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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第七章 C.D.の計略
  オルタの行き先


これまでの仮面ライダーアギト


世の本質を悪と言い、自らを悪たる存在へと昇華させようとする青年・オルタ。

アギトの中でも最高の力を有する者・津上翔一との戦いの為、彼はその身に「悪」を喰らい、そしてついにそのちからはG3-X、ギルスをも倒すほどにまで成長した。


その彼が、最後に喰らうモノは―――――――?




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芦原亮が襲撃を受けた「EARTH」訓練場内のプールは騒然としていた。

何せ、朝になって警備員が見に行ったらプールに浮かんだまま気を失った芦原がいたのだから当然だ。



とはいえ、傷は重くない。
安静が必要ではあるものの、この「EARTH」であれば数日間横になっていれば治る程度。


しかし

「気を付けろ。奴の狙いは、お前だ」


運ばれる芦原は、静かに津上にそう告げて連れていかれた。
その姿を見て、津上は―――――


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「さて、と」


ひとまず、厨房等の片づけは終わった。
朝食はともかくとして、昼からの営業は天道たちに任せることができた。


津上は、オルタを追うために今日から動く予定だった。
だが如何せん、その行き先がわからない。


「どうしよっかなぁ~・・・・・」

いつも通りの気の抜けた言葉で、そんなことをぼやく津上。
聞けば蒔風も、ここ最近のライダー騒動で動き回っていて今はいないらしい。



「う~ん。蒔風さんなら何かわかるような気がしたんだけどな」

「どうしたんです?津上さん」

「お、いいところに!!」


頭を捻りながら「EARTH」内を歩く津上に、声をかけたのはアリスだった。
ひょこっ、と出て得来た彼女の腕には、そこそこ多めの書類の束。

「舜がいないせいで、書類がたまるんですよ」

と言いながらため息をつくアリス。
蒔風の処理できない書類は彼女が、本当ならショウにも頼みたいところなのだが、彼は彼でやはり動いているのだとか。


「で?どうしたんです?」

「あ、そのですね」

今までのことを掻い摘んで話す翔一。
ふむふむと話を聞きながら翔一と並んで歩くアリスは、それならばといって途中の扉を一発蹴った。


「ん?」

「翔一さんの話は分かりました。ってことで、この扉繋げておいたので、あっちの方にも話しておいてください」

「あっち?」


どうやらこの管理者、翔一の話を聞いてある程度の目星がついてしまったらしい。
管理者という肩書は伊達ではないのだ。


「それだけ「悪」という存在にこだわるのなら。それが脅威という意味ではなく「存在としての意味」であるならなおさら、ここが標的ナンバーワンですから♪」

「いったい・・・・」

一体それほどの悪とは、一体何なのだろうか?
巨悪というモノだったらいくつか思い当たるが、断言できるだけそれはおそらくとても大きな――――


「私も一通り終わったら行きます。とにかく、あちらの方にも事情を話さなければ」

アリスの目が険しくなった。
もしもあのオルタが「あれ」に手をだし、掌握することになったとしたら。



「向こうの人たちと協力して、決して彼を近づけないように」

「・・・わかりました!ありがとうございます!!」


そう言って、扉に手を掛ける翔一。
パタン、と締められるのと同時に、アリスもまたエレベーターに乗り込み上がっていく。


場所は決まった。
翔一の、オルタの行き先はというと―――――



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「で、ここに来たってわけね・・・・」

遠坂凛が、腕を組んで睨むように視線を下げる。



冬木市・衛宮邸

揃っているメンバーは、家主の士郎。そしてセイバーや凛といったこの家の同居人だ。
桜は買い物、ライダーはバイト中とかでいないが、こういう時のために家に待機していたバゼットもいる。

「そうです。こういう時のために、自宅待機していたんです」

「何言ってんのよアンタは・・・・」


アリスが翔一の話を聞いて目星をつけた場所。そこが冬木だった。


冬木という名を聞いて、思い当る単語はいくつかある。

魔術師
聖杯戦争
英霊・サーヴァント

だが、今回のアギトの戦いとここを結びつけるには、もう一歩進んだ情報が必要だ。






「この世全ての悪」
アンリマユと呼ばれた、そんな存在がいた。







士郎の先代、切嗣の参加した第四次聖杯戦争よりももうひとつ前。第三次聖杯戦争の時のことだ。

アインツベルンが、最強のサーヴァントとして喚び出したのがクラス・アヴェンジャー。
真名を「アンリ・マユ」というゾロアスター教最高位の悪魔。

だがしかし、アインツベルンはしくじった。
召喚されたのはただそう呼ばれただけの少年で、四日目で敗退―――つまりは殺されてしまったのだから。



その少年は、願いをその身に宿していた。

彼自身の、ではない。
彼は「そうであれ」と周囲から望まれて生まれた存在だったのだ。

皆からの悪意を一身に受け「アイツが悪いのだ」と言われ続けてあらゆるものの捌け口にされた。


「悪であれ」と望まれたそれが敗退し、魔力となって聖杯に呑まれた結果が今の大聖杯。
願いをかなえる大聖杯に、そんな存在自体が「願い」である彼がぶち込まれたのだから、それは当然真っ黒に。

