディナルの組織再編の為帰って行った。
 その時既にダグラム討伐の為に、傭兵部隊ガルシア隊が近づいていた。
 それとは別にかつてクリンが世話になった、ダーク曹長の連邦軍部隊も接近してきていた。

 それからしばらくして近くの山岳に、拠点を置くゲリラ達とあった。
 彼らはバックスと共にカーディナルの、組織立て直しに行く所であった。
 そこにガルシア隊が襲ってきて、彼らは全滅してしまった。
 テキーラ・ガンナー4機と、戦闘ジープ数台が相手であった。
 クリンとレイはダグラムを起動させて、立ち向かって行った。
 
 ガルシア「2機だと! 情報と違う。まともに相手すると、損害が馬鹿にならん」
 オッペ「それではどうします?」
 ガルシア「そうだ。ダークの部隊を呼んでやれ」
 オッペ「成程。それで弱った所を、了解です」

 クリンは最後のテキーラ・ガンナーを撃破した。
 それを最後に急に攻撃が止んだ。

 ロッキー「一体どうなっている」
 ロイド「援軍が来るんだよ。周囲を注意しておけ」

 その言葉が終わった矢先に山向こうから輸送ヘリに運ばれて、3機のラウンドフェイサーが降りたった。
 クリンはラウンドフェイサーのシールドの部隊マークで、かつて世話になった事のあるダーク曹長である事が分かった。
 クリンには撃てなかった、知り合いを撃つ事が出来なかった。

 レイ「クリン。撃つんだ! お前はこれから先も、知り合いが敵になる。そう言う道に進んだんだ」
 クリン「撃てない。撃てないんだ!」
 レイ「見ろ。クリンお前が撃たなければ、お前を援護している仲間が死ぬ。それでいいのか」

 レイの言った通りダーク曹長のリニアガンは、ビリーとキャナリーに向けられていた。

 クリン「ダークさん!」

 ダグラムのアームリニアガンが、ダークのラウンドフェイサーを撃ち抜いた。
 ダークのラウンドフェイサーは爆発した。

 連邦兵「よくも!」

 ダークの部下のラウンドフェイサーが、現れたがクリンはそれをも撃って破壊した。
 後1機はレイによって、既に葬られていた。
 クリンは流れ出る涙を拭った。
 自分が選択した道の険しさと、厳しさを心に刻んだ。
 そして仲間と共に、再び前進を開始した。
 

 ガルシア「正規軍も全く、役立たずでは無いか」

 ガルシア隊は新たな作戦を、立てる為撤退していった。



 ロッキー「食料、弾薬、おまけにダグラムの燃料も無い」

 今ゲリラの部隊は、補給物資が無くて止まっていた。
 そこに周囲の警戒をしていた、フェスタが急いで戻って来た。

 フェスタ「大変だ! ガルシア隊の連中、俺達を探し回って近くまで来ている」
 デスタン「出発だ!」
 ロッキー「ダグラムはどうするんだよ」
 デスタン「置いて行って、後で取りにくればいい」
 エレナ「どうぞ。逃げるのは速いのね」
 デスタン「戦略的に物事を見られない、奴が口を挟むな」
 ビリー「はいはい」
 ガル「死にたくなければ、さっさと失せろ」

 デスタンは他のゲリラを連れて、行ってしまった。

 ロイド「やっと静かになったぜ」
 チコ「口だけの男さ」
 ライン「それはもういい。これからの事を考えよう」
 クリン「ガルシア隊の補給部隊から奪おう」
 
 クリンが作戦を説明していた。

 リュウジ「補給物資位はすぐ用意出来るが」
 リアナ「ハックルが必要になるからね」
 ロイド「俺らで攫うのは?」
 ライン「ロッキー達に必要人物と、思われないと殺される」
 レイ「彼はダグラムの整備、修理に必要だからね」
 ガル「ここは歴史通りにいこう」
 エレナ「仕方が無いか」

 クリンの作戦とは普通は戦闘部隊と、補給部隊は分かれて行動する。
 だがその間隔は10kmと決まっている。
 そこで無線でガルシア隊を調度、10km圏内にある街に誘き出す。
 そうすれば補給部隊が近くで夜営する筈、そこで物資を盗み取ると言うものだった。
 
 作戦は成功して物資は集めたが、ダグラムの燃料補給チューブの規格が合わなかった。
 そこで補給部隊の一人を上手く捕まえたので、そいつにやらせる事になった。
 
 ガル「運良くハックルを捉えたな」
 リュウジ「運じゃない。集まるべくして集まったんだ」
 ライン「それじゃ、反撃しますか」
 レイ「行って来る」

 ダグラムⅡが攻撃を開始し、2連装アームリニアガンが補給部隊を壊滅させた。
 緊急連絡を受けて戻って来たガルシア隊を、がけ崩れを起こし巻き込み半壊させた。
 ガルシアは騙された事で、怒り心頭だった。

 連邦軍のフォンシュタイン大佐から、今回の被害分の補給物資が届けられた。
 その中に2機の砂漠戦用の、デザート・ガンナーがあった。

 ガルシア「ガキ共砂漠戦の恐ろしさを、たっぷりと味合わせてやる」

 それからのガルシア隊の攻撃は、昼夜を問わず行われた。
 2足歩行のダグラムでは砂に足を取られ、いつもの軽快な動きが出来ず苦戦するばかり。
 逆にデザート・ガンナーは6本足で砂漠上でも、滑る様に高速移動が可能であった。
 クリン達は追い詰められていった。
 しかも戦闘中に大切な水を失い、ピンチになっていた。

