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相談役毒蛙の日常

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十五日目

「なら聞かせて貰おうじゃねぇの…VRゲームの未來についての大事な話とやらを」

「いいぜ…」

キリトが言うとアンドリューがパソコンを出した。

ディスプレイには光るナニカのグラフィックがあった。

「なんだコレ?」

「どう言うべきかなぁ…」

といい淀むキリト。

「端的でいいぞ」

「うん…わかった…これは<THE SEED>ってプログラムだ」

「ザ・シード?どんなプログラムだ?」

「世界の種子…VRワールドを創る為の基幹プログラム群だ」

なにぃ!?

「おい、どういう事だ?なぜそんな物がある?」

それはアーガス、レクト両社が秘匿…いや茅場昌彦が独占していた筈だ。

「あー…そこが問題なんだよなぁ…」

とキリトが言う。

「あの日、トードがログアウトした後、俺はある男と出会った」

「ある男?あの場所には俺とお前しか…」

他に居たのか?

「いやあの場所にはもう一人いた。正確にはもう一人見ていた」

見ていた?それじゃぁまるで…

「運営が見ていたみたいに言うな」

「いや、運営じゃぁない。あの男は運営じゃぁないけど…どこの誰よりも高位のアカウントを持っていた」

誰よりも…運営よりも高位のアカウント?

そんな物を持ってる奴なんて居るわ…け…が…

「まさか!?茅場昌彦か!?」

「正解だ…俺はあの後茅場のコピーと出会い、このプログラムを渡された」

「バカな!茅場昌彦は去年の十二月に死んでいたんだぞ!?」

「だからコピーさ」

コピー…だと?

「どういう事だ?」

「あの男はあの日、アインクラッドが終った日に自信の脳に高出力スキャンを掛けて自分のコピーを創ったんだ」

バカな…そんな事をすれば脳が焼かれて…

いや…脳が焼かれる?

「茅場は自らも死ぬつもりでSAOに入っていたって言うのか?」

「ああ…そうらしい」

なんて男だ…

「そうして創られたコピーに、俺は会ったんだ」

「そう…か…あの後そんな事が…」

「ああ…で…問題はコイツをどうするかだ」

キリトは再びザ・シードを指差した。

ザ・シード…VRワールドの基幹プログラム…

「キリト…コイツの中身は見たのか?」

「エギル」

「オフラインでさんざんチェックしたが怪しいプログラムは一切無かった」

ふむ…

「キリト、お前は安全だと思うか?」

「ああ」

「理由は?」

「あの男の夢は既に達成されたからだ」

…………………

「アンドリューはどう思ってるんだ?」

「俺は…もしもこのプログラムが安全なら世界に広めたい。そうすりゃぁ誰でも簡単にVRゲームを創れる…そうなれば…」

「ALOも復活する…か…。
キリト、俺もアンドリューと同意見だ」

もしもALOが復活するなら…公開すべきだ。

「お前ならそう言うと思ったぜトード」

「で…話は以上か?」

「ああ…」

「そうか、なら帰らせて貰おう」

「もう帰るのかよ?」

「アイツを待たせとく訳にはいかんからな」

と葵を指差す。

「ははっ…そうか…なら連絡先を交換しよう」

「わかった…ていうかお前は知ってるだろう?」

「あー…うん」

「じゃぁお前の番号追加しとくぜ」

ケータイを弄ってキリトの番号を登録する。

「アンドリューは?」

「俺もか?」

アンドリューもケータイを出し、連絡先を交換した。

「じゃぁ、帰るか…葵!」

出口に向かいながら葵を呼ぶ

「終ったのか?」

「ああ…終ったさ…なぁ、ALOが復活したら、お前もやってみないか?」

といいながらドアを潜る。

「オレが?」

「そう」

「んー…ママが良いって言うかなぁ?」

「説得は手伝うぞ」

「灯俊が言うなら大丈夫だな!」

そしてこの翌日、全世界に向け<THE SEED>が公開された。
 
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