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報復

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第二章

「そして白起を思い出せ」
「あの男を」
「あの王達の陵墓を焼いた男を」
「あの男は敵兵を全て殺した」
 項羽は怒りに燃えている目で兵達に話していた。
「ならわしもそうしてやるのだ」
「秦の兵達を皆殺す」
「一人残らず」
「白起がした様に」
「白起がやったことだ!」 
 項羽は強い声で叫んだ。
「わしも同じことを秦にする!わかったな!」
「はい!」
「秦が我等にしたこと忘れておりませぬ!」
「白起はそうしてきました!」
「ならば我等も!」
「秦の兵達を殺します!」
「その全てを!」
 兵達も叫んで応えた、そしてだった。
 楚の兵達は項羽の指揮の下実際に秦の兵達を戦えば必ず殺した、それも誰一人残すことなく。
 秦軍を片っ端から倒していきそして。
 二十万の秦軍が降った時にだ、彼は部下達に命じた。
「降ったがだ」
「はい、奴等もですね」
「殺しますか」
「そうしますか」
「そうだ、生き埋めにしろ」
 その二十万全員をというのだ。
「いいな」
「白起がした様にですね」
「あの二十万の兵達を生き埋めにしますか」
「一人残らず」
「そうだ、全員だ」
 それこそというのだ。
「白起が四十万の趙軍をそうした様にだ」
「そうですね、秦はそうしましたし」
「白起がそうしました」
「ならば我等がしてもいい」
「そういうことですね」
「そうだ、白起がしたことを我等がするだけだ」 
 他ならぬその秦にというのだ。
「では奴等を崖の方に寝かせてだ」
「そこで、ですね」
「埋めますか」
「軍の鐘を派手に鳴らして追い立ててだ」
 そのうえでというのだ。
「崖の方に落とさせて」
「そしてその上からですね」
「土を被せてですね」
「そして全員生き埋めとしますか」
「そうだ、埋めてしまえ」
 まさに全員をとだ、項羽は言ってだった。
 実際にそうさせた、二十万おそらく今度は実際に二十万いたであろう彼等を一夜のうちに全員生き埋めにしてしまった。
 そしてだ、秦の都咸陽に入るとだった。
 始皇帝の墓だけでなく歴代の秦王の墓を暴きその宮殿を焼けと命じた、ここでも項羽は言った。
「民の富を奪っただけではない」
「かつて楚の王の陵墓を焼いた」
「白起がそうした」
「だからこそですね」
「そうだ、白起がしたことだ」
 それもまた、というのだ。
「だからだ」
「始皇帝の墓を暴き焼き」
「これまでの王達のものもそうする」
「そして宮殿も」
「全てそうするのですね」
「忌々しい秦のものなぞ全て焼いてしまえ」
 勿論皇族も皆殺しにせよというのだ。
「この世に残すな」
「白起がそうした様に」
「楚王の陵墓を焼いた様に」
「そうしますか」
「そうだ、全て焼いてしまうのだ」
 白起がした様にと言ってだ、そしてだった。
 項羽は咸陽でも全て焼いてしまった、白起はした様に。その後には何も残ってはいなかった。
 だが咸陽にいた秦の民達は唖然として言った。 
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