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子猫達のお話

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第二章

「やり込んでいてね」
「そうして名人になったから」
「だからね」
「その名人さんはなのね」
「大人よ」
 このことは間違いないというのです。
「そうだと思うわ」
「じゃあ大人の人達に聞いていくのね」
「そうすればわかると思うわ」
 けん玉名人が誰かということをです。
「そうしていきましょう」
「それじゃあ」
 モペットはミトンの言葉に頷きました、そして二匹で森の中の大人の生きもの達に聞いていきました。
 ですが殆どの人がけん玉を知っていてもこう言うのでした。
「ちょっとね」
「僕もけん玉は知ってるけれど」
「それでもね」
「あれはとても難しいからね」
「名人なんてとても」
「いってないよ」
 とてもというのです。
「穴に入れることはおろか」
「左右や後ろに置くこともね」
「まず出来ないよ」
「あんな難しいおもちゃはないよ」
「ちょっと間違えたら球が頭に当たるしね」
 こうしたことを言う人もいました、けん玉を知っていてもそれを得意な人は誰もいませんでした。
 特に狐どんは二匹にこんなことを言いました。
「あれだけ難しい遊びはないよ」
「お兄ちゃんも難しいって言ってますけれど」
「そこまでなんですか」
「そうだよ、僕も子供の頃は結構したけれど」
 それでもというのです。
「穴に入れたことも置いたことも一度もね」
「ないんですか」
「そうなんですか」
「そうなんだ。あれの名人ね」
 そう言われるとでした。
「誰かな、この森にいるとは僕も聞いたけれど」
「狐さんもご存知ないですか」
「そうなんですか」
「ちょっとね」
 実際にというのです。
「知らないよ」
「そうですか」
「どなかたかご存知ないですか」
「君達もけん玉をするのかな」
 狐どんは二匹にこう聞いてきました。
「そうするのかな」
「ううん、そうしたことは」
「特に」
 別にと答えた二匹でした。
「ないです」
「別に」
「そうなんだ、しようと思えばね」
 その時はというのです。
「相当苦労をしてやっとね」
「出来る」
「そんなものですか」
「左右のどっちかに置くことがね」
 けん玉で一番簡単と言われているそれがというのです。
「ようやくだよ」
「そんなに難しいんですか」
「けん玉って」
「いや、あんな難しい遊びはないよ」
 またこう言った狐どんでした。
「君達のお兄さんっていうとトム君だね」
「はい、そうです」
「今けん玉に夢中なんです」
「苦労すると言っておくよ」
 けん玉を上手にしようと思えばというのです。 
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