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オズのトト

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第四幕その十

「しかしな」
「それでもなのね」
「うむ、特に元気になったりはしない」
「そうなの、そういえば」
 ここで恵梨香は思い出しました、童話とかで聞くニホンオオカミのことを。
「ニホンオオカミにはそうしたお話はないわ」
「そうじゃな」
「満月が好きとか。人の後ろにはついてきても」
「それは習性でな」
「どうしてもなのね」
「そうしてしまうだけじゃ」
 特に思うことはないというのです。
「あくまでな」
「それで満月も」
「他の狼は知らんがな」
「成程ね、わかったわ」
 恵梨香もここまで聞いて頷きました。
「ニホンオオカミのそうしたことも」
「そういうことでな」
「ええ、それで皆はこれから」
「寝るぞ」
 そのお昼寝をするというのです。
「そうする」
「それじゃあこれで一旦お別れね」
「期待しておるからな」
 この騒動を解決することをとです、長老さんは恵梨香に穏やかな笑顔を浮かべて言いました。
「わし等も」
「任せてね」
 ドロシーが長老さんに一行の代表として応えました。
「絶対にね」
「この衝突を解決して」
「皆に仲良くしてもらうわ」
「是非ね」 
 こうお話してでした、そのうえで。
 森の生きもの達はそれぞれの巣に戻ってお昼寝に入りました、長老さんも洞穴に入ってそうしました。
 そしてその後で、です。ドロシー達はティータイムとなりましたが。
 ミルクティーを飲みながらでし、恵梨香はコーヒーを飲む教授に尋ねました。
「オズの国でも場所によって」
「うむ、やはりな」
「生活習慣が違うんですね」
「長老んさんが言ったね」
「はい、夜に元気になる生きものが多くて」
「昼寝をするね」
「そう言ってましたね」 
 実際にとです、恵梨香はケーキも食べました。今日のティーセットはケーキ尽くしで上はフルーツケーキ、中はチーズケーキ、下はチョコレートケーキで恵梨香は今はチーズケーキを食べています。
「確かに」
「そう、しかしおそらくね」
「鳥さん達はですね」
「お昼に元気になるのだよ」
「大抵の鳥は夜は寝るからね」
 カエルマンもコーヒーを飲んでいます、見れば教授もカエルマンもいささか気取った仕草で飲んでいます。
「鳥目ともいうし」
「夜はみえないんでしたね」
「そのこともあってね」
 それでというのです。
「彼等は昼は寝るんだよ」
「そうですね」
「僕は夜でもよく見えるけれどね」
 トトはそうでした。
「犬はね」
「そうよね、トトは」
「狼さん達と一緒でね」
「弟分、親戚だけあって」
「そうなんだ」
 実際にというのです。 
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