 ガルシア『クリン・カシム! ダグラムを持って投降しろ。そうすれば他の奴らは見逃してやる』

 クリンは賭けに出た。
 もし仲間の命が本当に助かるならば、自分はどうなってもいいと。
 捕虜にしていたハックルにダグラムを操縦させ、仲間に何も言わずガルシア隊に投降した。
 だがロッキー達はクリンを信じ、逃げようとしなかった。
 クリンはガルシア達に今迄の恨みで、暴行を受け続けていた。
 そんなクリン達を見ていたハックルは、これは軍隊では無いやくざだとクリンを助ける事を誓った。

 クリンと一計を案じダグラムが、後30分で爆発すると報告した。
 クリンは仲間を見逃すなら、爆弾の位置を教えると言った。
 ガルシアはこの時休息を取っており、副官のオッペがこの話を聞いていた。
 最初はダグラムなどどうなってもいいと言っていたオッペであったが、クリンが父は自分を見捨て攻撃させている金など出さないと言われ不安になった。
 それで兵士を一人監視に付けて、ハックルに爆弾の解除を命じた。
 クリンと二人ダグラムに上がったハックルは、兵士の隙を突きダグラムから突き落とした。

 ダグラムを奪い返したクリンは、ハックルを乗せて攻撃に転じた。
 休息状態だったガルシア隊は、デザート・ガンナーを1機残し壊滅した。
 最後の抵抗をしょうとした副官オッペは、ハックルに撃たれ死んで行った。

 デザート・ガンナー1機だけとなった、ガルシア大佐はそれでもあきらめず最後の攻撃を仕掛けた。
 だがフェスタがチコをサイドカーに乗せてデザート・ガンナーの下を駆け抜け、チコのビックEガンがデザート・ガンナーを撃ち貫いた。
 動きの止まったデザート・ガンナーを、クリンはダグラムのアームリニアガンで撃破した。

 だが喜びも束の間だった。
 活躍して喜んでバイクを一人、走らせていたフェスタが突然爆発死亡した。
 ガルシア隊副官オッペが死ぬ間際に投げつけようとしていた手榴弾が、サイドカーに落ちていてバイクを走らせていた際に安全ピンが外れ爆発したのだ。
 

 リアナ「何故フェスタを、助けなかったの。リュウジ!」
 リュウジ「仲間の死を受け止められる、心の強さが彼らには必要だからだ」
 ライン「助けてやれば良かったはずだ」
 ガル「甘さを抜くのにはどうしても必要だった」
 エレナ「でも」
 レイ「止めるんだ。リーダー達も悲しんでいないと思うのかい」
 ロイド「だがな。人の死は計算で割り切って、欲しくは無かった」
 リュウジ「彼らはこの先も多くの仲間を失う、耐えられなければ終わりだ」

  
 フェスタの死後から数日経ってようやく、目的地ボナール市郊外に着いた。
 
 リュウジ「いきなりダグラムを持ち込むのは危険だ」
 ビリー「何で。早く行こうぜ」
 ロッキー「あれが見えないのか」

 それは上空を飛び回っている、戦闘ヘリの編隊だった。

 キャナリー「きな臭い感じね」
 ビリー「でもボナールにはゲリラの仲間が、大勢いるんだろう?」
 クリン「僕とハックルが待機しているから、みんなで行っておいでよ」
 リュウジ「流星も残る」
 
 結局ロッキー達だけが先行している、デスタンに会いに行く事になった。
 ボナールの街はグランプリ開催でお祭り騒ぎであった。
 ロッキー達は打ち合わせていた、デスタンの隠れ家へと向かっていた。
 
 キャナリー「あれはデスタンの部下のエディ?」

 キャナリーが見たエディは、酒を飲み酔っている様だった。
 しかしエディはロッキー達を見つけると、驚き何処かへ行ってしまった。
 ロッキーは気にするなと言って、デスタンの隠れ家へ入って行った。
 
 デスタン「き、君達かよく来た。それでダグラムは?」
 ロッキー「そんな物すぐに、持ち込める訳が無いだろう。郊外に置いてある」
 デスタン「そ、そうだな。君達にしてはいい考えだ。ではすぐに行くぞ」
 ビリー「そんなに急がなくてもさあ、グランプリ位見せてよ」
 デスタン「状況は急を要しているんだ」
 ロッキー「分かったよ」

 ロッキー達はデスタンを乗せて、郊外の廃倉庫に向った。
 その後ろから車が1台追いかけて来た。

 エディ「おおーい。デスタンは裏切り者だ! 気を付けろ」
 ロッキー「何!」

 ロッキーはデスタンを見ると、服の内側に発信機を見つけた。
 
 ロッキー「デスタン!貴様」

 デスタンは車から飛び降り逃げ出した。
 後を追うつもりだったが、既に連邦軍の戦闘ヘリが追撃してきていた。

 ロッキー達は廃倉庫に滑り込んだ。
 その後エディも逃げ込んで来た。

 ロッキー「エディ一体どうなっている」
 エディ「デスタンが命惜しさに、ゲリラ達を売ったんだ。もうボナールに仲間はいない」
 ガル「やはり喉笛を切り裂いておくべきだったな」
 エレナ「そんな事より、ここでは拙い。何処かへ一度隠れないと」
 エディ「それならエネルギー工場がある。だが5kmも先だ」
 レイ「やるだけだ。こうして居ても、状況は悪くなるだけだ」

