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儚き想い、されど永遠の想い

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407部分:第三十一話 夏の黄金その十一


第三十一話 夏の黄金その十一

「これまでの花達もそうでしたが」
「そうですね。どの花達も」
「咲き誇っていました」
「そして薔薇達もです」
 そのだ。薔薇達もだとだ。義正は真理と共にその薔薇達を見ながら話す。
「香りも。感じますね」
「この園全体に」
「香っていますね」
「濃いまでに。ここまでの薔薇の香りを感じたことが」
「なかったですね」
「はい、なかったです」
 こう言う真理だった。その香りの中での言葉だった。
「花は華やかさだけではなく」
「香りもありましたね」
「はい、こうして」
「薔薇の香りもこれまで何度も感じてきました」
 そうだったとだ。真理はその深い香りの中で述べていく。
「ですがこれ程の香りは」
「その中にいたことは」
「なかったです。では」
「それではですね」
「暫くここにいたいのですが」
 至福の笑みでだ。真理は話したのだった。
「いいでしょうか」
「御気に召すままに」
 これが義正の返答だった。
「ここにいましょう」
「はい、それでは」
「そうですね。三人で」
「三人でこうしていて」
 二人ではなかった。ここでもだ。
 そしてその中の様々な薔薇達を見ていってた。義正はふと気付いた。そのことは。
「薔薇は様々な色がありますが」
「そうですね。紅も白もあれば」
「黄色もありますね」
「はい、本当に色々な色が」
「ですがどの花達も奇麗で」
「香っていますね」
 またこのことを話していく二人だった。そうしたのだ。
 義正は今度もだ。真理の背にいる我が子を見たのだった。
「この子もそのことを感じていますので」
「薔薇の色と香りを」
「こうして三人で見ていることを」
「はい、感じています」
 まだ目も開いてもいなくともだというのだ。
 そしてだった。薔薇を見た後でだ。義正は真理をレストランに案内した。その欧風のテーブルに座ってだ。そして真理にこう話したのである。
「薔薇はです」
「そうでしたね。ただ見て香るだけではなくて」
「食べられもします」
 それもまた薔薇だった。
「古代羅馬よりそうされています」
「我が国でもそうしたお花がありましたが」
「薔薇もです」
「そして今その薔薇達をですね」
「ここで食べましょう」 
 見ればそのレストランは白を基として様々な花達で飾られている。そしてその花達の調和がとてもよくとれていてだ。見事に飾られていた。
 そしてその中にいてだ。二人は話しているのだ。
「その薔薇の食べ方ですが」
「聞いた話ではお菓子に入れるのでしたね」
「はい、プティング等に」
 実際にそうするとだ。義正は話した。
「そうして食べています」
「面白い食べ方ですね」
「それも古代羅馬からです」
「薔薇の香りがするお菓子ですか」
「それがここで出されます」
 他ならぬこの店でだ。そうなるというのだ。
「そしてデザート以外にもです」
「薔薇は使われますか」
「はい、出されます」
 その料理が何かもだ。真理に話す義正だった。
 
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