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儚き想い、されど永遠の想い

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174部分:第十三話 運命の告白その十七


第十三話 運命の告白その十七

「そんな気がするが」
「そうでしょうか」
「前から。義正君と二人でわしのところに来た時からだ」
「思われていましたか」
「異様に白い」
 真理のその白い顔がだ。気になって仕方がないというのだ。
「あの白さは」
「元からでは?」
「だといいのだがな」
 こう言いはしたがだ。
 その不安を消せずにだ。また佐藤に話した。
「色が白いのは七難を隠すというが」
「いいことばかりではないというのですね」
「異様に白いのは気になる」
 その異様な白さがだ。気になると話すのだ。
「それが気になるな」
「御化粧のせいでしょう」
 佐藤はそう考えだ。己の考えを話すのだった。
「そのせいでしょう」
「化粧のせいか」
「そうではないでしょうか」
 また話す彼だった。
「きっとそのせいです」
「そうか」
 そしてだ。伊上もだ。
 納得する顔になってだ。佐藤に対して頷いてみせた。
「ではだ」
「それではですね」
「わしはこのまま二人の幸せを見守ろう」
 彼もまた決意していた。その決意を述べたのだ。
「君もそうするな」
「そうさせてもらいます」
 佐藤もしっかりとした態度で答えて話した。
「これからも。ずっと」
「ずっとだな」
「御二人のその幸せの果てまで」
 最後の最後までと話して。それからだった。
「そしてそれからはじまるものもです」
「見ていこうか」
「そうしましょう」
 こんな話をしてだった。二人を見ているのだった。
 一つの物語が終わり新たな物語がはじまった。それは幸せの物語だった。義正と真理ははじまった。しかしだ。それはだ。幸せばかりではなくだ。あるものも含んでいた。だがそのことには誰も気付いていなかった。気付きかけた者も考えを打ち消してだ。今葉幸せだけを見ていたのだった。


第十三話   完


                   2011・6・4
 
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