 ロッキー達を先頭に、逃走を開始した。

 ロイド「鬱陶しい。落ちろ!」

 ロイドが対空ロケットランチャーを、戦闘ヘリに発射撃墜した。

 チコ「来たぞ! コンバット・アーマーだ」

 上空に輸送ヘリ3機が、ラウンドフェイサー3機を運んで来た。

 リュウジ「レイ、頼めるか」
 レイ「ああ」

 レイのダグラムⅡは、トレーラーから飛び降りた。

 ライン「ロッキーお前等は、先に行け。俺達は少し相手をしてやる」
 ロッキー「気を付けろよ」

 ラウンドフェイサーの9連装ミサイルポッドから、3発ミサイルが発射された。

 レイは軽やかに躱すと1機に接近し、キャノピーに拳を叩き込んだ。
 残り2機のラウンドフェイサーが、左右に別れリニアガンを撃って来た。
 レイはダグラムⅡをジャンプさせると、2連装リニアガンを撃って1機撃破した。
 残り1機のラウンドフェイサーは、リュウジがバズーカ砲をキャノピーに命中させ撃破した。
 レイのダグラムⅡをトレーラーに乗せると、ロッキー達の後を追った。


 エネルギー工場は連邦軍に取り囲まれたが、連邦軍も工場を破壊してしまう可能性があり突入出来ないでいた。

 リアナ「ダグラムを分解して突破。面倒だ、あたしの機体を出すよ」
 エレナ「じゃあたしも、出すよ」
 リュウジ「構わない。最初に言った、自重はしないと」

 倉庫に赤いダグラムⅡと白い高速戦闘ヘリが現れた。

 リアナ「やっとダグラムルージュで戦える」
 エレナ「あたしは白雪で戦う」

 ロッキー達は目的地を失い無理と判断したのか、工場の作業服を盗んで着替えていた。

 リュウジ「逃げるのか?」
 ロッキー「あんた達の分もあるぞ」
 レイ「クリン。お前はどうする」
 クリン「正直、分からない」
 リュウジ「俺達は戦うぞ。調度仲間から武器が届いたからな」
 ロッキー「でもその後をどうするんだ」
 ガル「決まっている。サマリン博士を助けに行く」
 ライン「そんな事も分からないのか」
 リュウジ「俺達はデロイヤ星独立の為に立ち上がった。ダグラムの量産が出来なくなったら、止めるのか?」
 エレナ「あたしらは死ぬまで戦い続ける。残念だわ、同じ気持ちだと思ったのに」
 リュウジ「俺達は流星。一瞬輝けば消えていく。名前など誰にも記憶されなくていい」
 リアナ「精一杯戦い抜いて、それで死ぬなら本望」
 レイ「クリン、行こうか。まだ何も終わっていない」
 クリン「行こう。最後の最後まで、あがいて見せる」
 リュウジ「じゃあな、ロッキー」

 流星とクリン、ハックル、キャナリーは、武器を持ち立ち上がった。

 ロッキー「分かったよ。俺も行く、諦めてたまるか」

 チコ、ビリー、ナナシも作業服を、脱ぎ捨てて武器を取った。


 連邦兵「隊長!ダグラムが動き出しました。報告に合ったもう1機も」
 隊長「少し後退し工場への被害を防ぐ」
 連邦兵「隊長!新たに赤いダグラムが出現しました! それと白い戦闘ヘリが居ます」
 隊長「何だと! そんな馬鹿な」

 連邦軍は慌てだした、ゲリラの戦力では無いからだ。

 隊長「基地に応援を要請しろ。コンバット・アーマー2個小隊は必要と急げ」


 一方、ロッキー達も驚いていた、3機目のダグラムと見た事の無い白い戦闘ヘリに。

 ロッキー「いつの間にこんな戦力を。もうゲリラじゃ無いぞ」
 リュウジ「俺達は全員、コンバット・アーマーの操縦、整備が出来る」
 ガル「俺達用の機体も製造されている。エレナのあれは趣味だ。あいつも機体が製造中だ」
 ロイド「ロッキーお前達にその気があれば、クリンから操縦を学べ」
 ライン「お前達にも機体の手配をしてやる。製造は始めている」
 ロッキー「俺達がコンバット・アーマーに。やる、やらせてくれ」
 キャナリー「あたいも」
 ビリー「おいらも」
 エレナ『ビリーは身長不足。チコ、ナナシはガタイが大きすぎ』
 ハックル「私は?」
 エレナ『あんたは大事な整備兵』
 リュウジ「話はまた後だ。行くぞ」

