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儚き想い、されど永遠の想い

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63部分:第六話 幕開けその七


第六話 幕開けその七

 そして義正もだ。兄達や佐藤と共にだ。その場に来た。丁度真理が入った時にである。
 まずはだ。兄達がだ。そのロビーを見回しながら話す。
「ここは前にも来たが」
「そうですね」
 義智が義愛の言葉に頷くのだった。
「何時来ても見事な場所だ」
「ですね。絨毯もロビーも」
「ここは三菱が造ったものだったか」
「そうですね。ここはですね」
「三菱は凄い」
 義愛は真剣な顔で述べた。
「こうしたものが造られるのだからな」
「そうですね。しかしです」
「我々もだな」
「はい、負けてはいられません」
 こう話す二人だった。
「三菱以上にです」
「凄いものを造らないとな」
「それでなのですが」
 義智はだ。あらためて兄に話した。
「一つ考えているのですが」
「こうしたコンサート会場をか」
「造ってみてはどうでしょうか」
 こう兄に提案するのである。
「我が家も。どうでしょうか」
「そうだな。しかしだ」
「神戸にはもうありますから」
 彼等が今いるこの場所だ。三菱のである。
「他の町で」
「私達の本拠地である神戸で造られないのは残念だがな」
 義愛はそのことには残念なものを見せた。しかしそれが仕方がないこともわかっている。それを踏まえて彼も弟の話を聞いていた。
「だがそれならだ」
「他の町にです」
「何処がいいかだ」
「奈良や京都はどうでしょうか」
 これが義智の提案だった。
「そのどちらかで」
「京都に奈良か」
「まずは京都に線を敷きますね」
 このことは既に決定していた。大阪と神戸の間だけでなくだ。大阪と京都も結ぶ。そうして路線を拡大していく方針なのである。
「そしてさらにです」
「奈良もか」
「その計画もありますし」
「だからか」
「はい、どうでしょうか」 
 また言う義智だった。
「それで」
「そうだな」
 義愛は考える顔になった。そうしてだ。
 次弟に対してだ。こう述べるのだった。
「大阪から奈良に線路を敷き」
「それと共にです」
「そして京都と奈良もだ」
「その路線もですか」
「敷く計画があるからな」
 これもだ。決まっているのだった。
 そして二人でだ。話していってであった。
 末弟の義正にはだ。二人で問うのだった。
「どうだろうか」
「義正はこのことについては」
「奈良にですね」
 彼が言うのはまずはその場所からだった。
「奈良にコンサート会場を設けるのですね」
「そうだ、その話だが」
「どうかな」
「奈良よりもです」
 彼はだ。静かにこう話した。
「むしろ大阪に置かれる方がいいのではないでしょうか」
「大阪!?」
「あの町に」
「確かに奈良も悪くはないです」
 兄達のその話はいいとした。しかしなのだ。 
 
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