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テイルズオブザワールド レディアントマイソロジー3 ―そして、僕の伝説―

作者:夕影
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第三話




「――コンフェイト大森林の調査?」


「そ、出来ればアンタにも着いてきてもらいたいんけど」


食堂でロックスさんが作ってくれた朝食を食べていると、目の前でケーキを食べている王冠を被った少女、ロッタがそのフォークの矛先を僕へと向けてそう言い放ってきた。
ロッタは『マイソロ』をやってて良くしっていた傭兵キャラクターである。今作も居るんだろうなー、とは薄々考えていた。
決して嫌いな訳ではない。むしろ好きなキャラクターである。


「いや、別に構わないんだけど……何で今更コンフェイト大森林で調査を…?」


「依頼者はあの森に住む木こりさんよ。何でも、最近コンフェイト大森林の様子がおかしいとかなんとか」


「様子がおかしいって……?」


「何でも…生息しない筈の魔物を見掛けるようになったとか、魔物が活発化してきたとか、草木の成長がおかしいとか…」


「成る程…確かヴェイグとクレアの故郷のヘーゼル村、だったけ。確か…コンフェイト大森林から近いよね?」


「えぇ、今はウリズン帝国に占拠されちゃってるけど……。つまり……星晶《ホスチア》ね」


ロッタの説明を聞き、僕が少し考え気付いた事を言うとロッタも理解出来たのかそう呟いた。
星晶《ホスチア》――教えてもらった程度だけど…ようは世界樹の《マナ》と似たような物らしい。その星晶のおかげで産業が発展してるみたいだけど…さっき言ったヴェイグ達の村のようにその星晶を巡って国が動いてるらしい。
よくある…自分の国を発展させようとする国の暴走だ。


「…アンタはもしかしたらその星晶になんかあるかも、て考え?」


「…うん、気がする程度だけど」


生憎悲しい事に、僕は原作を買って直ぐに車に当たっちゃって原作未プレイ状態だから、本当に原因がこの星晶なのかは分からない。



「…まぁ、そんな難しい事私達が考えるだけ無駄よ、無駄。そういうのはウィルや新しく入ったハロルドみたいのが考える事よ。私が聞きたいのは結局アンタが来るか来ないかよ」

そういう言って再度、ビシッという効果音が付きかねんばかりにフォークの矛先を僕に向けるロッタ。
何故だろう、なんか怖い。


「うーん…。いや、だから別に構わないんだけど……その調査依頼って他に誰かに声掛けてるの?」


「今んとこアンタだけ」


なにそれ、怖い。


「僕だけって…そんな危険そうな依頼に何で僕だけ…」


「しょうがないでしょ。他の人達殆ど別の依頼行ってるし。危険そうな、って言っても調査程度ならすぐ済むわよ。……それに……」


「ん……?」







苦笑いしながら言った僕にロッタがそう説明していくと、最後の方で僕から顔を逸らして何かブツブツ言っている。


「……何でもないわ。それに、なんかあったらアンタは私が守ってあげるわ」


「うーん……。それって本来男の僕が言うべき台詞だよね……」


「でも否定出来ないでしょ?」


「うん。正直否定出来ません」


あれ、何でだろう。目から汗が出てるや…。

そんなこんなで…何かコンフェイト大森林の調査に付き合わされる事になった。



「――ところでさ、ロッタ。そのケーキ一体何皿目?確か僕が食べ始める前から居たような気が………」


「…………パンが無ければケーキを食べればいいじゃない」


「いや、パン今僕食べてるから」




―――――コンフェイト大森林



――あの後僕達は準備を整え、現在コンフェイト大森林を探索しているのですが……



「――………なんでアフロ(ヴォイト)が居るのよ」


「はははっ!細かい事は気にすんなよ、ロッタ!」


同行メンバーが一人増えました。
今僕の隣で不機嫌そうな表情のロッタに対し、ニヤリと笑みを浮かべている頭のアフロが個人的過ぎる男剣士、ヴォイト。
彼も確か『マイソロ』では結構有名な傭兵キャラクターだ。
特に…頭が。


「ちょっと……何でヴォイトがついてきてんのよ?」


「いや、それが………」

「兄弟《ブラザー》が困ってんのを助けんのに理由がいるか?」


「………こんな感じです」


「……頭痛いわ」

ロッタの問いに答えようとした所、ヴォイトからのその一言にロッタは額を抑えて溜め息を吐いた。
因みに兄弟《ブラザー》とは、僕の事らしい。何故か知らないけど。


「で、でもほらっ!人手は多い方がやっぱりいいでしょ?」


「それはそうだけど……そうね、アンタはそういう奴だったわね…」


僕の言葉にロッタは何か思い出したように呟くと、呆れた様子で再び溜め息を吐いた。後、小さく「……馬鹿」と聞こえたのは気のせいだろうか…。


―――――――――



「………おかしいわね」



森の中をある程度歩いていると、不意にロッタの口からそんな言葉がもれた。


「……?おかしいって…?」


「もう大分歩いたのに今私達、ウルフやローパーはおろか、プチプリやチュンチュンにすら当たって戦ってないのよ?」


「そういやそうだな。…いくら戦闘がないとはいえ……モンスターの姿が一匹も見えないのはおかしいな」


ロッタの言葉にヴォイトも頷く。
確かに今、僕達は戦闘を行っていないどころか…魔物の姿を森に入って一度も見ていない。何時もは結構見てたり戦ってたりする筈なのに……。



「………こうも静か過ぎると何だか不気味ね。早く調査を済ませて帰るわよ」

「そう、だね…。何か嫌な予感がしそうだし…」


僕のその言葉と同時に、三人の歩く速さが自然に変わった気がした。






――――――――――



しばらくして着いたのは、一度ヴェイグ達に教えてもらった、ウリズン帝国が星晶を採取している場所であった。そこで見たのは……



「これは……一体……」


「……酷い有り様ね」


周りの草木が枯れ果て、地面には大きなひび割れ等が見えた……まるで其処だけこの森から切り離されているような姿であった。


「……こりゃ大分枯れてんな。多分こんなんじゃもう二度と花は咲きそうにねぇぞ」


「……魔物が出なかったのもこれが原因なのかな」

「……採れるだけ穫って後はポイッ、ね。何とも帝国らしいわ」


暫くその場を見回して僕達の口から出るそんな言葉。これが……国のやる事なんだ。



「……正直キツいわね。…調査は終わったわ。早く帰りましょう」


ロッタが口早にそう言った。確かに…この場所はあまり長く居たいとは思わない。



「……そうだね。じゃ、早く―――」



『帰ろう』、と言いかけて言葉が止まった。
何故か。それは至って簡単だ。
僕達の来た道に、『ソレ』は居たからだ。


青い巨躯。鋭く研ぎ澄まされた牙や爪。
僕が此方に来て、今までで一番……『勝てない』と圧倒的に知らされる姿。

そしてそれはまるで……獲物を見つけたかのように大きく吼える。


――凶竜『ケイプレックス』はそこに存在していた――





 
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