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オズのトト

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第十二幕その八

「色々な身体の人達がいるね」
「その皆がね」
「それぞれの身体の仕組みなんだね」
「そうだよ」
「いや、そうしたこともね」
 ここでまた言ったトトでした。
「学問になるんだろうね」
「その通りだよ」
 教授はビールを飲みつつトトに応えました、紙コップの中に泡立っているマンチキンの青いビールがあります。
「妖怪の諸君もまた学問だよ」
「やっぱりそうなんだ」
「それとね」
 さらに言う教授でした。
「動物の諸君もこのお祭りにもだよ」
「全部なんだ」
「そう、学問なんだよ」
「何でもなんだ」
「そうだ、民俗学になるんだ」
「妖怪やお祭りは」
「そう、歴史学にも似た学問でね」
 ビールを飲みながら陽気にです、教授はトトにお話します。
「これがまた実になんだ」
「面白いんだ」
「そうなのだよ」
「妖怪さんも学問だなんて」
「妖精もそうだしね」
「それで教授も学んでいるんだね」
 トトは唐揚げを食べつつ頷くのでした、そしてです。
 そのトトにです、狸が声をかけてきました。
「踊る?後で」
「盆踊りかな」
「うん、どうかな」
「ううん、僕の身体だとね」 
 どうしてもと答えたトトでした。
「皆みたいには踊れないからね」
「それでなんだ」
「うん、見ることは出来るけれど」
 それでもというのです。
「そうして楽しむことは無理だね」
「ああ、君は後ろ足で立てないんだったね」
「君もじゃないの?」
 トトは四本足で立っている狸に返しました。
「後ろ足で立って動けないんじゃ」
「いや、普段は四本足でもね」
 それでもとです、狸はトトに答えました。
「僕は立てるよ」
「そうなんだ」
「うん、後狐君や穴熊君達もそうだから」
「日本の狐君や狸君は」
「化けることも出来てね」
 それでというのです。
「そうしたことも出来るよ」
「そうなんだ」
「外の世界では普通の狐や狸は出来なくても」
 それでもというのです。
「オズの国だと誰でもだよ」
「出来るんだ」
「そうなんだよ」
「オズの国ならではだね」
「そこはね、狐や狸や穴熊は誰でもね」
 それこそというのです。
「後ろ足で立てて化けられるんだ」
「それで盆踊りもだね」
「踊れるよ」
「それで楽しむんだ」
「そのつもりだよ」
「じゃあ楽しんできてね」
「そうさせてもらうよ」
 笑顔で言った狸でした。
「僕達も」
「じゃあそうしてね。あと君達は」 
 トトは狸にこうも言いました。
「僕と同じイヌ科だったね」
「そうそう、親戚同士なんだよね」
「狐君達も」
「皆親戚同士だよ」
「それでも穴熊君達は」
 彼等はといいますと。 
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