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ムチオトカゲ

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第一章

           ムチオトカゲ
 ある日急にだ、全世界で異変が起こった。
 何と老若男全員が朝起きるとだ。
 女になっていた、それでだった。
 日本の岡山に住む田上信長も驚いて言った。
「何、これ!?」
 喋り方も女になっていた、朝起きて歯を磨こうと思って鏡を観たところで黒髪ロングヘアに大きな目の美少女を見てのことだ。
「女の子!?」
 それでだ、驚いたままだ。
 キッチンにいる母のところに本能的に行ってこう言おうとした。
「何か知らないけれど女の子になっていて」
「わかってるわよ!」
 知らない女の人の声がした、見ればそこに。
 信長と同じ黒髪だが癖のあるショートヘアにきりっとした顔立ちのスーツの女性がいた、年齢は四十七位だろうか。信長の父の信秀と同じ位の年齢だ。
 その年齢からだ、信長はその女性に尋ねた。
「ひょっとしてお父さん?」
「そうよ」 
 不機嫌そのものの返事だった。
「朝起きたらよ」
「女の人になってたの」
「そうよ」
「どういうことなのかしらね」
 ここで母の貴子も言ってきた、茶色の髪で面長の細い目の女性だ。小柄でいつものエプロンを着けている。彼女は何も変わっていない。
「一体」
「何で私とお父さん女の人なの?」
「テレビ観なさい」
 貴子は息子だった美少女に言った、服装だけは寝巻の膝までのジャージに白のティーシャツだ。胸はかなり出ている。
「今すぐにね」
「じゃあ」
 母に言われるままテレビを着けた、すると。
 世界中でだ、あらゆる男が女になったと報道があった。勿論政治家もである。
 誰もが彼もが女性になっていてだ、総理大臣も五十過ぎだが結構奇麗な人になっていて驚きを隠せない顔で記者会見に出ていた。
 その状況を見てだ、信長はまた言った。
「どういうこと、これって」
「だから観た通りよ」
「世界中の男の人がなの」
「女の人になったのよ」
「うちだけじゃなくて」
「そうよ」
 まさにというのだ。
「信じられないでしょ」
「何で朝起きたら皆女の人になってるのか」
「そう、何ていうか」
 貴子も言うのだった。
「お母さんもびっくりしてね」
「どう言っていいかわからないの」
「そうよ」
 その通りという返事だった。
「朝起きて隣で寝ているお父さん起こそうとしてね」
「びっくりしたのね」
「だって女の人がいるのよ」
 今スーツを着ている美女がというのだ。
「驚かない筈ないでしょ」
「そうよね」
「そして世界中がそうだから」
「神様が何かしたのかしら」
「どういう神様よ」
 そもそもとだ、今度は血縁的には父である信秀が言ってきた。
「神様の悪戯って」
「いや、それは」
「とにかく、世界中てんてこまいで」
 自衛隊の基地の状況が報道されていたが男が圧倒的に多い世界でも今は宝塚の様になっている。
「何が何だか」
「あの、学校あるけれど」
 信長はここで日常の話をした。
「制服は」
「女の子の?」
「ないけれど」
「そのまま行きなさい」
 これが母の返事だった。 
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