 リアナのダグラムルージュがゲート周りの、連邦兵を20mmチェーンガンで撤退させた。

 エレナ「遅い」

 エレナの高速戦闘ヘリ「白雪」はデューイ戦闘ヘリを上回る、旋回性能と高速で30mmバルカンを撃った。
 デューイ戦闘ヘリは次々落とされていった。

 エレナ「悪いけど、あれも貰う」

 エレナが狙ったのはマベリック輸送ヘリ、応援のコンバット・アーマーを運んで来たのだ。

 エレナ「この高度じゃ、落ちたら助からないわね」

 白雪のミサイルが次々命中し、コンバット・アーマー諸共撃墜されて行った。
 無事降ろされたのはクラブ・ガンナー1機と、ラウンドフェイサー2機だけであった。

 リアナ「もう初陣を多く取らないでよ」

 リアナのダグラムルージュはクラブ・ガンナーの、足を蹴り折って擱座させた。
 そして2連装アームリニアガンを撃ち込んで撃破した。

 リアナ「悪いけど、2機とも貰うよ」

 9連装ミサイルポッドを全弾発射、ラウンドフェイサー1機が撃破された。
 もう1機のラウンドフェイサーがリニアガンを撃って来たのを躱して、2連装アームリニアガンを撃ち返し撃破した。

 レイ「クリン。互いに出番が無かったな」
 クリン「いいよ。レディファーストたまにはね」

 ついでにエレナはグランプリ会場まで飛ぶと大きく看板になっていた、フォンシュタイン大佐の写真を破壊し民衆から声援を貰った。

 この時それらの活躍を見つめる、戦闘バギーを駆るゲリラ部隊が居た。
 彼らはデロイヤの星、リーダーはJ・ロックと呼ばれていた。

 J・ロック「あれがダグラム。だが情報では1機の筈。他の機体達は一体」


 連邦軍のフォンシュタイン大佐が度重なる、ダグラム討伐失敗に頼れる部下を呼び寄せた。
 名前はジャッキー・ザルツェフ少佐、連邦軍きっての戦略家と言われていた。

 彼はダグラム討伐の秘策としてラウンドフェイサーの装甲を全て外し、左腕にシールドを取り付けただけの軽量化とフォーメーション攻撃を考え付いた。
 
 ロッキー達がボナール前市長の葬儀中に出席するフォンシュタイン大佐を誘拐し、サマリン博士と交換する作戦を立てたが誘拐に失敗した。
 そしてザルツェフ少佐率いる、軽量化ラウンドフェイサーが出撃してきた。
 装甲外しを見破られない様に、防水シートを纏わせた姿は新型機を思わせた。

 クリン「新型か」

 ダグラムがアームリニアガンを撃つが、素早く移動され外れた。
 その背中に別の1機がリニアガンで攻撃し、ダグラムが吹き飛ばされた。

 クリン「何て速さだ」

 その時エレナの白雪が上空で指揮をする、ザルツェフ少佐の指揮用ヘリを攻撃した。

 ザルツェフ「このままではフォーメーション指示が出せん。一時退却しろ」

 軽量化ラウンドフェイサー3機は、指揮用ヘリと共に撤退して行った。

 戦いの直後J・ロックが現れてアルタミラのスパ市で、ゲリラ会議が行われると告げられた。


 だが裏切り者デスタンはラコック補佐官の犬となっていて、ゲリラ会議を嗅ぎ付け密告した。
 しかも会議にスパイを送り込み主要メンバーの写真と、会議場の位置を知らせる手筈をした。
 連邦軍の奇襲作戦は成功して、ゲリラ会議は襲撃を受けた。
 
 会議前日にJ・ロックから新装備ターボザックを渡されていた。
 ダグラムは新兵器リニアキャノンで新型コンバット・アーマー、ブロック・ヘッドを破壊し連邦軍を撤退させた。
 しかしゲリラ会議は失敗に終わってしまった。
 太陽の牙にボナールから付き纏っていた、ジョルジュと言う男が仲間に入った。

 リュウジ「この会議は元々無理があった。まとめ役サマリン博士が居なかった」
 ガル「次はサマリン博士の救出だぜ」
 リアナ「1度目は失敗するどうするの」
 レイ「強奪になってもいいやろう」
 ロイド「自重は無い。そうだろ」
 ライン「全員出すのか?」
 エレナ「あたしは白雪で援護」
 リュウジ「出したい奴は出せ。俺はスタンレー高原まで出さん」
 ガル「今出ている奴で、充分だろう」
 リアナ「流星は今回独自に動くいいのね」
 リュウジ「ああ」


 バラフ軍刑務所にサマリン博士が、囚われているのが分かった。
 調度中の囚人が脱獄計画を、3日後に行う事になっていた。
 それに同調して奪還する為内部に連絡要員として、チコが護送車の囚人と入れ替わった。
 しかし囚人の中にスパイがいて、計画が所長達に洩れた。
 それを知らないJ・ロック達は、計画通り事を進め始めた。

 流星が独自行動を取り始め、動き出した。

 リアナ「悪いが流星は独自に動く。計画は既に洩れているよ」

 突然動き出したダグラムルージュは、ターボザックをいつの間にか装備していた。
 そして軍刑務所の正面ゲートの大扉を、リニアパワーカノンで吹き飛ばした。

 白雪は刑務所周囲に毒ガスをばらまくヘリを撃墜、ついでに監視塔を次々破壊していった。
 ダグラムⅡは脱走を謀った囚人を追いつめていたブロック・ヘッド2機を、ターボザックのリニアパワーカノンで撃破した。
 解放された囚人達が暴れ出した。
 それに便乗サマリン博士の居所を、所長から聞き出し救出を成功させた。


