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オズのトト

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第六幕その四

「一緒にね」
「うん、いいよ」
 早速です、野槌はドロシーに応えました。そしてそのうえでなのでした。
 野槌は実際にです、口だけのそのお顔で皆来てくれと言いました。そうしてからなのでした。
 野槌はあらためてです、皆に言ってきました。
「あと少しで来るからね」
「そうなのね、あとね」
「あと?」
「貴方お顔にあるのはお口だけだけれど」
 このことも言うのでした。
「目とかお鼻は」
「あるよ」
「あるの?」
「そう、あるんだよ」
 そうしたものはというのです。
「しっかりとね」
「そう、けれどね」
「見えないね」
「ちょっとね」
「よく見たらあるよ」
「あっ、そういえば」
 ここでドロシーも気付きました、何とです。 
 野槌の大きなお口の傍に小さな目がありました、お鼻もです。ドロシーはそうしたものを見てでした。
 そしてです、こう言ったのでした。
「成程ね」
「わかってくれたね」
「ええ、だから見えるのね」
「聞こえるし匂いもね」
 それもというのです。
「嗅げるよ」
「不自由はしていないのね」
「そうなんだ、それとね」
「ええ、妖怪の皆を読んだから」
「すぐに来てくれるよ」
 その皆がというのです。
「ちょっと待ってね」
「ええ、わかったわ」
 ドロシーは野槌の言葉に微笑んで応えました、そしてです。 
 実際に少し経って山のあちこちから色々な姿の妖怪達が来ました、その妖怪の皆を見てです。
 オジョは目を丸くしてです、こんなことを言いました。
「いや、凄いね」
「妖怪の皆の外見がだね」
「うん、そうだよ」
 こうトトに答えました。
「そう思ったよ」
「実際に」
「うん、何かね」
「鬼に」
 恵梨香は角が生えていて赤や青いお肌の大男を見ました、着ている下着は虎毛で金棒も持っています。
「天狗に」
「あのお鼻の高い?」
「お顔の赤い」
 オジョとトトは恵梨香が見たその天狗も見て言いました。
「あれがなんだ」
「天狗さんなんだね」
「それと塗り壁に」 
 大きな四角い姿の妖怪です。
「子泣き爺に砂かけ婆」
「小さなお爺さんだね」
「それと着物のお婆さんだね」
「一反木綿に」
 ひらひらと舞う細長い布に目鼻と小さな両手があります。
「油しましね」
「あの蓑を着たお爺さん?」
「丸い頭の」
「はい」
 そうだというのです。
「あの妖怪は」
「ふうん、そうなんだ」
 トトは恵梨香の説明に頷きました。
「そうした名前なんだ」
「あとは」
 恵梨香は他の妖怪達も見ました、一本足に一つ目の妖怪と大きな猿みたいな妖怪、そして白い着物にお肌の妖怪は。
「一本だたら、狒々、雪女」
「狒々っていうと」
 狒々と聞いて言ったのはドロシーでした。 
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