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歌集「春雪花」

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 虚しきや

  時雨し野辺の

   枯れ尾花

 夢も果てなむ

     人ぞ儚き



 なんと虚しいことだろう…野原を見渡せば枯れた芒が雨に濡れ、薄明かりの下で朽ちている…。

 私も変わらず…然して時を経ずしてああなるのだ…。

 この世から去る時…私はやはり、彼を想うのだろう…。
 愛されたかったと…この身ゆえに叶わぬ恋を、不相応にも未練として残すだろう…。

 夢も果ててしまえば…人のなんと儚いものかを知るのだな…。



 うまれきて

  逢ふと知りなば

   去りゆくを

 冬の雪とて

   春には消ゆるも



 今日は…彼の誕生日だ…。

 もし…彼と会って恋すると分かっていたら、私はきっと会わないようにしたに違いない…。

 こんな寂しい思いをし…見知らぬ誰かに嫉妬し…こんな惨めな自分を見つめるしか出来ぬのだから…。

 冬の雪は降り積もるが、春には溶けて消えてゆく…。

 だが…彼への想いは全く消える気配はない…。


 彼に告げることも出来ず…諦めることも出来ず…。

 私が雪のように…溶けて消え去れたら良いものを…。



 
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