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儚き想い、されど永遠の想い

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245部分:第十八話 相互訪問その十二


第十八話 相互訪問その十二

「私達の気付かないうちにです」
「そうした日本が入っているのですね」
「正直私も驚きました」
「日本が入っていることに」
「誰も。完全にです」
「西洋を再現したと思っていたのに」
「そこに入ってしまっているようです」
 そうなっているというのだ。
「そうした意味で私達がいるこの屋敷も」
「日本ですか」
「そうなるのでしょうか」
 今は断定する言葉ではなかった。だがこう言ったのだった。
「やはり」
「そうですか」
「思えばその日本文化も」
「それもですね」
「支那文化の影響が強いです」
 このことは言うまでもなかった。既にだ。
「唐代からの」
「そうですね。今も中華街等がありますし」
「支那そばもありますね」
 この食べ物の話も為された。
「あれも。やはり」
「支那のものですね」
「支那の影響は昔から強く受けています」
「そしてその中で日本文化が育まれていった」
「ですから。やはり」
「我が国の文化は各国の文化の影響が強いのですね」
「支那なり西洋なり」
 どちらの影響も受けているというのだ。
「そして我が国の文化がです」
「育まれていき今に至る」
「そうなっていったと思います」
「その日本文化は」
「今ここにもあります」
 そしてだった。さらにだった。
「食べもします」
「これからですね」
「はい、間も無くそれが来ますが」
「楽しませて。そして」
 さらにだと。真理は義正に対して微笑んでこう答えた。
「落ち着かせてもらいます」
「食べてそのうえで、ですね」
「そうさせてもらいます」
 こう述べたのだった。
「今から」
「それでは」
 ここでだ。遂にその和食が来た。それは。
 懐石料理だった。所謂それを目の前にしてだ。
 真理はだ。静かにこう言った。
「やはり。いいですね」
「我が家の料理人は京都で働いていました」
「京都で、ですか」
「そうです。老舗の料亭にいまして」
 その者をだというのだ。
「雇っているのです」
「では味は」
「はい、京風です」
 それだというのだ。
「あっさりとしています」
「そして素材の味を活かしてですね」
「この鱧にしても」
 まずは鱧を見る。鱧を胡瓜とあえているものだった。
「京都のもので」
「鱧はそうですね」
「大阪と京都です」
 鱧といえばだ。やはりこの二つの町だった。
「その鱧をこうしてです」
「使ったのですね」
「それと」
 まだあった。卓には。
 
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