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儚き想い、されど永遠の想い

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374部分:第二十九話 限られた時その五


第二十九話 限られた時その五

「あの魚は非常に美味です」
「あそこまで美味しい魚もそうはありません」
「しかも食べやすいです」
「それで鍋だけでなく」
 それだけではないというのだ。
「お刺身に天麩羅もです」
「それもあります」
「それは凄い」
 そうしたものもあると聞いてだ。義正はだ。
 顔をさらに綻ばさせてだ。こう言うのだった。
「そこまでされるのですか」
「河豚は冬の魚ですね」
「ではその味をここで旦那様と奥様に知ってもらいたいと思いまして」
「それで、です」
 そこまでだ。用意したというのだ。
 その話を聞いてだ。真理はだ。
 少し怪訝な顔になってだ。義正に尋ねた。
「あの、河豚といえば」
「はい、大阪では鉄砲と言いますね」
「それは聞いたことがあります」 
 真理もだ。そうだというのだ。
「何故鉄砲というかというと」
「当たると死ぬからです」
 その毒故にだ。
「だからです」
「そうですね。毒があるからですね」
「ですから食べるには専門の料理人が必要です」
「ですが我が家には」
「いないので。それでなのです」
「大阪から送ってもらったのですか」
「これまではできませんでした」
 そうしただ。わざわざ大阪から調子したものを取り寄せるということはだというのだ。
「ですが今はです」
「食べられるようになったのですか」
「文明がそうさせました」
「河豚もこうして」
「そうです。ではその文明に感謝して」
 そうしてだと話してだった。義正は。
 妻にだ。さらに優しい声で述べたのだった。
「ではです」
「その河豚をですね」
「二人で食べましょう」
 こう述べたのである。
「そうしましょう」
「はい。それでは」
 真理も微笑み頷く。その真理にもだ。
 シェフ達はだ。こう言ったのだった。
「お刺身に天麩羅もありますので」
「そして酢のものも」
「酢のものもですか」
「皮をそうしました」
「それもお召し上がり下さい」
 シェフ達がこう話すとだった。また義正が真理に話してきた。
「河豚の皮ですが」
「毒はないのですか?皮には」
「種類によります」
 それについてはそうだというのだ。皮の毒については。
「皮にも毒があるものがあります」
「では私達がこれから食べる河豚は」
「はい、皮には毒はありません」
「そうした河豚です」
 シェフ達もそうだと話す。
「ですから安心してです」
「お召し上がり下さい」
「わかりました」
 それを聞いてだ。真理も頷いてだった。
 そのうえでだ。義正と二人で河豚を食べることになった。そうしてだった。
 二人で同じテーブルに座ってだ。まずは刺身を食べる。それを酢と醤油とおろし紅葉で食べながらだ。
 真理はだ。その河豚の刺身について述べた。
 
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