 サマリン「みんな、どうもありがとう」
 バックス「博士、ご無事で」
 サマリン「君も、そして君達も」
 J・ロック「すみません。遅くなりました」
 サマリン「ところでボナールでダグラムの量産は、成功したようだね」
 バックス「いえ。ボナールはもう味方ではありません」
 サマリン「では、あの2機は一体?」
 バックス「私にも分からんのです。彼ら流星は独自に組織がある様なので」
 リュウジ「流星リーダーのリュウジです。すみませんが博士にも教える気はありません」
 サマリン「構わんよ。助けて貰った、それで充分だ」
 リュウジ「ありがとうございます」
 バックス「それでは、私は戻ります」


 バックス達と別れ太陽の牙と博士は、まだ反連邦感情の強いパルミナ大陸へ渡った。
 当然、我が流星も一緒だ。


 今はアンディ鉱山で、ゲリラを結集させていた。
 ここでカルメル、ザルツェフ少佐が仲間として入って来た。
 ザルツェフ少佐は作戦失敗により軍籍を剥奪され、それをJ・ロックに勧誘された。

 ゲリラが集結して来たその為、組織が大きくなり軍隊化してきた。
 太陽の牙は解放軍遊撃隊と名付けられた。
 流星は別の組織だからとして除外された。
 
 
 リュウジ「さてウルナ基地反乱、スタンレー高原、ドガ市、ここがターニングポイントだ」
 ガル「早速、カルメルをやるかい」
 ロイド「博士に牙を剥いた時に殺す、奴は生かしておくと害になる」
 ライン「いっその事、ラコックも殺せば?」
 リアナ「奴は自分であたし達の敵を、減らして自滅するから」
 エレナ「そう放置」
 レイ「太陽の牙に北極ポートをやっと見せられる」
 リュウジ「ガル。流星群の準備は、出来ているのか」
 ガル「コンバット・アーマー2000機、ブリザード・ガンナー100機」
 エレナ「白雪量産型400機、マベリック輸送ヘリが2000機、ボーンフィシュ輸送ヘリ100機」
 ライン「パトリオット輸送ヘリ2000機、機械兵50000体」
 リュウジ「スタンレー高原でそんなに使わん。白雪量産100機、コンバット・アーマー100機、機械兵1000体でいいだろう」
 エレナ「あのう。ドガ市って海から来るかなーと思って、500機用意したんだけど」
 ガル「何を」
 エレナ「ズゴックE」

 全員に沈黙が流れた。

 ロイド「誰かやると思ったけど、遂にやりやがった。クロスオーバー」
 エレナ「だってマッケレルって、不細工で嫌いだもん」
 ガル「まあ、流星製の新型コンバット・アーマーって事にしておけば良いだろう」

 
 ウルナ基地で地球人士官の横暴に耐えかねた、デロイヤ兵600名が反乱を起こした。
 ザルツェフ少佐はこれをデロイヤ解放の布石と見て、反乱兵を支援する事が決定した。
 脱走していた元兵士が反乱主導者ザナ中尉に連絡を付けた。

 ザナ「ゲリラが我々を支援する、そうサマリンは言ったのか」
 兵士「はい」
 ザナ「まあ無償でと言う事では無いだろう、しかし同じデロイヤ人乗ってやるか」

 制圧部隊が行動を開始しブロック・ヘッド14機、クラブ・ガンナー8機が先頭立った。
 基地内に侵入した時背後から、ダグラムを先頭にゲリラが攻撃を開始した。

 クリン「やってやる!」

 ダグラムはリニアカノンで、ブロック・ヘッドを2機撃破した。
 レイのダグラムⅡはクラブ・ガンナーを、6機2連装アームリニアガンで倒した。
 連邦軍のブロック・ヘッドも6連装ミサイルポッドを全弾発射、ウルナ基地のアイアンフットが撃破された。

 リアナ「このやろう!」

 ミサイルを撃ったブロック・ヘッドをダグラムルージュは、リニアパワーカノンで吹き飛ばした。
 ウルナ基地のアイアンフットが更に7機出て来て、連邦軍は退却していった。
 

 戦闘が終わりゲリラと反乱兵は向かい合っていた
 その中でサマリン博士とザナ中尉は互いに挨拶を交わした。

 ザナ「サマリン博士。我々は貴方方に投降します」
 サマリン「それは違う。お互いデロイヤ人として手を取り合いましょう」

 こうしてゲリラ300名と反乱兵600名は、手を結び互いに喜び会った。


 だがすぐに次の鎮圧部隊が派遣されて来た。
 ブロック・ヘッドを中心に、装甲戦車、戦闘ヘリ、多数の部隊であった。
 解放軍はダグラムを中心に編成を組み、ザルツェフ少佐、ザナ中尉が指揮を執った。
 虐げられてきた今迄のお返しという様な猛攻に、連邦軍はそうそうに退却して行った。
 だがその時24部隊と呼ばれる最精鋭部隊が4機到着、瞬く間に2機のアイアンフットが潰された。
 コーチマSPLと呼ばれるXネブラ対応型で、ターボザックとアームリニアガンを装備した最新鋭ラウンドフェイサーであった。
 性能はダグラムと互角だが4機のコンビネーション攻撃が、ダグラムを追い詰めていった。
 だが解放軍本隊が近づいて来ると、止めを刺さずに撤退して行った。


