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儚き想い、されど永遠の想い

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195部分:第十五話 婚礼その四


第十五話 婚礼その四

 そしてだ。そのワインをさらに飲みだった。二人は末弟に問うた。
「もう一本あるか」
「できればもう少し飲みたいのだが」
「はい、あります」
 微笑んでだ。義正は兄達の言葉に答えた。
「ではもう一本、いえ二本出しましょうか」
「それで三人で一本ずつだな」
「そうなるな」
「若し義美がいればです」
 そのだ。三人の妹達がいればというのだ。
「さらにもう一本出していました」
「それで四本だな」
「四人で一本ずつなだ」
「そう考えていましたが」
 笑顔で兄達に話す。
「今は三本で」
「そうするか。ワインも飲み過ぎては駄目だからな」
 義愛は飲み続けながら笑顔で述べた。
「だからここはな」
「そうですね。一本ずつでよしとしましょう」
 義智も兄に応えて話す。
「ここは」
「では」
 義愛も言いだ。そうしてだ。
 三人は一本ずつ飲みだ。甲州ワインの味を楽しむのだった。
 義正が甲州ワインを楽しんでいる頃だ。真理は。
 麻実子、そして喜久子達と共に抹茶を飲んでいた。茶室で菓子を食べながらそうしている。狭い茶室に三人でそうしているのだ。
 真ん中の茶器等を見ながらだ。まずは喜久子が言う。
「驚きました」
「あのことですか」
「はい、とても」
 静かな口調でだ。真理に話すのである。三人の手にはそれぞれ見事な碗がありその中に茶がある。茶は奇麗な緑である。
 その緑も見ながらだ。喜久子は真理に話すのである。
「まさか真理さんがあそこまで大胆だとは」
「破廉恥だったでしょうか」
「いえ、破廉恥ではありません」
 それではないことははっきりとさせるのだった。
「大胆です」
「そちらですか」
「そして。見事です」
 こうも話す喜久子だった。
「あそこまで為されるとは」
「そうなのですか」
「人は。女性も」
 女であっても。この時代の考えを喜久子も持っているのだった。
 その彼女がだ。こう真理に話す。
「勇気を持つべきです」
「勇気をですね」
「そう思います」
 微笑んでだ。真理に話すのだった。
「私もまた。ですが」
「ですが?」
「それを行動に移すことはです」
 それはだ。どうかというのだ。
「難しいことだと思います」
「そうですね」
 麻実子もだ。喜久子のその言葉に頷いて述べた。
「そうしたことは。実際に行動に移すのは」
「しかし真理さんはです」
「私は、ですか」
「それを果たされました」
 微笑んでだ。真理本人に話すのである。
 そしてだ。真理にこうも告げた。
「御立派です」
「そんな、私は」
「いえ、勇気を以てそれを成し遂げることはです」
「それはですか」
「はい、立派です」
 まさにだ。そうだというのだ。
 
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