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権力の犬

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第一章

                権力の犬
 毎日夕方にキオスクやコンビニに並ぶ夕刊キムというスポーツ新聞、所謂タブロイド誌の記事を読んでだ、ネット民達は憤慨していた。
「今回も酷い記事だな」
「何だよこの記事」
「品性の欠片もない文章で憶測ばかり書いていやがる」
「これまともに取材してるのか?」
「夕刊キムは取材なんてしねえよ」
 取材をしたものを書くのがマスコミであるがだ。
「そんなんしねえよ」
「野球関係者って脳内のあれだろ」
「たまたま居酒屋にいるおっさんだろ」 
 書いている記者が入ったそこだというのだ。
「あと自分自身だろ」
「この夕刊キムの記者な」
「いつもいつもネベツナの称賛記事ばかりじゃねえか」
 某巨大マスコミの会長だ、自称球界の盟主の球団のオーナーであり金と権力にあかせて横暴の限りを尽くし北の将軍様の如く忌み嫌われている。
 しかしだ、この夕刊キムだけは別でだ。
「ここだけ称賛記事ばかりだな」
「殆ど北朝鮮の機関紙だな」
「昔のあのチームばかり賛美してな」
「自分達の嫌いな監督や選手は徹底的にこき下ろす」
「しかも何の根拠もなく脳内妄想でな」
「ここどんな新聞だよ」
「どんなマスコミなんだよ」
 ネットで次々に批判、罵倒めいたものまで書かれていく。
「よくこんな記事書けるな」
「それで売れるな」
「どんだけ卑しい奴が記事書いてるんだよ」
「これだから終身名誉電波って言われるんだよ」
「まともな取材しろ」
「野球関係者ってマジでどっかのおっさんとかだろ」
 そのおっさんが酔って思いつきで言った戯言だというのだ。
「こんな新聞読むと馬鹿になるぞ」
「買うな買うな」
「ネットの記事だけで腹が立つ」
「政治関係も碌なの書いてないしな」
「特定の国とかへのアジばっかじゃねえか」 
 アジテーション、つまり扇動だというのだ。
「ハーストとどう違うんだよ」
「というか記事の品性とかまんまハーストだろ」
 アメリカのイエローペーパー即ち質の悪い記事ばかり書くマスコミだというのだ。かつて米西戦争や日米の対立を煽情的に煽ったことで悪名高い。
「夕刊フジは日本のハーストだ」
「こんな記事信じる奴は馬鹿だ」
「ネトウヨも早く気付けよ」
「ネベツナの靴の裏舐める様な連中だぞ」
「こんな連中が言う政治なんて碌なものじゃないぞ」
「野球であそこまで糞な記事書けるんだからな」
 こう口々に言う、だが。
 彼等はこのタブロイドだけでなくだ、別のタブロイドも忌み嫌っていた。そちらはどういった名前かというと。
「日刊キムダイも酷いな」
「ここも取材してないだろ」
「憶測だけで書いてるっていうかな」
「妄想だけだな」
「今日も汚物伊知郎擁護が酷いな」
 野党側の大物だ、黒い噂も多い。
「何でここまで汚物好きなんだよ」
「ここ汚物ファンクラブだろ」
「汚物と敵対する政治家は常にこき下ろしてな」
「誹謗中傷の限り書くな」
「憶測と妄想だけで」
「ここの言う心ある人ってどんな奴だよ」
 常に日本は終わりだの書いてもいてそうしたこともネットにおいては批判の的になっているのである。
「自分達のことかよ」
「日刊キムダイの記者か?」
「取材もしないで誹謗中傷書く記者の何処が心あるんだよ」
「ここ談講社で仕事出来ない性格も悪い奴の姥捨て山だろうが」
「あそこで出来る奴は漫画とか文芸に行くからな」
 そうした出版の花形にというのだ。
「屑は金曜日とかここに行くからな」
「あの出歯亀雑誌な」
 芸能人のスキャンダルばかり追いかけている雑誌だ、かつでそれで芸能人が編集局に殴り込みをかけてきたこともある。
「ああしたところに送られるからな」
「夕刊キムだってケイサングループの姥捨て山だしな」
「一番仕事の出来ない連中が送られるからな」 
 こちらのタブロイドもというのだ。 
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