 解放軍はパルミナの首都ドガ市へと進んだ、途中で多くのゲリラや反乱兵が合流して来た。
 そして解放軍はドガ市に入る為に、ドガ市郊外100kmのスタンレー高原まで迫った。

 解放軍では作戦会議をしていた。
 ザルツェフ少佐「敵のコンバット・アーマー100機、こちらは14機か」
 ザナ「兵員の数は互角でも、コンバット・アーマーの数に違いがあり過ぎる」

 そこに流星リーダー、リュウジがやって来た。

 リュウジ「コンバット・アーマー100機、白雪量産機100機、機械兵1000体いるかい」
 ザルツェフ少佐「何! 何処にある」
 リュウジ「言ってくれれば、何時でも出せる」
 ザナ「機械兵とは何だ?」
 リュウジ「文字通り、機械の兵士だよ」
 ザルツェフ少佐「すぐ欲しい」
 リュウジ「分かった。5分くれ。それと流星は全員コンバット・アーマーで出る」
 ザルツェフ少佐「分かった」
 リュウジ「おい、ロッキー。コンバット・アーマーの操縦は覚えたか」
 ロッキー「ああ。クリンとハックルに教えて貰った」
 リュウジ「キャナリーは?」
 ロッキー「OKだ」
 リュウジ「約束だ。お前等用も用意させる」
 ロッキー「本当か」

 そして5分が過ぎた時マベリック輸送ヘリとトレーラーが、続々とダグラム型コンバット・アーマーを運んで来た。

 リュウジ「少佐。ご注文通りだ。サマリン博士夢に見たダグラムの量産だ」
 サマリン「おお」
 ザルツェフ少佐「信じられん。軍でもこれだけの数すぐには無理だ」
 リュウジ「ロッキーお前達のだ。緑のダグラムだ」
 ロッキー「キャナリーお前のだ、乗り込むぞ」
 キャナリー「あたいのダグラム」

 流星が手を上げた。

 リュウジ「こいダグラムSP」
 ガル「デスダグラム出ろ」
 ロイド「来なダグラムⅢ」
 エレナ「来てダグラムホワイト」
 ライン「ライトニングダグラム」

 5機の新たなダグラムが現れた。
 そして機械兵もダグラム量産機に乗り込んだ。

 ザルツェフ少佐「作戦等今はいい。突撃だ!」

 連邦軍のフィリップ・マノン中佐は驚愕した。

 マノン「何故だ。ゲリラにこれ程の戦力が、何故存在する」

 連邦軍もコンバット・アーマーを始め出せる戦力を全て出した。

 ガル「あの24部隊貰っていいか」
 リュウジ「自重無し。やれ」
 ガル「デスダグラム、切り刻め」

 デスダグラムは両腕からビーム状の鎌が伸びると、敵コンバット・アーマーを切り裂き始めた。

 ガル「遅い、これで精鋭部隊か」

 コーチマSPLが4機瞬時に細切れにされた。

 ライトニングダグラムはリニアガンの替わりに高電圧の電撃を撃ち、敵コンバット・アーマーがショート破壊した。

 ダグラムⅢはⅡと変わりが無く2連装アームリニアガン、リニアパワーカノンを撃ちまくった。

 ダグラムホワイトは高速移動で敵を撹乱、2連装アームリニアガンで撃破数を稼いだ。

 ダグラムSPは重装甲と砲撃力が異常だった。
 アイアンフット並みのアームリニアガンを2連装で持ち、それを速射砲の様に撃っている。
 しかも敵の攻撃がキャノピーを、直撃しても弾き飛ばす。

 リュウジ「かゆいぜ。だがお返しだ」

 ブロック・ヘッドが、ハチの巣になり吹き飛んだ。

 ロッキーとキャナリーのダグラムは、クリンのダグラムより装甲を厚めにしてあった。
 それにかなり訓練を積んだのだろう、初陣とは思えない働きをしていた。
 機械兵の量産型ダグラムが出た時には、既に連邦軍に勝利は見えなかった。

 マノン中佐は自身の撤退をよしとせず、ミサイルの爆発を受け死亡した。


 解放軍はその勢いのまま、ドガ市内へ侵攻した。
 少なからず抵抗はあったが、進行速度に影響は全くなかった。
 そしてドガ市のパルミナ政庁を手に入れ、連邦旗が降ろされ解放旗が揚げられた。
 そして翌日解放人民政府の樹立を、あらゆるメディアを通じて宣言された。
 それと同じ時最大の敵であった、ドナン・カシムが心臓の病で倒れ伏した。


 リュウジ「さてこれからだ。夢しか見ていない連中を守るのは」
 ガル「分かっている。カルメル、デスタン、ラコック」
 エレナ「例のズゴックE500機、海に置いたよ」
 ロイド「海から来る連邦軍艦艇は沈めていい」
 リアナ「北極ポートを制圧はどうするの?」
 ライン「レイを行かしてやれば」
 レイ「うん」
 リュウジ「俺は残る。制圧に行きたい奴はいいぞ」