結果、冬木の大聖杯は願いをマイナス方面の過程で叶えるような粗悪品になってしまいました、ということだ。



なるほど、そんな大聖杯ならば、あのオルタが狙うのもわかる。

ならば、早急にその場に赴き、オルタを迎え撃つ準備をしなければならないだろう。



「どこですか!」

「まあ落ち着いてって。大聖杯のある柳洞寺にはキャスターとアサシンがいるわ」

「あの二人が早々に敗れるとは思えません」

「相手がアンタら・・・その、仮面ライダーを倒すような敵だってんなら、こっちの段階で準備することが山ほどあるのよね~」



仮面ライダーと言えば、「EARTH」内でもそれ相応の力の持ち主。
それも、どの戦士も百戦錬磨の強者だ。それを倒すような奴ならば、それなりの準備をしなければ。


「士郎、宝石剣用意できる?」

「ああ・・・って、あれまで持ち出すのか!?」

「同然でしょ。あと、あそこで戦うなら桜の協力もあったほうがいいわね・・・・」

「それと、協会のシスターにも報告をやっておかねばなるまい」

「あー、あいつにか・・・」

「それはじゃあ「EARTH」のほうからやっておきますよ」

「そう?いやー、協会に貸し作んの抵抗あったのよねー」


あっはっはっは!と笑う凛。
というかこの場合、協会にというよりはあのシスターに、というべきだろうが。



「使い魔は飛ばしてるし、何かあったらこっちですぐにわかるわ。それまでに」

何とかしよう、ということだ。
果たして、オルタはいつ来るのか。


そろそろ日も落ちる。
西日の光が嫌に目に刺さる。


否な予感が、する。



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ユラリと、一人の男がバイクにまたがって柳洞寺の山の中にそのまま入っていった。
他にも通行車両があったにも関わらず、それらの車は一切それに気付かないままだった。


急な斜面の山道を走っていくバイク。
恐ろしいほど音を立てているのに、木に止まっている鳥はバイクに気づきもしない。


そうして、当然のようにバイクはキャスターの結界に触れ


「ふーぅん」

とかいう声と共に、ごく普通に通過していった。
彼が通過する瞬間だけ、まるで風に揺らめいたかのように結界は必要な部分だけ穴が開き、通過するとまたフワリと穴は塞がった。



「・・・ふふ」

結界に阻まれていたからか、通過してしまうとその気配は一発でつかめた。

なるほど、こっちか。



バイクのアクセルに力が入る。
オルタは一気に、大聖杯のある地下空洞へと進んでいった。



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「ハァ!?入られたですって!?」

『ええ。違和感はあったのだけれどね』


もののついでに連絡しておいた。
そんな気怠そうな声で、キャスターは遠坂に結界を突破されていたことを告げた。


彼女にとって、大聖杯がオルタに掴まれようとどうでもいいことだ。
彼女にとって大切なのは、マスターである宗一郎との生活のみ。

ただ、仲の(比較的)いい桜が、買い物帰りでこっちに寄り、そのままライダーと警戒に当たっていたから彼女のために連絡しておくだけのこと。



「ったく使えないわね・・・・」

『それを言うなら、見す見す見逃すあなたの使いもではなくて?』

「グッ・・・」

『宝石ケチったのかしらぁ?』

「うっさいわね!!」

ブチン!と通信を切る。
彼女とはどうもそりが合わない。


「オルタが!?」

「ええ・・・・来たわ。というか」

「来てた、だな。まったく」

「行きます、俺」



話を聞き、静かに立ち上がる津上。
まるでそれは、アンノウンを感じ取ったときの彼と同じだった。

途端に無口になり、その方向へと一直線になる。



だが、オルタは自分に感知できない。
おそらくは、力を完全に得てから彼と戦うつもりなのだろう。

それが彼の言う「最高の悪と光の戦い」なのだから。


「士郎、私も先に向かいます。屋根の上を走れば、彼より早く着ける」

「私も先に行くぞ」

「ちょっと。私もつれていきなさい、アーチャー」

「しかし」

「私は遠坂よ。冬木の聖杯に手を出すなんて、いい根性してるじゃないそいつ・・・」

カチャ、と宝石剣を握りしめてアーチャーに自分も一緒に連れていくことを命じる凛。
そうするとスピードが若干落ちるのだが、まあ仕方ない。こうなった彼女は止められない。



「わかったよ。すまんがセイバー、私たちは少し遅れる」

「構いません。しかし、気を付けて」

「変身!!」


カァッ!!と津上が光に包まれ、アギトへと変身を遂げる。
バイクにまたがり、彼の使用バイクがマシントルネイダーへと変形。

庭の中でバイクを回し、ブレーキをかけるとその頭は柳洞寺のほうを向いていた。


思い切りアクセルを回し、それを見てセイバーが先導するかのように塀の上から跳躍していく。
マシントルネイダーを駆り、一気に発進したアギトは即座に跳躍。スライダーモードのそれが、セイバーの後を追って飛んでいった。


後を追うように、アーチャー。
そしてその後を、自転車で士郎が向かう。


「くっそぉ~~~!!」

自分が急いでいったところで、大きな戦力にはならない。
なるのであれば、自分も凛のようにセイバーに連れて行ってもらうのだが。

シャカシャカと回るペダル。




闇と光の戦いが、再び始まる。







to be continued
 
 

 
後書き

アギト編はFateとのクロス!!
オルタの考え的に、アンリマユとか最高の力じゃないですか!!


桜とライダーは、買い物&バイト後に、そのまま柳洞寺に行ってもらってます。
まあどっちにしろキャスターに料理教えに行ったり、魔術教わったりとしてますからね、彼女は。


光のアギトVS闇のオルタ。
勝つのはどっちだ!?



津上
「次回、地下空洞激突」

ではまた次回 
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