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儚き想い、されど永遠の想い

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164部分:第十三話 運命の告白その八


第十三話 運命の告白その八

 そのうえで白い世界を見回しだ。己の妻に話した。
「婚礼の場。この場は誰の為に用意されたのか」
「私達全てではなかったのですか」
「主役がいたのだ」
 問題はだ。その主役だった。
 それは一体誰なのか、彼は考えた。そのうえで話すのだった。
「あの二人だったのだ」
「真理と。そして」
「八条家のあの三男だ」
 義正に他ならない。今真理、彼等の娘と踊っている彼だ。
 その端整な姿を見てだ。父は苦々しく言うのだった。
「まさか。してやられたか」
「あの三男にですか」
「いや、真理にもだ」
 彼だけではなく。娘にもだというのだ。
「真理にも。してやられたか」
「そういえば今日のあの娘の服は」
「白だな」
「はい、白です」
 今の舞踏会の色でもあるだ。その白だった。
 その白を思い浮かべてだ。今二人は話すのだった。
「では。最初から」
「ああするつもりだったのだろうな」
「そうだったのですか」
「まさかな」
 父の苦々しい言葉が続く。
「あの真理が。こうするとはな」
「予想できませんでしたね」
「全くな」
 それはできなかったというのだった。
「本当にそうだ」
「このままどうなるでしょうか」
「あの二人の思うままだ」
 既にだ。流れはそうなっていた。
「我々は見ていることだけしかできない」
「困ったことになりましたね」
「困った。しかしだ」
「しかし?」
「わしは前に言った」
 真理を見ながらだ。そうして話すのだった。
「相手が誰でもじゃ」
「誰でもですね」
「然るべき者ならばな」
「生まれ等には関係なくですね」
「それを言った」 
 そのだ。真理にだというのだ。
「そして他の息子や娘達の結婚も」
「そうしてきましたね」
「しかし今は」
「真理については」
「それをよしとするには覚悟がいるのう」
 唇を噛み締めてだ。こう話すのだった。
「どうもな」
「ですが御言葉は」
「人は言った言葉は守らなければならん」
 それはだ。絶対だというのだ。彼もだ。そこに信念があった。
「それを破ればそれでしまいじゃ」
「では今は」
「やられたわ」
 苦い言葉はここでも出た。
「しかし。こうなってはじゃ」
「認めるしかありませんね」
「相手が八条家とは思わなかった」
 最早娘が踊りの後で何をするのかを。完全にわかっての言葉だった。
「しかしこうなればじゃ」
「はい、それでは」
「受ける」 
 父としての断言だった。
「何としてもな」
「わかりました。では私も」
 母もだ。真理の母として言うのだった。
 
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