 北極ポートはレイ、リアナ、ガルの三人が行く事になった。

 翌日沖合に連邦の艦艇が来たらしいが、全部沈んだ。

 そしてサマリン博士が、北極ポートの制圧を言い出した。
 北極ポートさえ押さえてしまえば、地球から軍の派遣が不可能になるからだ。
 カルメルは反対した、折角手に入れた地位を無くしたく無いのが本音だ。
 だが多数決で北極ポートを制圧する事に決定。
 俺は密かにバックスと連絡を取った。

 北極ポートへの道は厳しいものになった。
 直接コンバット・アーマーの戦いならば良かったが、間接的攻撃で解放軍を弱らせていく戦法を取られ手の打ちようが無かった。
 長距離や山頂からの砲撃を頻繁に加えられ、少しずつ解放軍は弱体化して行った。
 しかも所々に防御線が張られており、激しい戦いが続いた。
 

 そして裏ではデスタンが、カルメルと接触していた。
 ラコックが代行弁務官の地位に就任した事を、聞かされたカルメルは会う約束をした。
 自分が平和的にデロイヤ独立を勝ち取れば、名声は自分の物になると考えたのである。
 全てが撮影されているのも知らずに。


 それでも解放軍は北極ポートへの最後の難所、カルナック山脈までたどり着いた。
 至る所にトーチカが置かれ寒冷地用コンバット・アーマーのビッグ・フットが、多数配備されていた。

 クリン「ここを抜ければ北極ポートまで後少しだ」
 
 クリンはダグラムを起動させ、立ち上がらせた。
 それに続いて続々とみんなの戦闘準備が整って行く。
 
 クリン「行くぞ!」

 ダグラムを先頭にコンバット・アーマー隊、戦闘車両が続いて行く。
 しかしここは傾斜のきつい雪山だ。
 足を取られ車輪が滑り、機動性が格段に悪くなった。
 そこをトーチカから砲撃され、撃破される者が増えて来た。
 対して敵のビッグ・フットは対策されている、機体であり機動性は落ちない。

 クリン「くそう」

 だがその中で普通に戦闘を、行っている機体があった。
 流星の機体達である。
 
 レイ「クリン。大人しく待っていろ、すぐ終わらす」
 ロッキー「悪いな、クリン。今日はゆっくりと見学してな」

 流星の機体の秘密は足の裏からスパイクが出せる為、足場の悪さが影響しないのだ。
 次々トーチカが攻略され、ビッグ・フットが撃破されていく。
 白銀の要塞と呼ばれたカルナック山脈の攻略は、たったの2日で終わった。
 
 
 フォンシュタイン大佐が事故死したと報道された。
 ドナン・カシムが倒れ、フォンシュタイン大佐が死んだ。
 敵であった二大巨頭が姿を消した。
 解放軍の勢いは正に天にも昇る勢いとなった。

 だがそれは見えざる敵が居るのを知らない為である。
 見えざる敵は自分達の喉元を、既に閉めに掛かっていたのだ。
 そして見えざる敵が動いた。
 カルメルのクーデターであった。
 カルメルはラコックと会談し、このまま行けば地球軍との全面武力衝突は避けられなくなる。
 そうなる前に貴方がトップに立ち、平和的に独立を勝ち取るのですと言われた。
 元々和平論者で気の小さなカルメルは、この話に乗ってしまいクーデターを実行した。

 カルメル「サマリン博士。貴方には人民政府のトップから降りて頂く」
 サマリン「・・・・・・・」
 カルメル「私が平和的に独立を勝ち取って見せましょう」
 
 その時銃を突き付けていたカルメル派が、銃撃を受け死んだ。

 ???「銃を捨てないと死ぬ事になるがいいのか」

 他の者達は銃を捨て降伏した。
 陰から出て来たのはバックスと配下だった。
 カルメルを除きみんな連れだされていった。
 
 サマリン「馬鹿な事をしたものだ。利用されているとも知らず」
 カルメル「私は貴方の様に血で勝ち取る独立では無く」
 サマリン「北極ポートを放置して話し合いに応じるとでも」
 カルメル「ラコックは私に約束をしてくれました」
 サマリン「ではその約束手形を見せてくれんかね」
 カルメル「約束手形?」
 サマリン「あるんだろう。正式に取り交わした文章が見せてくれ」
 カルメル「・・・・・・・・」
 バックス「口約束など何の証拠になる。騙されたんだよ」
 カルメル「彼は信じられる男です」
 バックス「裏切り者が信じる男ね。」
 カルメル「・・・・・・・・」
 サマリン「今日までご苦労だった。ゆっくり休み給え」

 カルメルも連れだされていった。

 リュウジ「馬鹿な奴だ。もう少しで大舞台に立てたものを」
 バックス「それにしても良く気が付いたな」
 リュウジ「俺は博士の様に誰彼構わず信用しない」
 サマリン「すまない」
 リュウジ「今後はバックスを常に横に置く事だ」
 バックス「それでこれからどうする」
 リュウジ「ラコックが和平交渉に来るんだろ。博士が出て潰せばいい」
 サマリン「そうしよう」
 リュウジ「ついでに良い情報も流してやる。ラコックは失脚だ」
 
