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儚き想い、されど永遠の想い

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184部分:第十四話 忍び寄るもの十


第十四話 忍び寄るもの十

「それを持ってです」
「そのうえで」
「まずは私の両親のところに」
 そしてだ。次にだというのだ。
「それからですね」
「私の両親のところに」
 真理もここでこう話した。
「向かい。そして会うのですね」
「会い。私達のことを話すのです」 
 既に知っている相手にだ。儀式として話すというのだ。
「そうしましょう」
「はい、それでは」
「そうしましょう」 
 こうした話をだ。アイスクリームを食べながら話すのだった。
 その話をしてからだった。義正はだった。
 真理と二人でだ。彼の両親の前に向かうのだった。そこは義正の屋敷だ。
 八条家の屋敷の門、その壮麗な門の前でだ。真理は出迎えに来た義正に話した。
「はじめてです」
「この家に来られたのはですね」
「おそらく。白杜家の者で」
「貴女がはじめてですね」
「はい、はじめてです」
 こうだ。はじめてだというのだ。
「ですから余計に」
「勇気です」
 緊張に強張る真理にだ。義正は微笑んでこの言葉を告げた。
「ここは勇気です」
「勇気を出してですね」
「そのうえで向かいましょう」
 微笑みはそのままでの言葉だった。
「今から」
「そうですね。勇気を出して」
「そうさせてもらいます」
 真理も微笑んだ。それと共にその微笑みにはだ。
 意を決したものもあった。その言葉を受けてだ。
 義正は真理の服を見た。その服は。
 緋色の振袖だった。そこに白い大輪の花もある。
 帯は桃色で艶やかなものがある。その姿の彼女を見てだ。 
 義正はだ。こう彼女に話すのだった。
「既に覚悟されていたのですね」
「それがおわかりなのですか?」
「その服は」
 赤に白を配した。その服を見て言うのだった。
「赤ですが」
「赤ですか」
「赤は情熱の色です」
 言うのはその色のことだった。
「ですから。その情熱をです」
「覚悟としてと言われるのでしょうか」
「表されていますね」 
「特に、意識はしていなかったのですが」
「意識しなくても出るものがあります」 
 服にだというのである。
「服にもです」
「赤い。その服に」
「私もです」
 見ればだ。彼もだった。
 白い服だ。何もかもが白いスーツだ。その服について。自分の口で真理に話すのだった。
「この服は。気付かないうちに着ていました」
「御自身でも気付かれないうちに」
「それから気付いたのです」
 着てからだ。そのことにだというのだ。
「私もまた覚悟していました」
「その白に出ていたのですね」
「白は純粋です」
「純粋ですか」
「純粋に覚悟を決めてです」
 そのうえでだ。真理と共にだというのだ。
 
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