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儚き想い、されど永遠の想い

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385部分:第三十話 運命の一年その五


第三十話 運命の一年その五

 二人はそのオムレツも楽しんだ。そしてデザートは。
 アイスクリームだった。そのソフトを見てだ。また言う真理だった。
「今日のデザートはこれですか」
「はい、アイスクリームです」
 白いだ。それだった。
「アイスクリームも広まってきていますね」
「こんなに美味しいものがあるとはです」
「思わなかったですか」
「甘くて冷たくて」
 そのアイスを見ながらだ。真理は言うのだった。
「そしてとても優しくて」
「優しいですか」
「そう思います」
 それがアイスだというのだ。
「ですから今もです」
「こうして目の前にしてですか」
「優しい気持ちになります」
 真理自身もだ。そうなるというのだ。
「白いこのアイスを見ていると」
「では優しくなりましょう」
「その気持ちにですか」
「はい、食べて」
 実際にそうしてだと。義正は話す。
「そうなりませんか?なりたいのですね」
「なりたいです」
 真理も微笑み答える。
「是非共」
「では食べましょう。それと」
「それと?」
「冷たい紅茶か珈琲が最後にありますが」
 アイスと共にだ。そうしたものもあるというのだ。
「どちらを飲まれますか?」
「では紅茶を」
 そちらをだとだ。真理は答えた。
「紅茶の方が優しく感じられる気がするので」
「珈琲よりもですか」
「今はそう思えます」
「わかりました」
 真理のその言葉を聞いてだ。義正もだ。
 店のウェイトレスにだ。こう言った。
「アイスティーを二つ」
「アイスティーをですね」
「それをお願いします」
 こう言ったのだ。彼もそれにしたのだ。
 そして冷やした紅茶を飲みながらだ。彼は真理に尋ねた。
「どうでしょうか」
「冷やした紅茶ですか」
「はい、それはどうでしょうか」
 そのアイスティーについてだ。真理に尋ねたのである。
「美味しいでしょうか」
「別物に思えます」
「普通の熱い紅茶とですね」
「はい。全く違う様に思えます」
 こう答える真理だった。
「何かまた」
「そうですね。また違う味に思えますね」
「しかし同じ紅茶ですよね」
「同じです」
 一言でだ。義正は答えた。
「それはその通りです」
「ですがそれでもですか」
「冷やしたらそれだけで」
「味が違う様に思えますね」
「別の飲み物に思えます」
 そうだとだ。義正も言う。
「しかしそれでいて同じ紅茶なのです」
「不思議ですね」
「これまではお茶といえば熱いものでしたが」
「これからはこうした冷やしたお茶も飲めるのですね」
「そうなりました」
「これも文明の発展ですか」
 真理はその冷やした紅茶からもだ。それを感じ取ったのだった。
 そうしてだ。紅茶をもう一口飲むと。これがまただった。
 
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