 
 和平交渉の日が来た。
 地球側はもう既に揃っているが、人民政府の人間はまだ誰の席に居なかった。

 突然会場の大型スクリーンが、映像を流し始めた。
 それはフォンシュタイン大佐がヘリに乗り込む姿であった。
 それをラコックが指示を出して撃墜するというショッキングな映像だった。
 会場は騒めき出した。

 その時に人民政府の代表が現れた。
 サマリン博士である。

 サマリン「皆さん遅れて大変申し訳ない」
 
 ラコックは完全にパニック状態であった、カルメルはどうしたと。

 サマリン「もう二つ良いものをお見せしましょう」

 それはラコックとカルメルが会っていた映像と先日のクーデターの映像だった。

 サマリン「これを見られた方はお気づきでしょう。和平交渉などラコックの陰謀でしかありません」
 バックス「もう一つ」

 それはドナン・カシムの病室で正体を現した時の映像だった。

 サマリン「この様な男と私は話もしたくない。地球側の方々お帰り願おう」
 ラコック「・・・・・・・」

 地球側の訪問団もラコックを見る目に冷たいものがあった。
 当然これは地球にも放送されており、ラコックを代行弁務官に押した3州の代表が小さくなっていた。
 地球側から即時ラコックの逮捕が言い渡され、彼は失脚した。

 カーディナルの路地裏で、一人の男の射殺事件があった。
 デスタンと言う元ゲリラで、大して話題にもならなかった。


 遂に解放軍は北極ポートを視界に捉えた。
 ここさえ押さえれば地球と対等になり、独立を確実な物に出来る。
 解放軍の士気は最高潮に達した。
 しかしここには地球連邦軍の第6軍が守備をしている。
 しかも増援された様子が窺えた。

 ザルツェフ少佐「まずい。時間を掛けると増援が次々とやって来る」
 J・ロック「短期決戦しかあるまい」
 ???「戦力を補充してやろうか」

 突然作戦会議に男の声が混じった。

 リュウジ「要るのなら言ってみな。出してやるよ」
 ザルツェフ少佐「リュウジ。お前は残った筈では」
 リュウジ「何、クーデターを潰して来た。で暇でこちらに来た」
 J・ロック「クーデターだと」
 リュウジ「カルメルのアホが、ラコックに騙されただけだよ」
 ザルツェフ少佐「それで博士は無事何だろうな」
 リュウジ「無事だよ。ついでにラッコク、デスタン始末したから」
 ザルツェフ少佐「よし。一気に畳みかける。リュウジどれだけ戦力を出せる」
 リュウジ「幾らでも」
 ザルツェフ少佐「コンバット・アーマー1000機。ブリザード・ガンナーを1000機」
 リュウジ「最後だからおまけしてやるよ。寒冷地用コンバット・アーマー5000機、ブリザード・ガンナーを1000機、機械兵1万体」
 ザルツェフ少佐「出せるのか。冗談で言ったんだが」
 リュウジ「言っただろ、最後だって。出してやるよ」

 リュウジは手を上げた。

 リュウジ「出ろ」

 すると北極ポートを囲んで、部隊が突然現れた。

 ザルツェフ少佐「リュウジお前達は何者だ?」
 リュウジ「俺達はただ太陽の牙に見せたかったのさ。あった筈の未来を」
 J・ロック「あった筈の未来」
 リュウジ「俺達は歴史を変えたのさ。本来カルメルのクーデターは成功した。そして人民解放政府は意味の無い形だけの物となり、太陽の牙は最後まで抵抗する」
 ガル「だがサマリンの説得に応じ抵抗は止めた」
 レイ「ただしダグラムと、自分達の牙は渡さないと炎に沈めた」
 リアナ「それが本来の歴史」
 ロイド「だから気に入らないんで、歴史に介入させてもらった」
 エレナ「ただし介入はここまで」
 ライン「ここからは俺達も見た事の無いあんた達の歴史だ」
 リュウジ「流星は一瞬で消える。さあ見せてくれ新しい歴史を」

 北極ポートは6時間で陥落した。
 人民政府はこれをデロイヤ星、地球両方に流した。
 地球連邦は完全独立を認めた。
 ただし食料等を言い値でいいから今まで同様に、輸出を認めて欲しいと言ってきた。

 ドナン・カシムの心臓病は完全に回復した。
 奇跡だと医者は言っていた。
 ドナン・カシムは政界を退いた。

 ダグラムは独立の象徴としてドナ市の中央広場に、太陽の牙の銅像と共に飾られた。
 クリンはドナンとデイジーとで地球に帰った。
 他の太陽の牙のメンバーは何処へ行ったか分からない。
 流星は誰も覚えていなかった。

 レイ「俺達は流星ただ一瞬輝くだけの存在」
 リュウジ「さてまた何か探すかみんな」

 彼らはまた消えた。
 何処かで何かの歴史に、介入しているのであろうか。
 誰にもそれは分からない。
 
 

 
後書き
 この作品で一番悩んだのが、コンバット・アーマーの名称をどうするか。
 と言うのもこの作品小説ではラウンドフェイサーと書いていますがTVだと会社名のソルテックになるんですね。
 アイアンフットも会社名でヘイスティが正しいのですが・・・・
 じゃ全部書けばソルテックH8ラウンドフェイサー長い書いていたら文字数ばかり増えるよ。
 まあ久しぶりにダグラムを楽しみながら書いてみました。 
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